気候変動問題の盲点⑨:IPCCのルールが木を燃やすことを加速する⁉
気候変動を止めるために二酸化炭素の排出削減をすることは間違いなく重要です。
そのために化石燃料を燃焼する火力発電から再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱発電)にシフトしていくことはとても大切です。
だけど、森林減少に歯止めを掛けずに再エネだけやっていたのでは、片手落ちです。
✅木を燃やしてもCO2は排出されないって本当⁉
図のように樹木が、伐採されたとしても木の中に炭素は存在しています。
つまり実際には、IPCC(気候変動問題の政府間パネル)ルールの伐採時即二酸化炭素排出とは、事実は異なります。
しかし、伐採時即排出ルールを決めたことで木材を燃やしても二酸化炭素は排出されないクリーン電力であるという理屈ができあがりました。
つまり、住宅の解体材や製材の廃材チップをボイラーで燃やしても、二酸化炭素は排出されなかったと計算することができるのです。
これは、木を植えれば、木は二酸化炭素を吸収して自身に固定化して生長するので、燃やして炭素を大気に戻したとしてもカーボンニュートラルだという理屈からできたルールです。
そのためバイオマスボイラーで木を燃やしても二酸化炭素は排出されないという、少し他の自然エネルギー(太陽光・風力・地熱・水力)とは、理屈の違うカーボンフリーエネルギーが出来上がりました。
丸太から四角い製材製品をつくる際に発生する廃材は、製材製品の副産物として木材チップとなって製紙原料になります。
木材チップから紙製品がつくられ、更に古紙となって回収され、また紙製品になれば、ずっと炭素を閉じ込めておくことができます。
しかし、これを単に紙ゴミとして燃焼したり、バイオマスボイラーで発電に利用した場合には必ず炭素は大気中に放出されます。
ところが、木は伐採した時点で二酸化炭素を排出したとのルールに従って、木くずを焼却しても二酸化炭素は排出されなかったと決められているのです。
✅循環型社会づくりの弊害になりかねないルール
IPCCのカーボンニュートラルルールには盲点があります。
植えるファースト、つまり植林を最初にして固定化した炭素を大気に戻すのならまだしも、天然の木を伐採ファーストで燃やしていたのでは、石炭よりもエネルギー効率の悪い最悪燃料を燃やしていながら、カーボンフリーと思わされることになります。
化石燃料の量を追跡するのに比べて、木のライフサイクルを追いかけるのは困難ということもあったのだと思います。
しかし、いずれにしろこのルールによって、各国政府が再生可能エネルギーの利用を拡大するために、補助金を付けてバイオマスボイラーの建設を促進していきました。
ルールというのは恐ろしいもので、これが森林減少を軽視する風潮を助長し、森林の炭素蓄積量が減少させているのではないか?
じーじは、物凄く懸念しています。炭素収支がさらに崩れていないか心配しています。
✅木の持つCO2吸収効果を最大化する努力が必要
これは、林野庁のホームページから抜粋してきた図を加工したものです。
緑の線が、樹木が光合成で二酸化炭素を吸収している量です。
赤い線が、樹木の呼吸によって排出される二酸化炭素の量です。
植林をして生長期にある樹木は、青くぬりつぶされた面積部分が炭素の固定量となります。
見てのとおり素晴らしい吸収源として機能しています。
ところが、木を伐採することなく、植えっぱなしにしておくと、やがて二酸化炭素の吸収よりも排出が多くなり、吸収源として機能しなくなります。
樹木を、原料として使うことを前提にした事業植林であれば、伐採タイミングは生長がとまる前、二酸化炭素の吸収量が排出量を大きく上回っている間に行われるため、吸収源として非常に有効です。
つまり、木を原料として使う利用範囲を広げて、伐採したら必ず再植林することが重要であって、木を燃やすことを推奨することではないと思うのです。
事業植林が増えていくと何がいいかというと、木の生長が止まれば伐採して、再植林を繰り返すことで、森林全体の年間平均成長量を高いまま維持できる点なのです。
つまり二酸化炭素を沢山固定してくれる実力を維持できるのです。
一方、植えっぱなしで伐採しない、環境植林は、生物多様性保全にとってはとても良いのですが、こと気候変動対応には、持続的な効果が劣ります。
さらに言うなら、寄付に頼る環境植林よりも、事業植林の方が社会的価値と経済的価値の両立という意味でも持続的です。
とにかく、貴重な天然林を伐採して、木を燃やすだけに利用して、再植林もしないのに二酸化炭素は排出しなかったというルールに守られて、森林減少の問題が顕在化しないのは残念でなりません。
この下の動画は、長時間です。気合を入れて見ないと長いです。
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