不変

じっと僕を見つめる君
そしてふと口を開く

「ねぇ、知ってる？」

半分眠っていた僕は、無言で君を見た

「人間の視覚って不変なものは
見えなくなっちゃうんだって」

「･･･ふーん」
眠気に勝てずにおざなりな返事をした僕

そんな僕を見て、
君は怒っていたのか、悲しんでいたのか、
今となってはわからない

ただ、眠りに落ちる前の
君の言葉だけははっきり覚えてる

「ずっと見てるから、あなたも見えなくなっちゃったのかな」

朝起きたら君は居なかった

書置きも何もなく、まるで何もなかったかのように
君は僕の前から姿を消した

当たり前のように君は僕の側にいた
その生活が唐突に、変化した

ずっと見てるから

ああ、そうだね。君が居なくなって、

あなたも見えなくなっちゃったのかな

君を見ることが出来なくなって

君の存在を感じたよ

忘れていたわけじゃないのに、
当たり前になると感じなくなるんだね

どこにいるかはわからないけど

もし君も僕の存在を感じて
必要としてくれるなら

もう一度僕に変化を与えて

そうしたらたとえ不変でも、
ずっと君を知覚し続けるから