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1人1台端末 扱い慎重に 修理費負担は原則自治体 かさむ更新費も懸念材料

 国のGIGAスクール構想で、石巻地方の小中学校などでは令和2年度以降、児童生徒に一人1台のタブレット端末が貸与されている。石巻市ではiPad(アイパッド)1万872台をリース。東松島市(3217台)と女川町(360台)はChromebook(クロームブック)端末を自治体で購入。授業における視覚的補助やアプリを使った家庭学習、休校時のオンライン授業に活用している。一方で、繊細な電子機器のため落下や水没による故障も少なくない。

 昨年は石巻市で49件、東松島市で30件のタブレット故障・損壊事案が発生している。基本的に「誤って落とした」など不可抗力の場合は、予備の端末と交換し、自治体の費用で故障分を修理に出す。故意で破壊した場合は保護者と要相談だが、現状そういった事案はないという。

児童生徒に貸与されたタブレット端末

 タブレット端末はおよそ3―5万円のものが貸与され、修繕費も同等の金額。ただし水没は3倍近い負担となるため、その場合は買い直している。

 故障の原因はさまざまだが、授業で映像を見たり、カメラ機能を使用した後にタブレットを置いたまま机を移動した際に落とすケース、端末が入っているのを失念し、帰宅時にカバンを放り投げてしまったという例が多いようだ。

 県内の他自治体では、落下による故障を防ぐため、強度の高いタブレットケースの配布が検討されているが、ケースも決して安価ではないため、費用対効果の見定めが難しい。東松島市では、将来的に保護者に端末の保険に加入してもらうなど修繕費の取り扱いについての案も聞こえているが、現状何も決まっていない。当面は注意を払って使用するほか修繕費用を抑える策はないようだ。

 また、タブレット端末はおよそ5年に1度OSの更新が必要になる。端末のリースを受ける石巻市は、令和8年3月が更新時期。東松島市と女川町はOSのサポートが終了するまで現状の端末を使用。その後は順次新しいものと交換する。

 GIGAスクールに伴う端末購入費は約3分の2が国の補助だった。次回更新時の補助について国への要望が行われているが、具体的な方針は示されていない。ある程度の自治体負担は否めないため、補修費がかさまぬよう、いまある端末を長く大事に使用してもらうことが財政負担軽減となりそうだ。
【横井康彦】




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