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部活動「地域移行」へ手探り 石巻市教委が懇談会設置 蛇田中で指導員制度導入

 国は、教員の働き方改革などを背景に部活動の指導を外部に任せる「地域移行」について本年度から3カ年を改革推進期間とした。これを受け、県教育委員会と石巻市教委も移行検討、推進を段階的に進めていく。地域との連携が鍵となる中、同市では蛇田中学校(千葉正人校長・生徒637人)が吹奏楽部、ソフトボール部、陸上部で住民が部活動指導員を担っており、知識、技術面で部活動顧問の教諭を支えている。

 部活動の地域移行は、少子高齢社会の進行や教員の働き方改革の推進を鑑みた試み。学校教育の一貫である部活動を、将来的に地域の団体へ移行させるのが狙い。達成年度は明示されていないが、国のガイドラインでは「地域の実情に応じて可能な限り早期実現を目指す」と明記されている。

 教員の労働環境の改善が期待される制度である一方、地域での受け皿確保など課題もある。市教委は先日、学識経験者や市スポーツ協会の職員ら計14人で部活動地域連携・地域移行懇談会を立ち上げており、今後、諸課題を整理していく。

ソフトボール部を指導する木村さん(右)

 蛇田中では市教委の任用を受け、競技、活動経験のある住民3人が部活動の指導に尽力している。報酬を伴う準公務員扱いで、1日3時間を上限に土日いずれかで活動している。

 さくらんぼ歯科医院=同市あゆみ野=の木村文洋院長(55)はソフトボール部で指導して12年目となる。少年野球チーム、蛇田イーグルスのコーチを務めていた縁が部活動を教えるきっかけとなった。

 日曜を活動日に充てる木村さんは「生徒と地域との間に関わりができるほか、先生の負担軽減につなげることができると思う。なにより私自身、競技や生徒と関わることが好きで指導を続けている部分が大きい」と語っていた。

 ソフトボール部顧問の津田大輔教諭(36)と副顧問の鈴木道子教諭(24)は、学生時代にそれぞれ陸上部、美術部だった。今は知識を得ながらソフトボールの指導を行う。津田教諭は「知識がないと指導はもちろん戦術を組むのも難しい。経験者の木村さんが入ってくれるのでとても助かっている」と話した。

 市教委が立ち上げた懇談会は、6月20日に第1回目の会議を行う。地域移行の概要を共有した上で、受け皿確保などの課題について広く意見を聞く。学校教育課の高橋壮指導主事は「部活動は学校内で授業以外のことを学べる場所。教員はもちろん、子どもたちにとって最善の制度にするにはどうすべきかを念頭に検討する」と語っていた。【泉野帆薫】





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