迦楼羅について

【迦楼羅】

 迦楼羅は、頭が鳥で、人間の身体に翼が生えた姿をしています。その身体は、巨大で、翼を広げると360万里にも達しました。羽根は、鷲のもので、翼は赤かったとされています。全体的に金色だったので、日本では、金翅鳥「こんじちょう」とも呼ばれました。その姿は、日本のカラス天狗に影響を与えたとされています。迦楼羅は、鳥類の王です。一説では、迦楼羅は、鳥の姿をした太陽のことだとされています。そのため、太陽のように光を発することが出来ました。または、迦楼羅は、人間の精神ことだともされています。迦楼羅は、口から金の火を吹くことが出来ました。その火で、悪を滅ぼしたとされています。不動明王の迦楼羅炎もそれが由来です。

【仏教】
 迦楼羅は、仏教の天龍八部衆に属しています。仏像では、興福寺のものが有名です。興福寺の迦楼羅は、頭部に鶏冠があり、肩にスカーフを巻いて、澄ましたような表情で笛を吹いてます。迦楼羅のモデルは、ヒンドゥー教のガルーダという神鳥です。ガルーダは、那羅延天「ヴィシュヌ神」の乗り物「ヴァーハナ」だとされています。その名前の由来「飲み込む」です。ガルーダは、悪龍を好んで食べるとされています。悪龍とは、毒蛇のことです。仏教では、毒蛇は、煩悩の象徴だとされています。それを食うので、食吐非苦鳥「じきとじくちょう」とも呼ばれました。それは、猛禽類が蛇を食べることに由来しているとされています。迦楼羅は、仏教に入ってからは、護法善神とされました。護法善神とは、仏教の守護者のことです。

【ガルーダ】
 ガルーダは、ブラフマーの子、聖仙「カシュパ」と、造物主プラジャパティの娘「ヴィナター」の子として生まれました。ヴィナターは、カシュパの第三夫人だったとされています。ちなみに第一夫人は、ヴィナターの姉のガドゥルーでした。ガドゥルーは、1000個の卵を産み、そこから1000匹のナーガ「龍」が、孵ったとされています。一方、ヴィナターが産んだ卵は2個だけで、しかも孵りませんでした。ヴィナターが焦って、その卵の一つを割った時、誕生したのが暁の神アルナです。しかし、アルナは、上半身しかありませんでした。なぜなら、身体が、まだ完成していなかったからです。怒ったアルナは、ヴィナターにナーガの奴隷となる呪いをかけました。その500年後に、もう一つの卵から、誕生したのがガルーダです。

【アムリタ】
 卵から孵ったガルーダは、すぐに成長し、ナーガの奴隷となった母を解放しようとします。ガルーダは、ナーガと交渉し、アムリタをとってくるという条件で、母を解放してもらうことになりました。アムリタとは、それを飲んだ者を不死にする甘露のことです。神々の王インドラが、アムリタを守っていましたが、ガルーダは、それを盗み出すことに成功しました。それを持ち帰る途中に出会ったのがヴィシュヌ神です。ヴィシュヌ神は、ガルーダの力を称賛し、褒美として二つの願いを叶えてやりました。その願いとは、アムリタ飲まなくても不死になることと、いつもヴィシュヌの側にいることです。
 インドラは、アムリタを取り返すべく、ガルーダを追ってきました。しかし、ガルーダには、ヴァジュラが効かず、そのうえインドラより100倍強かったとされています。ヴァジュラとは、インドラの武器で、稲妻のことです。そこでインドラは、ある計略を持ちかけガルーダと和睦しました。ガルーダが、アムリタをナーガのもとに届けたので、ヴィナターは、無事に解放されましたが、ナーガは、アムリタを飲むことが出来ませんでした。なぜなら、インドラとガルーダの計略で、ナーガがアムリタを飲む前に、インドラが奪い去ったからです。

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