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「夏」を深堀りする

 「夏草や 兵どもが 夢のあと」は、松尾芭蕉が5月13日(新暦6月29日)に平泉(現在の岩手県平泉町)で詠んだ俳句ですが、一体何月から何月までを夏というのか考えたことがありますか?

 学校で習ったのは、気象庁が決めている季節を表す用語から春は3~5月、夏は6~8月、秋は9~11月、冬は12~2月で覚えていると思いますが、春分の日、秋分の日って年によって日が微妙にずれたりしますよね?

 じゃあ、夏の期間も微妙にずれるんじゃないかという疑問を持ったので調べてみました。

二十四節気

 1太陽年を24分割する方法を「二十四節気(にじゅうしせっき)」と言い、その方法は「平気法(へいきほう)」と「定気法(ていきほう)」の2種類あります。

平気法~1太陽年を24等分し、冬至を起点に翌年の冬至までを約15日単位で節気と中気を交互に配置し、中気を含まない月を閏月とした。

定期法黄道(こうどう)と天の赤道(せきどう)を春分点を起点とし、太陽が通過する経路を15度単位の24分点に分けたものを指す。30の倍数を中気、これに15度足したものを節気とする。

 現代(中国では清の時憲暦、日本では江戸時代の天保暦以降)では「定期法」を用いていますが、地球の自転軸は少しずつ変化するので(歳差章動)ずれが生じるため、年によって違いが出るようです。

 ちなみに2020年の二十四節気は以下の通りですが、日だけでなく時間も正確に決まっているというのは調べてみて初めて知りました。

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※参考 国立天文台 令和2年(2020)歴要項

 これを見るかぎり、今年の夏は2020年5月5日9時51分からはじまって2020年8月7日10時06分までということなんですかね。

江戸時代の夏

 話は戻り、芭蕉が「夏草や 兵どもが 夢のあと」と平泉で詠んだのは、1689年5月13日(新暦6月29日)のことです。

 今年(2020年)の岩手県平泉の気温を見ると約26℃くらいですが、当時の江戸時代は「小氷期」にあたるので、すこし肌寒いくらいだったのかもしれませんね。

 こうした背景も知ると芭蕉が感じた風情もよりリアルに感じられる気がします。

クールビズ

 夏と言えばすっかり定着してきたクールビズ。

 環境省のサイトをみると、令和2年(2020年)のクールビズの実施期間は、「昨年と同様、5月1日から9月30日まで」とのこと。

 近年、GWあたりから暑くなったりしますし、立夏が5月5日から始まることを考えても夏という季節はこの頃からはじまるというのは少し納得です。

 それにしても暑い・・・江戸時代はどんな感じで暑さを凌いでいたのかちょっと気になったので調べてみると1つ面白い絵が見つかりました。

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       『あつまけんしみたて五節句』部分 三代歌川豊国 画

 「な、なんと、これは今でいう扇風機じゃないですか!」

 ちょっと「歌川豊国」という人物が気になったので調べてみると、江戸時代末期から明治にかけて活躍した浮世絵師みたいですね。

 扇風機ができたのは・・・1893年アメリカのウェスティングハウス社製が初とありますが、「あつまけんしみたて五節句」が書かれたのは安政2年(1855年)なので、既にその構想は8年以上前に日本にあったことが分かり、とても面白いなと思いました。

まとめ

 とりとめなく書いてきましたけど、ちょっとした疑問からこうして深堀りしてみると意外な答えが見つかることがあるので、みなさんもたまに深堀りしてその答えをわたしにこっそり教えてください(笑)




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