【短編小説】成長、或いは
それは確か、十一、いや、十二歳のときだったか。
毎日が憂鬱だ。瞳から入ってきた景色は気持ちというフィルターを通っていつも暗い。話しかけてくるものもおらず、こちらから話しかける気もないので、そこだけは楽であった。人付き合いというものは、今も昔もエネルギー効率が悪い。言葉を発するだけで体も心もいつもの三倍ほど稼働させなければ、外面を良くすることも、体裁を保つこともままならない。
そもそも生きている意味もわからないままに、生まれてこの方何も考えずに生きている。死なないために生き