【読書感想文】京大 おどろきのウイルス学講義【おすすめ本その4】
はじめに
皆さんご機嫌よう☺️。暇人33号🐹です。
世間を混乱に陥れているコロナ禍も、今年でもう3年目になってしまいました。春になったというのに、感染者(陽性者)はあまり減っていませんね。
「止まない雨は無い」ですから、いつかは終息するのでしょうけど…。5類に変わらない限りは、コロナ禍が終わる事はないでしょう。自然のものを人為的に消滅させる事等、不可能でしょうから。
…筆者は、諸事情で7年前からマスクを着用しながら生活していたので、比較的素早く順応出来ましたけど、皆さんは如何でしょうか?
もう慣れた😷、という方々もいらっしゃる事でしょうけど、肌が弱くかぶれや炎症が起きてしまう方々はさぞかし大変な事でしょう🥺。
しかし、語弊のある言い方かもしれませんが、コロナウイルスは目に見えないちっぽけな奴らなのに凄いですよね。世界をコレだけ混乱状態にしてしまったのだから。
そもそも、ウイルスとは一体、どんな奴らなのでしょうか?身体に悪影響を及ぼす悪い奴ら、というイメージをどうしても抱いてしまいますが。
そこでふと、去年に読んだウイルスに関して書かれた本の事を思い出しました。
今回は、読書感想文の第四弾と致しまして、PHP新書発行、京都大学准教授・宮沢孝幸 著の『京大 おどろきのウイルス学講義』のお話をしていきたいと思います。
宜しければ、ご覧下さい。
著者はどんな方なのか
本項は、著者である京都大学ウイルス・再生医科学研究所准教授の宮沢孝幸氏のご紹介です。
まず初めに目をひいたのは、東大初の飛び級で博士号を取得したという所。文字通りの天才であられるようです。
失礼な言い方かもしれませんが、本書の帯に写った著者が「可愛らしい」お姿でしたので、そのギャップにビックリしました。
また、帯広畜産大学にも在籍されていたのですね。十勝出身の筆者は勝手に親近感を感じてしまいました🤗。
どのような内容なのか?
本書は以下の構成となっております。各章がどのような内容なのかを軽く触れていきます。
~まえがき~
本書は「まえがき」の部分において、ヒトが感染して発症するウイルスが主に動物界からやってくる事や、病原性ウイルスだけでなく、ヒトの誕生に役立っているウイルスや、癌を抑えるウイルス等、有用なウイルスがある事に触れられています。
「はじめに」から驚かされました。ウイルスにも「良い奴(人間目線での)」が居たんですね!一体、有用なウイルスとはどのようなものなのか?本書を読み進めると分かります。
第1️⃣章 「次」に来る可能性がある、動物界のウイルス
新興ウイルス感染症は予期せぬ所からやってくる。として、著者は新興ウイルス感染症と対峙するにあたって、『新興ウイルス研究のためには、選択と集中をしてはいけない』と警鐘を鳴らしました。
というのも、研究の分野では目先の成果を追求するために、「選択と集中」が行われがちな傾向にあるようです。しかしその結果、新興ウイルス感染症が流行した場合、その新興ウイルスに対する研究が進んでいなかったら?
著者はそのような背景を鑑みて『選択と集中をしてはいけない』と書いたのでしょう。筆者も、著者の見解には賛成ですね。またいつ新興ウイルスによって混乱状態になるか分かりませんから。
その他にも、「次」に来る可能性がある様々な動物界のウイルスについて、第一章では触れられています。
第2️⃣章 人はウイルスと共に暮らしている
第二章では、動物由来のウイルスや、なぜウイルスが広がるようになったのか?や、ウイルスが発生・拡大する13の要因などが『教科書的な説明』として挙げられています。
また、ウイルス研究において、わかっているウイルスは氷山の一角で、殆どのウイルスが未同定(※1)である事も書かれています。
第一章でも書かれていた、研究分野における「選択と集中」が行われた事による弊害なのでしょうか。
病原性ウイルスを網羅的に研究していくことが、将来のヒト新興ウイルス感染症の対策としてたいへん重要だとして、第二章が締めくくられます。
第3️⃣章 そもそも「ウイルス」とは何?
第三章では、最初は細胞の基本的な仕組みについてから始まり、そこからウイルスがどのような構造なのか、どのような種類があるのかについて書かれています。
筆者が冒頭で書いた疑問が、とても分かりやすく書かれておりました。この章だけで筆者にとっては一冊分の価値があると感じたくらいです。
そして、本章を読めば、新型コロナワクチンの仕組みについても基本的な部分が理解出来るようになります。
接種するか、しないかの判断をする上で、第四章と合わせてとても参考になる章でした。
第4️⃣章 ウイルスとワクチン
第四章では、人類がウイルスに対抗するために手に入れた「ワクチン」について書かれています。
一般的に知られている生ワクチンや不活化ワクチン、比較的歴史の浅い遺伝子組み換えワクチンや核酸ワクチンについて触れられています。
現在、接種が進められている新型コロナワクチンは、上記の分類で言いますと核酸ワクチンにあたります。
治験で非常に高い効果を示しているとしながらも、長期的なリスクについては未知数であり、今後の推移を見守る必要がある、と著者は中立的な立場で論じています。
第5️⃣章 生物の遺伝子を書き換えてしまう「レトロウイルス」
「古いウイルスのことかな?🤔」という筆者の浅い考えを見透かされたかのように(笑)、第五章の最初の段階でラテン語で「逆の」を意味すると説明されておりました(笑)。
生物の細胞の中の
DNA→RNA→タンパク質
という、体の設計図DNAをコピー(転写)して、RNAという手順書を作り、手順書をもとにタンパク質を作る流れがあり、それ以外の流れは起こらないとされ、セントラル・ドグマ(中心教義)と呼ばれていました。
しかし、レトロウイルスというものは、先述の「逆の」意味の通りに、この掟を破る流れを起こすものだという事が分かったそうです。
本章ではそんなレトロウイルスが生物の遺伝子を書き換えてしまう事や、様々なレトロウイルスについて触れられています。
驚いた点は、人間の全ての細胞に、レトロウイルスの遺伝子由来の配列が入っていると書かれた所でした。
我々人類は、ウイルスと共に生きているんですね。感慨深いものがあります。
第6️⃣章 ヒトの胎盤はレトロウイルスによって生まれた
というタイトル通り、第六章では前章において触れられたレトロウイルスが、害を及ぼすだけの存在ではなく、生命の誕生に役立つ働きをしている事が書かれています。
また、京都大学iPS細胞研究所・所長の山中伸弥教授が研究している、iPS細胞についても触れられています。
レトロウイルスから始まる無限の可能性について論じられており、読んでいて「これから先、世界はどうなって行くのだろう?」と、とてもワクワクさせられた章でした。
第7️⃣章 生物の進化に貢献してきたレトロウイルス
そして、最終章では、第五章より語られてきたレトロウイルスが、生物の進化や絶滅に重要な働きをしてきた事について語られております。
まるで「ウイルスに関する本を読んでいる」というよりかは、良質なSFものを読んでいるかのような気持ちにさせる章でした。
最終章で印象的に感じた所を最後にご紹介して、感想に移りたいと思います。
感想
ウイルスは生物に害をなすだけでなく、役に立っていることや、生物の誕生という根源的な部分にも関わる重要不可欠な存在であるという事がわかり、読んでいて目からウロコが落ちまくりの好著でした。
テレビ等に出演される際に、都合良くトリミングされ悪者かのように扱われる事も少なくなかった、宮沢孝幸准教授。
しかし本書を読むと、文脈から著者の人として・研究者としての誠実さ謙虚さが随所に感じられて、「本当はこういうお方だったんだ!」と著者に対する好感も上がりました。
本書は『高校生でも十分理解出来るように書いたつもり』との事なので、大人であれば殆どの方が抵抗無く読み進める事が出来る本だと思いました。現に筆者は高卒ですが、難なく読破しました。
めくるめく展開されるウイルスの知識に、知的好奇心が刺激される事間違い無し!かなりのおすすめ本です!読んで絶対損はないと思います!
最後に
如何でしたでしょうか?
今回の読書感想文が、何か皆様のお役に立てたのなら、またとない幸いでございます。
読書感想文はまだまだ続けて参ります。また、読書感想文シリーズを独立してマガジンにしましたので、宜しければ覗いて見て下さい。全て無料です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊。
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それでは、今日はこの辺で☺️。
また会いましょう🤗。
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