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公認心理師、臨床心理士。田舎の心理学人。心理検査を中心に日々学習、実践。

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最近の記事

【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー③ ~ASD

本ノートは、MMPI使用者向け。MMPIと発達障害についての気楽なレビュー。レビューっぽくまとめた論文の皆さんの紹介です。系統だってなんてないです。前回の続き。 5,ASD(1)バック・トゥー・the MMPI  MMPI時代に「臨床現場で活かす! よくわかるMMPIハンドブック(基礎編)」で、ふれられてたのはASDでした。ADHDよりもむしろ。そうか、MMPIはASDをうまく切り出せるのかしらん。  例えば なんてあって。ASDについて上記のいくつかの尺度でとらえる

    • 【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー② ~ADHDの偽装

      本ノートは、MMPI使用者向け。MMPIと発達障害についての気楽なレビュー。レビューっぽくまとめた論文の皆さんの紹介です。系統だってなんてないです。前回の続き。 3,ADHDの偽装 ADHDとMMPIの研究を探してると結構でてくるのがfaigningとかmailingeringとかのワードで、MMPIでADHDを偽装した、すなわち「ニセADHD」を割り出す研究が出てきます。以前どこかで聞いた話だけれど、海外の大学では発達障害診断を持っていると、単位取得などに配慮が得られ、

      • 【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー ~ADHD

         本ノートは、MMPIについて学んだことをシェアするためのものです。レビューなんていってるけれど、論文はちゃんとよんでなくて、アブストくらいしか見てません。系統だってもおらず、おもいつきでまとめてみました。 1,はじめに ~質問紙は脳機能の夢を見るか?  MMPIで、はたして発達障害のアセスメントでなにができるだろう。第一にうかぶのが「そりゃなんもできねえズラ、MMPIってのは発達障害をみるもんじゃあねえズラ!」というもの。たしかに、MMPIって「発達障害の診断の補助に!」

        • 【MMPI2RF学習3】RCdの奥にいる実存主義と感情の円環理論

          本ノートはMMPI2RFの学びのシェアのためのものです。 1,RCdの登場 MMPI2RFは基礎尺度がRC尺度(臨床再構成尺度)にかわりました。RC尺度の作成の流れ以前のノートにあります。開発の流れをあらためてみると  RC尺度をつくるときの4ステップの一番最初に来ているのが"士気喪失”demoralizationをとらえる、です。  なぜこれが重要かというともともとMMPIのすべてに共通する要因を探している研究がありました(最初はWelshのAでした。前のノート)。MM

        【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー③ ~ASD

        • 【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー② ~ADHDの偽装

        • 【MMPI2RF学習4】MMPIと発達障害の私的レビュー ~ADHD

        • 【MMPI2RF学習3】RCdの奥にいる実存主義と感情の円環理論

          【MMPI2RF学習2】Fの極度の上昇は妥当性なしか病理ゆえか

           本ノートは、心理検査実践者向けのノートで、MMPIについて学び考えたことをシェアするものです。 1,Fの上昇は妥当性を問われない? MMPIは昔から「妥当性尺度」があって、本来は「偏った妥当性がない回答」を検出するもの、のはずです。   でも、MMPIの主要なテキストは「妥当性なし」と明確に書かれていませんでした。赤本ことフリードマンでは  日本では、そのすそ野がさらに広がっているようにみえます。さらに広げているのは、  「日本臨床MMPI研究会監修(2011)わかりや

          【MMPI2RF学習2】Fの極度の上昇は妥当性なしか病理ゆえか

          【MMPI-2RF学習1】MMPIとMMPI-2RF~基本構造の対応を考える

           本ノートは、MMPI2-RFについて学んだことをシェアするノートです。心理検査実践家向けです。 1,なぜMMPI2-RF  まず変化にびびる   ついに、MMPI-3に移行しました。その変化に、仰天しております。  MMPIとMMPI2は関連性が強いのですが、MMPI-2RF以降は、かなりの変化を迎えています。  二つの違いは、なにより基礎尺度が違う(今までの1~0の十個→RC尺度)。そして基礎尺度も尺度間で項目が重複しない。だからこそ2点コードがない。そもそも2点コ

          【MMPI-2RF学習1】MMPIとMMPI-2RF~基本構造の対応を考える

          【臨床雑考】心理検査の「ない」の証明~あるいはMMPIのwithin normal limitについて

           このノートは、心理検査の実践のなかで考えたことを示すノートです。  「ほんとうに、病気じゃないって言えるんですか?」    心理検査にこんな要望がよせられることがあります。「病気じゃない、ってわかりますか?」です。ひょっとしたら会社で「おかしい」とおもわれたくない、家族にさんざん「へんだへんだ」といわれたから家族に「変じゃない」ことを証明したい・・・・などなど  少なくとも僕はこういう時にちょっとかまえてしまいます。検査者のなかには、首をひねりひねり、対応に苦慮する人もい

          【臨床雑考】心理検査の「ない」の証明~あるいはMMPIのwithin normal limitについて

          【書評】治療的アセスメントのさいしょの名著 「MMPIで学ぶ 心理査定フィードバック面接マニュアル」

           本ノートは、「MMPIで学ぶ 心理査定フィードバック面接マニュアル(スティーブン・E・フィン著 田澤安弘・酒木保訳)」(以下、本書)を読んだ感想です。  さいしょにまとめると、本書は、埋もれた良書で、治療的アセスメントのコンパクトなダイジェストに大変有用な書籍です。必ずしも「MMPI」でなくとも転用しうる方法論に満ちています。 ずっとさがしていた、けれど・・・・ 数少ないMMPI関連書籍。これはみたことなかったからほしいなあとずっとおもっていたけれど、入手困難でした。新

          【書評】治療的アセスメントのさいしょの名著 「MMPIで学ぶ 心理査定フィードバック面接マニュアル」

          【論文考】フォーカシング新時代の予感になるか~「予感する身体」岡村心平著

          本ノートは、読んで面白かった論文について考えたことを示したノートです。 紹介する論文 岡村心平 2022「予感する身体 : 治療文化論的考察」関西大学東西学術研究所紀要55巻p147-185 (以下本論文) KU-0400-20220701-10 (4).pdf 概要「フォーカシングという「身体知」に関する治療文化論である」(本論文)とはじまるとおり、フォーカシングがどのような位置づけかを探る論文です。ジェンドリンの哲学的論考を中心に、フォーカシングが如何に、新しい発想、

          【論文考】フォーカシング新時代の予感になるか~「予感する身体」岡村心平著

          [MMPI研究8]2点コードは精神医学的診断に迫れるか?~Greeneの診断群研究

           本ノートは、MMPIヘビーユーザー向けです。特に精神医学的診断に関連する情報です。    MMPIを解釈するうえでは、2点コードは非常に重要。解釈の中心になることはしばしば。ぼくも解釈の軸には2点コードが占める要素は大きいです。  テキストをいろいろみているうちに、「はてもっと確定的に診断にちかづけないか?」と考えていくと、どこかしら限界にぶつかります。MMPIが確実に診断にきりこめそうで、どこかで壁がある。  あれこれと調べたりしているとでてきたのが、以下。 Gree

          [MMPI研究8]2点コードは精神医学的診断に迫れるか?~Greeneの診断群研究

          [MMPI研究0]最新の妥当性尺度の源流~Greeneの妥当性尺度解釈ストラテジー

           このノートは、MMPIヘビーユーザー向けです。  MMPIの妥当性尺度の、最新のものはすでに昔にそのプロトタイプがあった(のかもしれない)、ということを示します。 最新の妥当性尺度  今までのノートで示していますが、MMPI-2/2RFでは、妥当性尺度が色々増えたり様変わりしています。(これとかこれとか。これもね。MMPI-2RF/3の妥当性尺度も2を引き継いでいる模様です)  MMPI時代の妥当性尺度は、L,F,Kの三つがあってそのバランスを見ようね、だったんですが

          [MMPI研究0]最新の妥当性尺度の源流~Greeneの妥当性尺度解釈ストラテジー

          [MMPI研究7]第4尺度、怒り・反社会性だけではなく

           このノートは、MMPIユーザー向けのものです。MMPI第4尺度について、掘り下げます。でも、すでに知ってる人は知ってる、と思います。ちょっと気になって調べるとそれなりにおもしろかったので、自分の学びをシェアします。 第4尺度、といえば   MMPIの第4尺度といえば、「怒り・反社会性」が高いというのが基本。おお、4が高いですなあ、なんかこの人はメラメラしたりイライラしたりしちゃうのかなあ?とみていくもの。  別ノートにも示したんですけれど、第4尺度にはこんな視点もアリ?

          [MMPI研究7]第4尺度、怒り・反社会性だけではなく

          【書評】「よくわかるMMPIハンドブック臨床編」~その②各論編

          本ノートは「臨床現場で活かす!よくわかるMMPIハンドブック臨床編」(野呂浩史・荒川和歌子編集 日本臨床MMPI研究会監修 金剛出版 2022)の感想です。感想は二つに分けます。こちらは、読みながら一つ一つ気になった点にを示していきます。細かい点にはいっていきます。本書を読んだ人やMMPIヘビーユーザー向けになります。 1,おどろくべき!症例検討会のコメント 何より目を見張ってしまったのは、「症例検討編」の青木先生のコメント。「家庭問題から自傷行為を繰り返す複雑性PTSDの

          【書評】「よくわかるMMPIハンドブック臨床編」~その②各論編

          【書評】「よくわかるMMPIハンドブック臨床編」~その①総論編

          本ノートは「臨床現場で活かす!よくわかるMMPIハンドブック臨床編」(野呂浩史・荒川和歌子編集 日本臨床MMPI研究会監修 金剛出版 2022)の感想です。感想は二つに分けます。こちらは、全体的な感想。読んだことない人向けでもあります。 本書の位置づけ   この本は「臨床現場で活かす!よくわかるMMPIハンドブック基礎編」(野呂浩史・荒川和歌子・井手正梧編集 日本臨床MMPI研究会監修 金剛出版 2018)の姉妹編となる著作で、「基礎編」がMMPIの使い方とか解釈の仕方を説

          【書評】「よくわかるMMPIハンドブック臨床編」~その①総論編

          「詩人のことば、神経心理学者のことば、心理治療家のことば」~心理検査をまとめるために

           このノートは、霜山徳爾先生の言葉から考えた、心理検査のついての私見をかいたものです。  こんな言葉があります。  いったいどういう意味なんだろう、なんでそれが大切なんだろう?ずいぶんとながいあいだよくわからないでいました。なんか大切そうだし、でもわからない。  最近、一つの理解にいたったようにおもいました。もっと深みと広がりのある意味かもしれないけれど、現時点での霜山先生の問いへの応答。 神経心理学者の言葉「神経心理学者のことば」これは脳神経系を土台とした言葉でしょう。

          「詩人のことば、神経心理学者のことば、心理治療家のことば」~心理検査をまとめるために

          小川洋子の「謝りたい」と、もう一つのコンパッション

          小川洋子のエッセイから  小川洋子さんのエッセイにこんな文章をみました。ミュージカルにはまって楽しむ小川さんに、コロナ禍がせまります。  だれというわけでもない「あやまりたい」おもい。自分がたのしいおもいをしているのに周りが大変なことになってることへの申し訳なさ。自分がわるいことをしているわけでもないのに、感染した誰かに、コロナ禍のだれかに、何にも関係ないのに、「あやまりたい」という小川さんの姿・・・・そう考えていると、どうしても頭によぎる謝罪の言葉がありました。  これ

          小川洋子の「謝りたい」と、もう一つのコンパッション