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仏教

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記事一覧

龍とナーガ

【龍】
 仏教の龍は、インドのナーガがモデルです。ナーガは、漢字表記では龍ですが、中国の龍とは異なり、インドコブラの神格化だとされています。一般的なナーガは、上半身が人間で、下半身が蛇の半身半蛇の蛇神です。そうした蛇神に対する信仰は、インド土着のインダス文明の頃からありました。ナーガは、水中に住み、雲や雨をもたらす水の神だとされています。その住み家は、地下世界のバーダーラ王国です。バーダーラ王国の

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迦楼羅について

【迦楼羅】

 迦楼羅は、頭が鳥で、人間の身体に翼が生えた姿をしています。その身体は、巨大で、翼を広げると360万里にも達しました。羽根は、鷲のもので、翼は赤かったとされています。全体的に金色だったので、日本では、金翅鳥「こんじちょう」とも呼ばれました。その姿は、日本のカラス天狗に影響を与えたとされています。迦楼羅は、鳥類の王です。一説では、迦楼羅は、鳥の姿をした太陽のことだとされています。そのた

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五蘊

五蘊

【五蘊】
 仏教で、個体を構成する「色」「受」「想」「行」「識」という5つの要素を、五蘊「ごうん」と言います。「蘊」とは、同じものの集合体のことです。五蘊は、物質的なものと精神的なものからなります。物質的なものは、客観的なもので、精神的なものは、主観的なもののです。五蘊は、サンスクリット語で「パンチャ・スカンダ」と言います。パンチャが5で、スカンダが蘊という意味です。
 この世にある全てのものは、

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仏教の天部

【天】
 仏教に取り入れられた古代インドの神々を「天」と言います。通常、天と呼ぶのは、デーヴァ系の神々のことです。デーヴァとは、サンスクリット語で「輝きを発する者」と言う意味だとされています。例えば、インドラ「帝釈天」、スーリヤ「日天」、ヴァーユ「風天」、アグニ「火天」などがデーヴァです。天は、自然現象の神格化、または、自然の構成要素だとされています。そのため、天地万物の主催者として、人間の運命を

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阿修羅について

【阿修羅】
 阿修羅は、サンスクリット語で「アスラ」と言います。アスラの名前の由来は「生命を与えるもの」です。asuが「命」で、raが「与える」だとされています。別の解釈では「a」が、否定の説頭語で「sura」が「天」という意味です。その場合、別名を「非天」と言います。アスラは、ゾロアスター教では、神々のことです。しかし、インドでは悪魔とされました。アスラは、文明の諸要素の神格化だとされています。

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大乗仏教の「諸法無我」とは?

大乗仏教の「諸法無我」とは?

【諸法無我】
 諸法無我とは、個別独立的な我を否定する考え方です。それは、仏教の根本思想の一つに数えられます。 「諸法」とは、全ての現象のことで「無我」は、我というものが、この世界から、個別に独立した存在ではないという意味です。我「自分」は、それ自体だけで成り立つものではなく、他のものとの関係性によって存在しています。そもそも、自分の心すら自分の思い通りにはならないものです。そのような状態では、

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大乗仏教の「仏」について

大乗仏教の「仏」について

【仏】
 「仏」の語源は「煩悩の結び目を解く」です。釈迦「仏陀」のような聖者も仏と呼ばれています。仏陀とは「悟りを開いた人」という意味です。仏教そのものや、悟りを開くための方法を「仏法」と呼びます。本来、万物とは、仏という一つのものです。そこに、区別などありませんでした。しかし、自分の認識が、一つであるものを分別しています。人間は、事物をありのままに見ているわけではありません。先入観や偏見でものを

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曼荼羅とは何か

曼荼羅とは何か

【曼荼羅】
 曼荼羅「マンダラ」とは、宇宙の「真理」や「本質」を表現したものだとされています。その語源は「丸い」や「本質を有するもの」です。曼荼羅の円形は、永遠の時間の象徴とされています。円形が、始めも終わりもないものだからです。曼荼羅は、中国では、輪円具足「りんえんぐそく」と言います。「具足」とは「十分に備わっている」や「完全に揃う」という意味です。曼荼羅とは、仏教の宇宙観を視覚的に図式化したも

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空海ついて

空海ついて

【空海】
 空海は、平安時代初期の僧です。讃岐「香川県」の豪族の子として、善通寺で誕生しました。幼名を真魚「まお」と言い、神童だったとされてます。弘法大師という名は、死んでから送られた名前です。遣唐使の留学生に便乗して、国から何の補助も受けずに中国に渡りました。中国で師事したのが、恵果という人物です。空海は、恵果に認められ、真言密教の正統な後継者となりました。日本に帰国してからは、嵯峨天皇から信

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密教とは

密教とは

【密教】
 密教とは、秘密仏教の略称で、言葉や理論を超えた秘密の教えという意味です。その「教義」や「儀礼」は、秘密裏に弟子たちに伝えられました。密教以外の仏教は、顕教と呼ばれています。 日本では、真言宗の「東密」と天台宗の「台密」が有名です。密教は、自力本願の代表で、禅と最も近い仏教とされています。悟りに到るには、個人の実践と経験が必要でした。密教が、最も重視する仏が大日如来です。全ての諸仏、仏教

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地蔵菩薩について

地蔵菩薩について

【地蔵菩薩】
 地蔵菩薩は、サンスクリット語で、クシティガルバと言います。クシティが「大地」で、ガルバが「胎、子宮」という意味です。続けると「大地の蔵」や「大地の母胎」となります。日本の仏像で、最も数が多いのが地蔵菩薩です。地蔵菩薩には「僧形」と「女神形」があります。
 僧形の場合は、子供のような僧侶の姿です。この時、特に装身品は身につけていません。剃髪に、衲衣「のうえ」と呼ばれる袈裟を着ていま

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「大日如来」について

「大日如来」について

【大日如来】
 大日如来は、別名を盧舎那仏「るしゃなぶつ」と言います。サンスクリット語では「ヴァイローチャナ」です。初期の仏教では「転輪聖王」とされました。転輪聖王とは、理想的な王のことです。また、大日如来は、アスラ「アシュラ」の王とされています。アスラとは、ペルシャのゾロアスター教では神々のことです。そのため、大日如来は、ゾロアスター教の最高神アフラ•マズダーと同一視されました。アフラ•マズダ

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阿弥陀如来について

阿弥陀如来について

【阿弥陀如来】
 阿弥陀如来は、日本には、奈良時代に伝えられました。そのモデルは、インドの国王だとされています。阿弥陀如来は、菩薩時代、法蔵菩薩と名乗っていました。その師とされるのが、世自在王如来です。悟りを開いてからは、阿弥陀如来が、全ての仏の師匠となりました。大日如来、薬師如来、釈迦如来なども阿弥陀如来の力によって悟りを開いたとされます。そのため、根本の仏とされました。阿弥陀如来は、時間的に

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