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治療家のための文化人類学~文化依存症候群~




病気は全世界で
均一に起こりうるものもあれば、

地域によって
発生しやすい病気が
異なるものもあります。


食習慣から起こる生活習慣病や、
寄宿する生物の生息地によって差が出る
感染症の地域差がその代表例です。

このような「地域差」は、

感染症や内科疾患のような
”身体的な病気”に限らず、
”精神疾患”でも見られます。


地域、民族、社会背景、
そしてその「文化」の影響によって
発生する精神疾患を総称して、
「文化依存症候群」と呼びます。






文化依存症候群とは

「文化依存症候群」とは、
ある地域、民族、文化環境において
発生しやすい精神障害の事を指します。

例えば、
「太っていることが健康だ」とする
文化圏に住む人よりも、

「細身であることが健康的だ」とする
文化圏に住む人の方が
「拒食症」になりやすいものです。

「個人の自由」を強く行使できる
アメリカよりも、

「連帯責任」「人前での失態は恥」
「空気を読む」「世間体」など、
集団所属を前提に行動する日本人の方が、
「対人恐怖症」を抱えやすくなります。


異文化は理解しがたいもので、
「太っていることが健康的」とする
文化圏の価値観は、
異なる文化をもつ日本人にとって
なかなか理解しがたいものです。

反対に、
「世間の目」を基準に行動することは、
日本人にとって当たり前の感覚であっても、

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