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ドビュッシーピアノ曲おすすめ5選

本日のお題『ドビュッシーピアノ曲おすすめ5選』の理由

昨日、今日とだらりとnoteの記事を眺めていたところ、○○5選みたいなタイトルが多いような気がしました。たぶん、たまたま2、3人続けて目に入っただけでしょうけど、ネタとしてもありやな、と思って何かのおすすめ5選を書こうとした次第。

ということで、本日は「ドビュッシーのおすすめピアノ曲5選」を紹介します。あくまで独断専行型ですので、異論は聞かない。(史実、理論の間違いはご指摘ください。謙虚に反省します)

ドビュッシー作品独特の浮遊感のひみつ

ドビュッシーといえば、たぶん音楽の教科書にも載っている「月の光」がよく知られていると思います。最初の和音を聴いただけでわかってしまう、独特の浮遊感が彼の特徴のひとつなのは、間違いないところでしょう。

ドレミファソラシドからなる音階は、西洋音楽の基本でそのなかでもミとシは上の音と半音しか間がありません(ピアノでいえば黒鍵がない場所)。

音は遠いところにジャンプするより、近いところに動く方が安心感、安定感があり、隣が半音のミとシは安定感を得やすい音な訳です。更にシの場合は隣が「ド」です。ドレミファソラシドのドという音階のスタート地点『主音』に移動するのですから、もっとも安定感があり、旋律としても一区切りがつく大事な音として「導音」と呼ばれます。

ドビュッシーが音楽を学び始めた頃、この「導音」の次に「主音」にいかない、常識を覆すような作曲法が現れ始めます。ワーグナーが代表的なひとりです。

初期はワーグナー式の虜だったドビュッシーですが、やがて彼はワーグナー式からも離れてしまいます。「導音」の後に「主音」にいかないのがワーグナー。ドビュッシーは「導音」さえも使うのを止めてしまいます

ドビュッシーに大きな影響を与えたパリ万博

導音があって主音に戻ることで、メロディは安定した調性を持つのですが、主音に戻らない曲や導音も使わない曲が出てきてしまうと、もはや何調(ハ長調とかイ短調とか)わけわからなくなります。

この着想は、ドビュッシーが1889年のパリ万博でガムランに出会ったことがきっかけであると言われています。また、日本の浮世絵や版画などの東洋文化、また西洋でも重要視されてこなかった民族文化(民族音楽)に触れたことが、彼が独特の作風を手に入れる上で、大きな基盤になりました。

おすすめ5曲の紹介

5曲紹介しますが、順番は順位ではありません。正直もっと聴いて欲しい曲があります。今回は定番の曲と特に好きな曲の組み合わせです。

演奏は全てミシェル・ベロフ。演奏家選びも難しいところです。以前書いた記事「くるみ割り人形〜Simon Rattle指揮で、同じ「秋桜」でも山口百恵とさだまさしじゃ全然違うと書きましたが、まあそこまでは違いません。

しかし、演奏家によって大きく印象が変わるのも事実。そこでベロフを選んだのは、「印象派」と呼ばれるドビュッシー(本人はこの呼ばれ方を嫌ったそうです)に抱きかねない「曖昧さ」の少ない演奏を聴かせてくれるからです。

この理由も、この人だけ聴いてもよくわからないと思います。機会があればぜひ他の演奏家との聴き比べをしてみてください。

なんか私が買ったときよりだいぶ安いんですけど。5枚組なのでかなりお得。

『月の光』(ベルガマスク組曲より)(1890)

前奏曲、メヌエット、月の光、パスピエの4曲からなる「ベルガマスク組曲」の3曲目。(動画の7’40”あたりから。)

動きの少ないゆったりした曲ですが、中間部でちょっとだけ盛り上がります。盛り上げて、テーマに戻るときの落差が聴きどころ。

『アラベスク第1番』(2つのアラベスクより)(1888,91)

前半3’20”あたりまでが1番。ヒラヒラと舞うようなテーマが印象的です。たしか「さよならドビュッシー」という小説でコンクールの課題曲になってました。

『塔』(版画より)(1903)

塔、グラナダの夕べ、雨の庭の3曲で構成させています。パリ万博で影響を受けたというガムラン音楽の影響が出ていると言われている作品。ガムランには詳しくありませんが、アジアっぽい響きを要所に感じ取ることができると思います。

余談ですが、2曲め「グラナダの夕べ」はスペインのグラナダ地方(っていうのがあるのかな)のことですが、ドビュッシーはそこには行ったことないそうです。

『ゴリウォーグのケーク ウォーク 』(子供の領分より)(1906-08)

ドビュッシーはとにかく娘のエマを溺愛していて、娘に捧げられた曲集の1曲。

1.グラドゥス・アド・パルナッスム博士 2:03 (00:03)
2.象の子守歌 2:55 (02:10)
3.人形へのセレナード 2:15 (05:10)
4.雪が踊っている 2:07 (07:30)
5.小さな羊飼い 2:27 (09:41)
6.ゴリウォーグのケーク ウォーク 2:46 (12:12)

の6作品で構成されていて、1曲目から楽しい気分にさせてくれます。2曲目もタイトルにふさわしいユーモアを感じる曲で、ちょっとドビュッシーの印象が変わる曲ばかりです。

ゴリウォーグという黒人の男の子人形のケークウォークというダンスを題材にした曲。ちょっと今のご時世では出版禁止にされそうな。

これも大いに余談ですが、この娘は2人目の奥さんとの間の子。最初の奥さんはドビュッシーの浮気をはかなんで、拳銃自殺未遂をしたとか。

『喜びの島』(1903-1904)

タイトルにふさわしく、装飾音や多彩なリズムを駆使した華やかな難曲。6分近い、彼にしてはテンポも速めで長い曲ですが、繰り返し記号が1つもないという絶望的な譜面。

同じようなフレーズやテーマでも、多彩な変奏を繰り返し、クライマックスまで盛り上げます。わたしの1番好きなドビュッシーの作品です。

ということで。

ドビュッシーのおすすめピアノ曲5選でした。1918年に55歳の若さで亡くなっています。気難しい性格や、例のスキャンダルなどもあり、弟子も取らず直系の子孫は残っていません。

それにも関わらず多くの現代のミュージシャンが(ガーシュイン、武満徹、坂本龍一など)、影響を受けたひとりとして名をあげていることからも、彼の作品の革新性と完成度の高さが伺われます。それだけに早すぎる死が惜しまれます。

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