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【風呂酒日和30-2】 おかめ 本店
【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。
月島温泉を出て、再びもんじゃロードを歩く私。
こんなにももんじゃに囲まれてしまったら、そりゃあもう、もんじゃが食べたい。
しかし、一人で鉄板焼き。
なかなかハードルが高いのではないだろうか。
入れるお店、あるかな。
そんなことを思いつつも煌びやかなもんじゃロードをうろうろとしてみる。
ちらりと中を覗くも、当然ながら一人でもんじゃしてる人など見当たらない。
さてどうするべきか。
路面店ではなく階段を上がって二階の店舗のところ、カウンター席があり奥の方を向いて座れるところ、「月島でここだけ!お椀サイズもんじゃあります」なんて書いてあるところなど目に入れつつ、お一人様ビビリの私でも入れそうなところを探す。
しかし、一人でうろつく時間が増えれば増えるほどに、どんどんどこにも入れないような気分になってきてしまった。
月島温泉で、いっぱいのおばちゃんからおずおずと退散してきたところから、今日はもうそういう気持ちになってしまったかもしれない。
月島、こわい。
別におばちゃんも月島も悪くない。
こちらがちゃんと話しかけたり堂々としていればみんなきっとにこやかにしてくれるはずなのに、ここに来て私のおどおどした性格が全力で出てきてしまったのだ。
仕方がない。そういう日もある。
でも悔しい。
そしてやっぱり、もんじゃが食べたい。
そう思いながらも、謎の居づらさから私は華やかなもんじゃロードを離れた。
人がいっぱいのきれいな商店街、こわい。
そしてもんじゃ、地味に高い。
そう、一人で食べようと思ったらもんじゃは結構割高なのである。
もんじゃロードが観光地価格だからだろうか。
とはいえ、観光客同然の一見さんの私には月島のもんじゃの相場があまりよくわからない。
どうしようどうしよう
でももんじゃ、食べたい。
そんなことをぐるぐる思いながらも心折れつつ、ふらふらと一本外れた道を歩く。
おや...?
暗めの道に灯る「もんじゃ」の文字。
ここなら...そう思ってちらりと覗く。
店内にお客さんはまだいないようだ。
店員さんが2人、メニューを見ながら話している。
もう、ここで行くしかない。
私は意を決してのれんをくぐった。
1人でもいいですか?と聞くと「どうぞー」と店主、かはわからないが男性の店員さんが答える。
1人にはかなり広めの奥のベンチ席に促された。
椅子を開け、下に荷物を入れてから席に座る。
そうそう、臭くなっちゃうからね。
そういえばもんじゃロードの店は普通のチェア席も多かったが、服に匂いがついてしまう問題はどうしているのだろうか。
荷物を置くところが別にあるのかな。
先程の男性のスタッフが、メニューを出しながら「まずおしぼりを渡して、メニューを持って行って。」と隣にいた女の子に説明している。
今日から入ったアルバイトさんだろうか。
はい、はい、と少しおとなしそうに聞いて、ちょっとおろおろした感じで私にメニューを持ってきてくれた。
なんだかほっとする。
今日の私にはとてもマッチしている気がする。
謎のおろおろ仲間のような気持ちを覚えつつも、メニューを受け取る。
その時、上の階から女の子がもう2人現れた。
2階もあるのか。
1階はそれほど広くないが、アルバイトの人が3人もいるということは2階席が広いのかもしれない。
先ほどの子と「よろしくお願いします〜」と挨拶を交わす女の子たち。
どうやら3人ともそんなにここで働いて長くないらしい。
高校生、いや大学生だろうか。
お兄さんも3人いっぺんに教えるなんて大変そうである。
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