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密教とは

【密教】
 密教とは、秘密仏教の略称で、言葉や理論を超えた秘密の教えという意味です。その「教義」や「儀礼」は、秘密裏に弟子たちに伝えられました。密教以外の仏教は、顕教と呼ばれています。 日本では、真言宗の「東密」と天台宗の「台密」が有名です。密教は、自力本願の代表で、禅と最も近い仏教とされています。悟りに到るには、個人の実践と経験が必要でした。密教が、最も重視する仏が大日如来です。全ての諸仏、仏教以外の神々までも「大日如来」の化身だとされてます。大日如来は「法身」と呼ばれる、永遠不滅の真理そのものでした。それを法身説「ほっしん」と言います

【特徴】
 法身説は、密教の特徴一つでした。それ以外に「果分可説」と「即身成仏」があります。果分可説とは、悟りの内容は、説明することが出来るとするものです。空海も、悟りは、言語化出来るとしました。即身成仏「そくしんじょうぶつ」とは、生きたままの状態で、悟りを開くことです。 悟りを開くのには、男女の区別はありませんでした。修行を通して、肉体と仏が、一体化するとされています。密教には、独特の修行方法がありました。例えば、護摩を炊いたり、手の印相を組むなどです。それは、神秘的、呪術的な儀礼でした。その秘法を伝授する資格を有する者を阿闍梨「あじゃり」と言います。

【種子】
 真言とは、如来の真実の言葉という意味です。サンスクリット語では、マントラと言います。 本来、仏の働きは言葉では表せません。それをあえて、秘密の言葉で表現したものが真言です。 真言には、梵字という文字が使われます。梵字一字で、多くの仏を表現することが出来ました。その真言の一種が「種子」または「種字」と呼ばれるものです。種子には、事物を生じさせる力があるとされています。大日如来の梵字が阿字です。その阿字を心に念じ、自分の心を見つめる瞑想方法を阿字観「あじかん」と言います。阿字観によって、仏と共鳴し一体化することができました。

【曼荼羅】
 密教では、宇宙の真理を視覚的に、言葉でなく絵で伝えようとしました。それを図式化したものが曼荼羅「マンダラ」です。漢字で訳すと、輪円具足「りんえんぐそく」と言います。「具足」とは、完全に揃っているという意味です。曼荼羅には、余すところなき総体という意味があります。そこには、文字列、神仏の集合体が描かれていました。曼荼羅の円は、始めも終わりもない、永遠の時間の象徴です。また、かけることのない円は、真理の形を表現しています。 金剛頂経、大日経に基づく曼荼羅が両界曼荼羅です。両界曼荼羅には、胎蔵界曼荼羅「たいぞうかい」と金剛界曼荼羅「こんごうかい」があります。
 大日経を基本とするのが、胎蔵界曼荼羅です。胎蔵とは、母の胎内という意味で、大いなる慈悲の心で、菩提心を育てるとされています。 菩提心とは悟りを求める心のことです。胎蔵界曼荼羅は、12院で構成され、大日如来を中心に、外側に向かって、仏の像が小さく描かれました。金剛頂経を基本とするのが、金剛界曼荼羅です。金剛界曼荼羅は、真理に至るまでの智の働きと悟りへの道筋を表現しています。「9会」と呼ばれる9ブロックから構成され、中心には、大きく大日如来が描かれました。


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