見出し画像

夏は、大人が子どもに戻れる季節

まだ、私が学生だった2021年。
夏休みに、母と泊まりで東京ディズニーリゾート(TDR)に行ったことがありました。

時はコロナ禍。その頃の私は、自分の病気もあり、ほとんど家から出ない生活をしていました。

就活にも悩んでいた時期で、すっかり元気をなくした私を見かねてか、母が「ディズニーに行かない?」と誘ってくれたのです。

けれど、「就職先、決まってないんだよ……」と、なかなか首を縦に振らない私。母は、そんな私を気にすることなく、ディズニー計画を推し進めていきした。そして、「ねぇ、ホテルも調べちゃおうよ」という一言で、私の心も動きました。調べたところ、何と空いていたのです。

ディズニーホテルなんて、もうこの先何年も泊まれないだろうと思っていたからこそ、目の前のチャンスが輝いて見えました。

「将来が決まっていない」不安を後にして、二人でTDRに行くことにしたのです。

そこで私が撮った思い出の1枚がこちら。

大人が子どもに戻れる季節の朝ごはん

え、これディズニーなの? と突っ込みたくなるのも無理はないと思います。ここは、東京ディズニーシーにあるホテル、ミラコスタのレストランです。が、その要素はありません。

夏らしさもない、と思われるかもしれません。そもそも、慌てて撮ったので構図すら整ってはいません。

でも。

あっ、と思ってカメラを向けた時、私の心は弾んでいたのです。だって、母が、ホテルの朝食のビュッフェで「パンケーキがある!」って目をキラキラさせて持ってきたから。

嬉しそうにメープルシロップをかけているのを見た時に「この光景を忘れたくない」って思ったから。

夏休みって、大人も子どもみたいにワクワクできる瞬間で溢れてるんだって思ったから。

確かに、暑さに負けてゆったりとした滞在にはなってしまったけれど。子どもの時のようなはしゃぎ方はできなかったけれど。

でも、太るかもとか将来がとか、そういうどうでもいいことを全部忘れて「パンケーキだ!」って喜んで食べられるような瞬間が、何だか私には嬉しかったのです。

ディズニーらしさも、夏らしさもない風景ですが、私にとっては「大人が子どもに戻れる季節」を切り取った写真。こんな季節が毎年巡ってくるなら、大人になっても大丈夫かもしれないと思いながらシャッターを切った1枚です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?