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2穴パンチに惚れた小学生と、魔法の筆箱


私は小さい頃、文房具が大好きだった。
今でも文具店に行くと、ふらふらと歩き回ってしまうのだが、昔はお小遣いを貯めて、必要かどうかもわからないちょっと面白そうな文具を買うのがある種の趣味だった。

その当時、特に好きだったブランドはミドリという日本の文房具ブランドの「カラーステーショナリー(CL)」というシリーズである。


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これは2つ穴用の穴あけパンチだ。(スケルトン全盛期)
A4、B5などの目印がついているため、紙の中心がわからなくても、ガイドにそって用紙の端を合わせるだけで、簡単に2穴を開けることができる。
そして、本体にも2穴が開いていることによってリングファイルに一緒に収納できてしまうという優れものだ。

今や100円ショップにも売っているこの手のタイプの薄型パンチだが、小学生の頃にこの平たいパンチを初めて見た時、なんだこれは!と、とても驚いたのを覚えている。
今まで見たことのある、ゴツゴツした高さのあるパンチとは一線を画すこのスリムなパンチに私は一目惚れし、めちゃくちゃかっこいい!と思ってこれを購入した。

特にそこまで穴をあける用事などなかったのだが、私はちょっとギミックのあるような文房具が好きだったのだ。


その他にも、折りたたみできる定規や、消しゴムくらいのサイズになるステープラーなど、趣向を凝らしたシンプルでコンパクトな文房具たちがそのシリーズには展開されていて、私はお小遣いを貯め、少しずつお気に入りの文房具たちを集めていった。
この主張が強くないロゴも大人っぽく見えて好みだった。
色々集めた中で使い込み過ぎて壊れてしまったり、実家に置いてきたものもあるが、このパンチだけはまだ手元に残っている。
なんせ実際に使うタイミングが少ないこともあり、壊れずに無事生き残っているのだ。


そしてそんな私にはもっと昔、憧れの筆箱があった。
それは、鉛筆削りや消しゴム、定規などいろいろなものが入る場所が決まっていて、どこかのボタンを押すとその収まる部分がシュッと出てくるような魔法みたいな筆箱。
なにそれ?と思った人は是非「ギミック筆箱」と検索してみて欲しい。

まるで四次元ポケットのように様々な場所から色々なものが出てくるそれを、当時、何人かの同級生が持っていて、蓋の開閉しか動くところのないノーマルな真四角の筆箱を使っていた私は、いいなぁと羨望の眼差しでそれを眺めていた。


止め具が磁力か何かで自動で回るタイプのランドセルもハイテクでかっこいいなと思っていたし、昇降するテーブルや、天板が蓋になっていてデスクが箱のようにしまえる学習机もわくわくした。

あの時の、見たことのない装置や新しい何かを見て、純粋にわぁすごいと思う気持ち。
今はついつい「壊れやすそうだな。」とか「あぁ、そういう仕組みね。」なんて思いがちだが、幼い頃に単純にすごーい!かっこいい!と心躍ったあの高揚感は今でも忘れられない。


十得ナイフなどのマルチツール系のものを見ると、今でもたまにその心がうずく時がある。
1つ1つ自体は小さくて実は少し使いづらかったりするのもわかっていながら、用もないのについつい便利だな、欲しいなと思ってしまう。
ずらっと全サイズ並んだ六角レンチセットなども、まるで使う用事もないのになぜだか欲しい。


今でこそ、ペンケースも持ち歩かないし、文字を書くということすら段々遠のいていくような生活になってしまったが、昔ながらの文房具店や、大きなステーショナリーコーナーのあるロフトや東急ハンズなどに行くと、私はついつい文具コーナーに立ち寄ってしまう。
眺めて歩くだけでもわくわくして楽しいのだ。


この2穴パンチも、持ってはいるものの、ほぼ使うタイミングはないのだが、これを見るとあの時のワクワク感やキラキラした気持ちで文房具を集めていた頃を思い出すので、私はこれを大事に持ち続けている。

どなたか穴を開けたい方は、お気軽にお声掛け下さい。
スマートでコンパクトなパンチ、持ってます。




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