見出し画像

租税教室①:子供たちへの”お金教育”を考える

 本日、都内の小学校の課外授業で”租税教室”がありましたが、補助講師として参加させて頂きました。もともと栃木県内の小中学校での租税教室で講師をやらせて頂く予定でしたが、都内への引越しにより断念。さいわい引越し先(東京税理士会)で機会を頂きました。

なぜ子供たちへの租税教育なのか?

 経理に関わる勉強会(例えば、中小企業診断士会内での勉強会等)に参加しましても、”何か新しいことを始めないか?”の企画段階で、”子供たちを対象にお金の勉強を教える”テーマ案が時々出てきたりします。そもそも日本では他の国と比べて、お金の勉強の機会が少ないと感じている方が多いのかもしれませんね。そのために何とかしたいと。

 私自身もこのテーマに関心がある一人。子供たち相手に何か教えるのも、嫌ではないですね。20年ほど前も小学生相手に、小麦粉からインスタントラーメンを手作り体験する教室のインストラクターもしていましたし・・・。むしろ好きかもしれません。子供たちの柔軟な視点で、大人もハッと気付くこともありますし。昔、ラーメン教室でも小学生からこのような質問を受けました。

”うどんとラーメン。 違いは何ですか?”

 さいわいインストラクターのマニュアルで、その答えは準備していました。ラーメンには、うどんにはない”かんすい”が入っていますと。”かんすい” とは、ラーメン特有の風味と独特のコシを作るために使用するものです。元来、中国の炭酸ナトリウムを含む湖水を混ぜたのが始まりで、昔からめんやワンタン、まんじゅうの皮などの製造に使われています。

画像1

 話がラーメンと、少し脱線しましたが、自分がずっと携わっている経理関係の仕事。この仕事内容を子供たちにお伝えする機会があれば、子供たちの視点も新鮮なので、是非一緒に勉強できればと考えています。

租税教育への想いとリーガルマインド

 以前”noteと「経営戦略論」”でも、”税理士は法律家。会計の世界にリーガルマインドを” の内容で紹介させて頂きました。個人的な意見ですが、経理実務では、あまり法律の議論は出てきません。経理実務は法律(形式)より実態重視かと。他方では、小学校では社会の科目で、日本国憲法を義務教育で学びます。せっかく憲法を学ぶ機会があるのであれば、少しだけ税法の世界も皮切りに、お金の勉強もしても良いのでは、と考えています。

 ところで現在、税理士登録する際に、最初の研修で何を勉強すると思われますか? ・・・何か最新の税務改正や節税テクニックをイメージされるかもしれません。ところが実際に勉強する内容は、大学の法学部で勉強するような憲法・民法・行政法なんですね。

 実際に税理士に登録される方は、税務署で20年以上勤務されたOBの方も多く、現役の調査官時代に”この経理処理の背景となる実態は何か?”を企業側と議論されたのではと考えています。企業で働く私からのイメージですが、あまりにも実態に見に行き過ぎて、時には法律や契約書が軽視する場合もあるかと。そのため、調査官を引退され税理士になったタイミングで、改めて法律の基本を勉強し直して欲しいとの想いが日本税理士会にあるのではと理解しています。ひょっとしたら、大人たちの経理実務でもリーガルマインドが軽視されがちな今、日本国憲法を義務教育で学ぶ時に税法の世界にも少しでも触れてもらえればとの想いがあります。

子供たちに身に付けて欲しい”お金の知識”

 子供たちが社会科の授業で日本国憲法を勉強する延長で、少しでも税法の世界も触れて欲しいと書きましたが、実際にお金の勉強を始めて、どのような感覚を身に付けるのが”進むべき方向(ゴール)”か について考えてみました。

 子供たちが将来を見据えて、自身の資産形成やライフプランニングを立てるのも一つのゴールかもしれません。私個人的には、せっかく経理の勉強を始めたのであれば、経理の感覚も身に付けて欲しいなぁ、とも感じています。”経理の感覚”とは何か? それは”数値や金額を自分の言葉で語れること”だと考えています。以前noteの記事”工場経理のリアル(経理マンの職場)”でも書きましたが、工場の場合は、経理の立場として生産部門の計算結果を鵜呑みにせず、製品1個(台)の原価計算について自分の言葉で語れることが経営陣から求められていると理解しています。

 最後に、子供たちとのやり取りで、”数値や金額を自分の言葉で語れること”の大切さについて気付かされたエピソードをご紹介します。

”それではクイズです。皆さんのような中学生1人当たり1年間で、どれだけ税が使われているのでしょうか?”

”えぇっと・・・、約100万円かな。”

”すごいねー、正解!! 東京都主税局の資料で中学生1人当たり1年間の教育費は100万円と算出しているよ。ところで、どうして正解が分かったの?”

”だって、そうじゃん。私立の学校は1年間の学費が約100万円。それが公立では、ほぼ学費の代わりに税金が使われるのでしょ。”

 親バカかもしれませんが、ここでやり取りした子供は、中学生の息子です。まだ、税や経理の世界に振り向いてくれず、将来は理系に進みたいと言っていますが、少しでも税や経理の世界に興味を持ってもらうよう、気長に待ちたいと思います。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

この記事が参加している募集

#学問への愛を語ろう

6,251件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?