いま、働いている場所での最高な瞬間、体験はなんですか?
先日、長野で中高生の居場所をつくっている方がいらっしゃり、お話を伺いました。
さらに、その後は私の児童館職員内での理念というか大切にしていたいことを確認するワークショップ。
たくさん考えて、あたまがいっぱいになった1日。
キーワードは、
安心、わくわく、日々楽しい、ひとりの人間としての関わり、対話、日常
職員間で、児童館職員として子どもたちとの関わりで大切にしたいことを話してる間、児童館として、とか、子どもにとって、とかって考えてるんだけど、いやもうなんか生き方だよね、これ、人としての!
っていう思いに行きついた。
自分が生きる上でなにを大切にしていきたいかが、答えなんじゃないかなと。
もちろん、組織として動くから個人的な思いだけを優先させては動けないけど、個人的な思いがない上で話をしたって、からっぽなビジョンしかみえてこない。
腹を割って話そうじゃないか。
って思って話をする必要性を感じてやっとできた話し合いの場。
話しきれない部分が多かったから、まだモヤモヤは残るけど、やっと、すたーとにたてたっていうきぶん。
これから、このひとたちとどんな場を、関係を紡いでいけるかなーとわくわく。
ワークショップの中で、ぺあになってインタビューしあうワークがあったんですが、その内容が今日のタイトルになっている質問。
『今の職場に携わるなかで、最高と思う瞬間、体験はなんですか?』
みなさんは、この質問、どう答えますか?
私がとっさに答えたのは、「毎日、楽しい」
自分でもそんなことをとっさに言うと思ってなかったから驚いたけど、ほんとにやりたいことしかやってないし、悩むことも結果として子どもたちとの関わりのなかで還元されているから、いいことしかなかった。
なんてしあわせな私。
まあでも、そんななかでも最高!ってなることってあって、3人の子どもの顔がうかびました。
すでに文章が長くなっていますが、
今日はその1人の子どもの話をしたいと思います!
私が彼と出会ったのは彼が中学3年のとき。
私はまだ石巻にきたばかりで、他のNPOに働いていましたが、インターンとして今働いている児童館の「子どもまちづくりクラブ」という事業に携わらせてもらうことになりました。
詳しくはこちら↓
http://ishinomaki-cc.jp/clc.html
彼も私と同じ時期に、子どもまちづくりクラブに出会い、メンバーとして関わるようになっていました。
震災当初、彼のおうちは沿岸部にあり、震災で被害にあい、仮設住宅に住んでおり、学校も仮設校舎での生活でした。
私が彼と出会ったとき、じぶんの意見がまったく言語化できず、どう?ときいてもわかんない、どうでもいい、とよく返ってきました。自分から提案することもなくて、場のテーマとは関係ない自分の話をよくしていました。
この子はなんでこの活動に来てるんだろう?と思うこともしばしば。
そんな彼との関わりのなか、今も覚えている言葉があります。
それは、子どもまちづくりクラブで、当時出来上がってきていた石巻市内の避難ビルや復興住宅や公園を復興ツアーにでかけたときのこと。
みんなで見に行った避難ビルの近くが、彼のおうちのあたりで、まちの案内をしてくれていました。
あそこは友だちのいえで、あっちは誰々のいえ。と教えてくれていたなかで、
友だちいっぱいだね!と、ふと発した私の言葉に
「みんな引っ越したから今は会ってないけど」
と返ってきた。
私の無知さと想像力のなさ、配慮のなさを、ものすごく後悔しました。
本人は、きっともう忘れているけど。
まあ、そんな感じで、いろいろな背景を背負いつつ、当時の彼はほんとにすべてがなげやりで、友だちをつくることもめんどうだし、人となるべく関わりたくないし、自分が前に出ることなんてあり得ないし、意味がないという感じでした。
私は子どもまちづくりクラブに1年間関わったあと、2年ほど彼との関わりは途絶えていました。
そして、昨年の1月、縁があり、職員として戻ってきた今の児童館で、再び再会しました。
久々に会った彼は、高校2年生になっていましたが、ほんとうに相変わらずで、むしろ投げやり度がましたなーと思えるほどでした。毎日暇だーと行って児童館にきては、家族や学校のぐちを吐く。
これやらない?と言ってみても、そーゆーのは興味ないと一蹴される毎日。笑
それでもまだ、まちづくりクラブに所属していました。
活動では、すっかり記録係というポジションをゲットし、自分は意見とか出さないけど写真撮るから。という関わりをしていました。いいところ見つけたなーと思いつつ、もう少し、世界を広げられたらなあと考えていました。
そんな中で、ずっと主体的に活動していた世代が高校を卒業し、彼らの代が活動を引っ張らないといけなくなりました。
もうみんないなくなってつまんない。おれらがやんなきゃいけないけど、おれはそーゆうのめんどいし、やりたくないから。
という彼。しかし、やっぱどこかで自分がやらないとという意識があったのか、少しずつ、記録係から輪の中に入って話すようになり、小学生のサポートをするようになりました。
それだけでも、え、めっちゃ成長したじゃん。と思うのですが、話はここで終わりません。
それまで親の働いているところでバイトをしていた彼ですが、接客が嫌だからといって辞めました。
でも、いつも金がないからどこにもいけない。と文句をいっていました。
そろそろ愚痴も聞き飽きたので、彼のバイト先条件を聞き出し、具体的に場所をいつくかあげたところで、あなたの嫌な接客業だけど私の知り合いの場所も募集してるから、本気でやるなら紹介してもいいよと伝えました。
いちから動くことが苦手な彼はすぐさま飛び付いてきました。接客が嫌でやめたはずなのに。笑
半分冗談で言っていた私でしたが、言った手前、仕方ないのでとりあえず紹介だけして、あとは本人の判断に任せようと思い紹介しました。レストランだったので、絶対やらないだろーなーと思っていたら、なんと、働くことにしたのです。
どんな心境の変化なんだ、と驚きつつ、たくさんのお客さんと個性の強いスタッフや地域のおじちゃんがやってくるので、これはチャンス!と思って、あとはよろしく!と任せました。笑
そこから、少しずつ変化がおきました。
カフェの運営に興味を持ち、やりたいということでまちなかのカフェを借りて中高生カフェを開催。
めんどくさいと動かなかった彼が自らメニューの下見や開発にいそしみ、他のメンバーともかけあって、開催しました。
まちづくりクラブで開催が決まった一大イベントでも、誰よりも活動に参加し、提案し、悩み、実行する姿がありました。
途中、他のメンバーとのモチベーションのギャップに悩みながらも、無事やり遂げて終わりました。
その間、彼にとってはじめての体験がたくさんありました。
ラジオやテレビ出演、企業への取材、まわりを引っ張り進めていくこと、自分のきもちをわかりやすく伝えること、反発しあったときにおりあいをつけること。
きっとたくさんの不安と戸惑いのなか、進んできたこととおもいます。
最近、そんな彼と話しているときに、こんな言葉がありました。
「家も学校もともだちといるときも、素の自分でいられることはない。ここ(児童館)はおれの居場所だ。第2の家みたいなもの。」
ああ、ここがあってよかったなあと改めて思いました。そして、そんな彼に関われてよかったなあ。
私が再会してからの1年、確実に変わっている彼を見ていることが私にとって最高な瞬間だなと思います。
学校の友だちとは遊ばなかった彼が、先日カラオケに行ってきたと嬉しそうに話しており、確実に世界が広がっているなあと思います。
しぶしぶ紹介してはじめたバイト先では、彼に会いに来てくれる常連さんもできたり、常連さんの行っている社会人バスケに一緒に参加したりもしているようです。
家族でも先生でもない、私たち。
ひとりの人間として、なんのしばりもない大人とこどもの関わりの大切さを毎日実感しています。
これからも、日常のかかわりをゆっくり、濃く、紡いでいきたいなと思います。
あなたの、最高だと思う瞬間、体験はなんですか?