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小説#01 序文【DXで苦しむ方を一人でも減らしたい】

以前のエントリで「SE職場の真実」という書籍を紹介しました。そして、実体験には価値があるのではないかと結びました。

せっかくnoteというクリエイター向けのプラットフォームを利用しているので、僕も実体験をもとにした小説を書いてみようと思います。もちろん守秘義務がありますのでフィクションです。フィクションではありますが、僕が実際に経験したこと・経験から学んだことを共有することで、社会のDX化が円滑に進み、デスマーチに追い込まれる方が減り、消費者視点でよりよい社会を実現することに僅かばかりでも貢献できればいいなと考えています。

今回は、物語に入る前の序文です。

① 僕たちは戦争のようなガラガラポンの中にいる

昨今、AI(人工知能)によって人間の仕事が奪われていくのではないかと不安に感じている方も多いと思います。AIはオフィスワーカーの仕事を奪いますし、自動運転技術は交通機関や物流関係者の仕事を奪います。農業は機械がやり、小売はECになり、飲食はドローンが運んでくるようになります。医者や弁護士や教師などはもっと早く機械化されるかもしれません。

あなたは「いま仕事を奪われていないのだから今後も奪われないんじゃないの?」と思うかもしれません。企業で投資判断に携わっていると分かりますが、いま機械化されていないのは単純なROI(費用対効果)だけの話です。現時点ではまだまだ、

機械のコスト > 人間のコスト

のため、人間の仕事が残っているに過ぎません。もし機械と人間が同等レベルのコストであれば、経営的には機械の方が扱いやすいのは確実です。機械は解雇規制で辞めさせられないこともありませんし、ヒューマンエラーを起こすこともありません。休息も必要ありませんし、モチベーション・マネジメントも必要ありません。労働組合を組んでギャーギャー騒ぎ立てることもありません。

そして、技術革新により機械のコストはますます低下しています。逆に、人間がやるコストはどんどん高騰しています。「最低賃金を増やせ!」みたいな主張だったり、新興国の経済発展によりオフショア(安い新興国に仕事を丸投げすること)のコストがあがったりしています。

さらにいえば、コロナ禍を受けて、ハンコを無くすだったり、遠隔医療だったりといったデジタル化・カルチャー変革の大きな流れが生まれています。その結果、ありとあらゆる産業構造が不可逆かつ加速度的に変化していくのは明らかだと思います。僕たちは戦争のようなガラガラポンの中にいます。

② 僕たちはどんな仕事をするべきなのか

こういった世界を予想したとき不安に駆られると思います。僕も不安です。これから僕たちはどんな仕事をするべきなのでしょうか。より大きな話をすれば、機械ではなく人間がやるべきことは何になるのでしょうか。

一つの解としては機械の奴隷になること。典型的にはウーバーイーツの配達員です。注文に応じ機械が最適な配達員をアサインして、配達員は機械の指示に従って働きます。機械と人間の指示命令系統が逆転し、機械が脳みそ・人間が手足となってサービスを成り立たせています。今後、この機械の奴隷になる流れは加速していくでしょう。工事現場の作業員はVRレンズをつけ、機械のマネージメントで適切な手順で工事をしていくことになります。医者は機械が診断した結果をもとに、機械が判断した方法で手術をしていくことになります。大半のブルーカラーは機械化したホワイトカラーに従う奴隷となります。

ここで誤解してほしくないのは、機械の奴隷になること自体が悪いことではないということです。朝起きたら今日やるべきタスクはすでに決まっています。そしてそれを淡々とこなせば衣食住に困ることはないし、掃除も洗濯も炊事も半自動です。好きな音楽も演劇もアニメもドラマも勝手に選んでくれているし、次に行くべき旅先もリコメンドされて、あなたが最も楽しめる旅行プランを決めてもらえます。相性の良い恋人候補も決めてもらえるかもしれません。これほどラクなことはありません。

もう一つの解としては機械を創る側になること。機械と人間の最も大きな違いは「モチベーション」だと言います。何かを成し遂げたい、何かを創りたい、何かをやりたい、何かを変えたい、誰かに勝ちたい、もっと儲けたい、もっと幸せになりたい。機械にはそういう「想い」がありません。機械に使われるのではなく、機械を使う側、創る側に立つこと。誰もがラクに過ごせる世界の実現に向けて知恵を絞り手を動かす仕事をすること。

典型的には研究者、政治家、経営者、芸術家、クリエイター、スポーツ選手などが挙げられます。そしてもうひとつ、DXを推進する方もこちらに含まれると思います。業務を、サービスを、社会を、世界を変えたいと望み、プログラマーと共同してラクで楽しい世界を実現させていきます。

機械の奴隷になるか、機械を奴隷にするか
遠い未来のようで実は近い未来なのかもしれません。

③ DXを推進することは楽しい

さて、僕は底意地が悪いので、DXに関するよもやまで酷いことを書いたり皮肉ったりしていますが、実のところIT業界が好きです。DXを推進することが大好きです。大好きな理由は2つあります。

1つ目は、それは他者貢献だからです。ITの力によって他者が便利なるのは仕事のモチベーションの一つです。B2CやB2Bでもいいですが、僕は自社内の業務を改善することが好きです。お世話になった先輩方や尊敬すべき仲間たちから、「楽になったよ!」「助かったよ!」「次も頼むよ!」という言葉をもらう。それはもしかしたら給与以上の価値があるのかもしれません。

2つ目は、自らの手で世界を変えられる可能性があるからです。世界というと大げさに感じるかもしれません。ですが、いまあなたにこの文章を届けているのはITの力です。身も知らないあなたに将来の不安を煽る文章を読んでいただいている。少し前では出版でもしなければ伝えられない文章です。一世紀も前の方から見れば奇跡や神の御業に映るでしょう。まさに現代の魔術です。

僕はそんな楽しい仕事を15年以上つづけてきました。

ただ、この仕事は楽しいだけではできません。技術的な基礎を学び、日進月歩で進化する技術トレンドを追いかけ、自ら手を動かすことが最低限必要です。そして様々な人の間に立ち、政治的な振る舞いも多分に求められます。実際、自社他社含めて、何人もの仲間たちが精神的に追い詰められていきました。

IT業界で苦しむ方を一人でも減らしたい。
DXが実現する「ラク」な世界に僅かばかりでも貢献したい。

そんな想いを伝えた上で、僕の経験談をゆっくり語っていきたいと思います。

↓つづきです。

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