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教師だけを目指す大きな落とし穴

教師を目指すことにはある程度のリスクや落とし穴があります。そのため、『私は先生になりたい!それ以外の勉強はしない!』というのはオススメしません。以下では、どのようなリスクがあるかを説明していきます。


精神疾患になる

学校は、場合によっては月80時間を超える残業が当たり前です。新卒だろうが、ベテランだろうが、関係はありません。

学生生活からいきなり過酷な労働環境になるため、新卒の若手が身体と心に異常をきたすことも珍しくは有りません。例えば、長時間の労働により、夜眠れない、体重が急に落ち痩せこけた、胸がずっとバクバクする、気持ちが休まらない、などの、適応障害、鬱、などの精神疾患を発症するケースです。


専門性が身につかない

日本の教員は、専門知識を身につけるなどの職能開発(自己研鑽)の時間が極端に少ないというデータがあります*1。具体的には、他国の教師が専門的知識を磨く時間を週に2時間は割いているのに、日本の教員は週にわずか45分ほどの時間しかありません。これは参加国中で最低です。

なぜでしょうか。教師には、そもそも雑務含めた業務量が多すぎることが、職能開発の時間とやる気を奪っていると考えられます。例えば、未経験の部活動顧問で大半の勤務時間が消費される、土日も部活動顧問で専門性を磨く機会がない、授業を蔑ろにする雰囲気、その他書類仕事で忙殺される、などが挙がられます。

そのため、何十年働いても専門性が身につかないことになりかねません。特別支援を要する生徒の対応を間違えたり、精神論に依存して不適切な指導になってしまったり、時代遅れの教科指導をしたり、など、子どもを苦しめることにも繋がります。また、専門知識も技術も無ければ、キャリアアップをしようにも、転職市場において評価されません。


退職に追い込まれる

学校という職場や教師の働き方が自分に万一合わなかった場合には、退職せざるを得ないことがあります。先に挙げたような精神疾患などにかかり働けなくなったり、教師を続ける意欲が無くなった最悪のケースです。

公務員の特徴として、専門家ではなくゼネラリストを育てようとする人事になりがちです。しかし、先生としてなんでもできる人は、逆に言うと労働市場では、何も取り柄がない人という評価になります。何か専門的知識や得意分野も日頃から訓練しておかないと、他に得られる職が無くなり詰んでしまうことが考えられます。


まとめ

教員になるリスクを紹介しました。リスクは、『起こるかもしれない』と備えておくことが重要です。勿論、起こらないことに越したことはありません。しかし、『自分は精神疾患で働けなくなり教師を辞めるだろう』と思って教師になる人はいないはずです。

リスクヘッジが必要です。リスクヘッジとは、リスクを予測して、リスクに対応できるよう備えることです。この場合は、教師が万一自分に合わなかったとしても、別の道に進んで職を得られるように備えておくことです。教員以外の資格も取っておいたり、専門性を深く磨いておいたり、就活セミナーにも一応参加しておくなど、他の可能性も育てておくことが考えられます。

*1 TALIS 2018 Results (Volume I) データより
https://www.oecd-ilibrary.org/sites/1d0bc92a-en/1/3/3/index.html?itemId=/content/publication/1d0bc92a-en&_csp_=1418ec5a16ddb9919c5bc207486a271c&itemIGO=oecd&itemContentType=boo


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