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映画

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映画コラム 某ブログでも書いています。
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#映画感想

映画 PERFECT DAYS

PERFECT DAYS 良かった。映画館で観てほしい映画だった。 エンドロールの最後までぜひ見てほしい。 余白を感じさせる映画だが 冒頭で彼の職業がよく分かる会社名の入った作業着の背中を写し出す、観る人への配慮 The Tokyo Toilet (スリーT良い…) 作業着の青色がとても良い絶妙な青で ダサさを感じさせない真っ青なブルー むしろカッコよさを感じさせる青さ。 彼が使用するバンも同じ青 この青色は緑(自然)の多い中でも人混みでも良く生えていた。 セリフが少

ひとり、の渦に呑まれる

 手を奥へできる限り伸ばすと、ヒヤリとした冷風に突き当たる。使い始めてから早15年が過ぎていて、とっくに標準的な耐年数は超えているのに、いまだに微かな呼吸音を立てながら室内の果物や野菜、私が作った料理などを冷やし続けている、健気なやつ。日常的に、私が生きていくために、そっと息を吐き出している。 *  相変わらず、少し前から朝方の日が昇らない時間帯に目を覚ましてしまう。真っ暗闇の中で突然夢から放たれて、なぜかわからないけれど、再び眠ろうとしても途端に瞼が軽やかにパチパチと振

映画「アンジェラの灰」 (アイルランド・アメリカ映画)アイルランド🇮🇪🇺🇸

その昔アイルランドはイギリスの圧政により農地が私物化され、その結果、働き口を失った人々が祖国を後にすることになりました。 ある者はアメリカへ、ある者はスペインへ・・ そんな過渡期にあったアイルランドの町がこの映画の舞台です。 ここで見ることのできる日常は、 おそらく、当時の日常そのままなんだと思います。 貧しい暮らし、粗末な住居、ささやかな食事・・・ みているだけでつらくなってしまいました。 一家をささえるお母さんの大変さといったら・・ こういった状況を打破するた

ラストダンスは映画館で

はじめてその映画館に足を踏み入れたのは、京都に来て1年目、春の終わりだった。 あの春、わたしは京都の大学に入学したばかりだった。満開の桜は美しく、胸の高鳴りはおさまることなく。歩けば寺社仏閣に当たるこの街で、そこに咲く桜たちは、幻想的で切なく、京都の夜によく似合っていた。 春の訪れは、恋の訪れでもある。入学早々、わたしには気になる男の子ができた。映画サークルで出会った、同じ1年生とは思えない大人びた彼。有名カフェで働く彼は、キラキラして爽やかで、まるで"春"みたいなひとだ

雑記:君たちはどう生きるか がっつりネタバレ

ネタばれまくりです。自分は満点でもいいですが、見なくて良い人は居ます。作品に理屈や筋がきっちりある、メッセージが存在する。何かを暗喩として表現されている筈だ。なんて気構えで見ると、まったく楽しめないです。 長靴をはいた猫:塔が倒れるシーンは素晴らしい 少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録:ウルトラシュール劇場版、ラストは意味不明すぎて最高

2023年上半期、映画振り返り

早いもので今年も半分が終わってしまいました。 毎度あっという間です。 映画を振り返るとやっぱり前半はアカデミー賞関連から始まって、「エブエブ」を中心としたアカデミー賞関連作品が中心だったなと思います。 ということで、そんな2023年上半期の映画を振り返ってみました。 推さない映画サイト「OSANAI」にて、上半期を振り返りながら映画紹介させていただきましたので、ぜひご覧ください。 ボクの記事は画像もイラストもないのでテキストのみのとってもシンプルなのですが、ぜひ読んでい

【AI生成】ウェス・アンダーソンがもし「スター・ウォーズ」を撮ったらの予告編がおもしろい!

ネットでバズっていたこの予告編がめちゃくちゃおもしろかったです。 AIが生成した「ウェス・アンダーソン風の『スター・ウォーズ』」の画像を使ってアメリカのWEBメディア Curious Refuge が予告編を制作。 『スター・ウォーズ』なのにちゃんとウェス・アンダーソンという面白さ笑 これは見てみないと分からないので早速みてください。 ▼Star Wars by Wes Anderson Trailer / The Galactic Menagerie めちゃくちゃ

映画館が舞台な最近の良作、3選!

2023年も前半から良作多いです。 観るのに忙しくてなかなかnote書けてないのですが、映画館を舞台にした良作を鑑賞できたので、今回まとめて紹介できればと思います! 『エンパイア・オブ・ライト』(2/23公開)これはしみじみ良かったです。 映画館が舞台になっているだけでもう贔屓目で見ちゃうんですが、そんな映画館ファンには染み入る作品となってます。 オープン前の映画館に入って一つひとつライトをつけていく、映画館の徐々に火が灯されていくオープニングがもう秀逸! それだけで大満

『ボーンズ・アンド・オール』最も気高い究極の愛の話

観終わって2日以上経っているのに未だにこの2人を思い出す。きっと私が何も手につかなくなっているのは紛れもなくこのせいだ。 観たのは間違いなく“カニバリズム”を題材にしているR18の作品であるのに、ここまで心を動かされるとはどういうわけなのだろう。 「もしかしたら自分だけなのではないか」 思春期の頃は自分自身の気持ちや身体の変化に戸惑い、誰にも相談することなくうまくやり過ごしていた。生まれて初めて感じた誰かと触れ合いたいと欲した時のことや怖くて寂しかったけれど平気なふりを

アカデミー賞、作品賞ノミネート10作品!

今年のアカデミー賞ノミネート作品が発表されました。 日本ではまだ公開されてない作品も多いですが、もう評価されてるって分かってるから、これから観れるというのは楽しみでもあります。 そんなアカデミー賞ノミネートでやっぱり気になるのが作品賞。その作品賞ノミネート作品の10本を紹介してみたいと思います。 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(3/3公開)こちらは今回の大本命の作品です! この監督・脚本は、あのトンデモ映画『スイス・アーミー・マン』のコンビです。だ

2022年、映画ベスト10(日本映画編)

2022年に劇場公開された新作映画の中からベスト10を選びました。 今聞かれたらまた順位変わるんじゃないかくらい順位つけるのって大変ですが、何とか絞りました。 先日は、「外国映画編」を発表してますのでそちらも併せてご覧ください。 それではいってみたいと思います。 10位 『さがす』いやー、面白かった。 脚本が練り込まれていてとても良くできてました。 それに俳優陣もみんな良くって見応えバッチリです。 さすが、ポン・ジュノの元で助監督をしていた片山慎三監督。 骨太ながら先の

2022年、映画ベスト10【外国映画編】 

あけましておめでとうございます。 2022年も映画をたくさん観ましたがそこからベスト10を年末に決めました。 (毎年、年末にベスト10発表会してます) いつも外国映画と日本映画に分けてそれぞれ出してますので、まずは外国映画編からいってみたいと思います! 10位 『コーダ あいのうた』これはシンプルにいい映画でした。 重めのテーマを扱っているけどすごくポップにアップテンポなノリで作られているのでエンタメとして楽しくて、かつしっかりと考えさせられる作品となってます。 家族の

映画2022年の振り返り「女性の立場を見つめ直す作品たち」

2022年も早いものでもう終わり。 今年もたくさんの映画を観ましたが、総括してみて気付く"映画の傾向"があったりします。 ちょうど、2022年の映画を振り返る執筆依頼をいただいたので、映画サイト「OSANAI」にて記事を書かせていただきました。 テーマは、「女性の立場を見つめ直す作品たち」。 ▼サイトはコチラ ↓ 先日、「映画に見る女性の妊娠・中絶のリアル」という記事をnoteに書いたのですが、その大きな系譜にあたるかなと思います。 2022年公開の作品を中心に10作品

Amazonプライムビデオでもう観られる!2022年公開の傑作7選!

もう今年も12月に突入し師走となってきましたが、この2022年に劇場公開された新作映画が続々とAmazonプライムビデオでも見放題の配信が始まってます。 アマプラに入っていても何を選んでいいか分からないし、どれが新作なのかもよく分からないし、観たかった新作がやってるかもマメにチェックしてないとなかなか分からないものです。 そこで今回は、2022年に公開された新作映画の中から特に面白かった作品で、Amazonプライムビデオの見放題で配信が始まっているおすすめ7本を紹介してい