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牛乳か相談だ

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牛乳ができるまでの十勝の牧場のとある日常をご紹介。牧場で働く前に読むと、どんな仕事なのか、牛乳の選び方等もわかります。
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#十勝

時間は牛に聞け

時間は牛に聞け

今日はちょっとした小ネタ。

牧場での作業時間は大体決まってる朝の搾乳 5:00    夕方の搾乳 17:00
といった感じで、ここの牧場では12時間の間隔を空けて搾乳するのだけど、それに前後して餌の時間もだいたい決まってる。

で、搾乳が終わったら牛達もすっかりくつろぎモードに入る。

みんな、横になってまったりしています。

そして、お昼の餌の時間になると、、、

牛舎のほとんどの牛がいつのま

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”はんぺん”と”よんぺん”は一字違い

”はんぺん”と”よんぺん”は一字違い

一昨日分娩した牛がなんだか餌を食べつけない。
うーん、怪しいなぁということで、昼仕事のタイミングで獣医さんに見てもらったら

「よんぺん」。

正式名称 : 第四胃変位

リンク先にある通り、4つあるうちの第4胃が本来の位置からずれてしまって、食がなくなるというやつ。 時々起こるので獣医さんも酪農家も慣れていて、
「じゃあ、○○時で手術しますね」
と言われて、件の牛は手術設備の整った獣医さんの診療

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朝から脱走牛。 戻し方にもコツがあります。

朝から脱走牛。 戻し方にもコツがあります。

つなぎ牛舎という飼い方古くからの牛舎で横に長い場合は、こんな感じでつなぎ牛舎で乳牛を飼っている場合が多い。

 不思議なもので、牛は”習慣性”が強いのでこの金具(スタンチョン)が外れてもそのままどこにも行かずにボーッとしている牛も少なくありません。
反対に、外れると ”お、美味しいもん食べに行こ!”って飼料を入れてあるところを上手に探して好きなだけ食べちゃって、その後、お腹を壊して大変なことになる

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まっくろくろすけ出ておいで〜。

まっくろくろすけ出ておいで〜。

真っ黒な子牛、ようやく産まれる。経産牛で分娩予定日から10日ぐらい過ぎていた牛が、ようやく仔牛を産んだ。
予定日を10日も過ぎると胎内で大きくなりすぎてしまうので、分娩も一苦労。引っ張ってようやく出た感じ。

ホルスタインのオスはほとんど生まれない酪農は、ほぼ人工授精なのでホルスタインか和牛の種をつけるんだけど、
いまは、ほとんどがメスしか生まれない精液を使うようになりました。

また、初産の牛な

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常に天気と向き合う日々。。。

常に天気と向き合う日々。。。

"note読んでますよ”と言われた^^;前回の投稿が1月。 あっという間に夏が通り過ぎ牛達が過ごしやすい季節がやってきました。
ずいぶんとご無沙汰している友人から
「ハヤカツさん、酪農のnote読んでみましたよ。1月から止まってますけど・・・・」
、と本人がすっかり忘れていたことを思い出させてもらいました(汗)。

こういう時は、

晴れが3日続けばいいのだけど・・・いま、僕が働いている牧場の牧草

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酪農の”いま”を全肯定してみよう

酪農の”いま”を全肯定してみよう

おかげさまで年末の【牛乳余るかもー!】という一大消費キャンペーンは皆様のおかげで搾った牛乳の廃棄という事態には陥ること無く年末年始を乗り越えることができましたm(__)m。

牛の気持ち、酪農家の気持ち”放牧が絶対にいい” という考えの牛はどれぐらいいるのだろう?

こうした昔ながらのつなぎ牛舎に入っている牛は、慣れていることもあって留め具を開けてもジッとしていることが少なくありません。
もちろん

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搾乳、今日は嫌なの。

搾乳、今日は嫌なの。

分娩から3週間ぐらいたった若牛。
まだ、搾乳に慣れていないのか、時々足を蹴り上げてミルカーを落とす。

産後の肥立ちが少し悪く発熱等もあって抗生物質投与してもらい、バケットで別搾りとなった。

暴れる牛をどう搾るか?普段はおとなしく搾らせてくれる牛が、今朝に限ってはミルカーを1本でもつけるとすぐに足で蹴り上げてくる。

【今日は、いやなんです・・・・】

って牛にもそういう気持ちがあるかも知れない

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搾乳は、牛との呼吸合わせというけれど・・・

搾乳は、牛との呼吸合わせというけれど・・・

最近の牧場での多くの搾乳機器は自動離脱装置がついているので、ほぼ搾り終わった時点で自動的に牛からミルカーが外れる。そのため、安心して次の搾乳準備にかかれるのだけど、僕たちの牧場では自動着脱が着いていないので、搾り手が1頭ずつの様子を常にチェックしつつ、次の牛で搾乳準備を進めていく。

忙しい=乳量が少ない1頭にミルカーをかけている時間が長いと準備に余裕ができるし、過搾乳(=もう乳が出ないのに、かか

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良質な生乳は、”小さな積み重ね”が全て

良質な生乳は、”小さな積み重ね”が全て

今年もいよいよあと2日。
牧場で年の瀬だなぁと思うのは、小さな鏡餅が飾られるぐらいかな。 
今朝も日の出前に一通りの仕事を終え、一旦、家に戻ってきた所です。

小さな改善を毎日積み重ねる毎朝の餌やりの手順について今朝、少しスタッフ間で打合せしたんだけど、ちょっとしたムダを減らすために明日から少し工夫してみることにした。
牛が食べる以上の餌を入れても仕方ないから、適量の餌をやりつつ、無駄にしないよう

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治療中の牛乳は、全部捨てます

治療中の牛乳は、全部捨てます

食が細くなった牛なんとなく、デントコーンを残すようになったベテランさん。

とりあえず、ケトーを疑って薬を飲ませて様子を見つつ、搾乳時にも乳房炎になる可能性があるので、注意していた。

搾乳時にスタッフが乳房炎を発見これを使って、搾乳前に乳房炎かどうかチェックします。

今回、見事に、1本が乳房炎確定(泣)。

すぐに治療を開始します。 

投薬後も搾り続けますが、廃棄します。治療中は搾らないのか

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牛の治療中、あれこれ

牛の治療中、あれこれ

数日前から出荷できるようになった分娩から間もない牛。
朝、様子を見ると調子悪そうにして、餌も残していた。
獣医さんを呼んで見てもらった所、少し肺炎を起こしかけているということで、抗生物質を投与しての治療となった。

薬が効いている間は出荷はできない

こうして薬を投与した牛には足にバンドを巻いて出荷対象からは外します。

出荷はできませんが、搾らなければ牛は体調を崩してしまうので個別に搾ります。ど

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エサ、残してます→治療します!

エサ、残してます→治療します!

1日3回の牛への給餌は

・デントコーン
・配合飼料
・牧草(昨年収穫した1番草)

この3点セット。

単に配るだけじゃなく、牛の食いつき具合や残してないかを1頭ずつ見ながらやってる

今日はこの端っこの牛がデントコーンにほぼ口をつけない状態。それに咀嚼もしてないので何かしら調子悪い事がわかる。

繋ぎ牛舎は牛の状態を把握しやすい今では少なくなって来たこういう繋ぎ牛舎は1頭ずつ様子を把握しやすい

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お別れの牛、突然の変更

お別れの牛、突然の変更

このそっぽ向いている牛。先日の乳検でチェックしたら4kg/1日しか搾れなくなった。

足も調子悪いし、3本乳だし、そろそろだね、と廃用の手続きを取った。

しかし、思わぬ所でチェックが入った。

出荷前に”休薬期間”をチェックすると・・この牛、足が悪いので蹄にスプレーでリンコシン(抗生物質の一種)を吹きかけていた。なんと、これが出荷前の休薬期間の制限にひっかかった。

しかも20日間。

すでに、

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2月の分娩ラッシュに向けてぼちぼちと

2月の分娩ラッシュに向けてぼちぼちと

里帰り出産の友人とあれこれ話をしてたときのこと。

”もうすぐ分娩だね。”

ともうちょっとで口に出しそうなところを慌てて”出産”と言い直しました

頭の中には牛の分娩が毎日大きなウェイトを占めているので、ついつい言葉に出ちゃうんですね^^;。

分娩2ヶ月前からの休息期間(=乾乳期)いま、搾乳を続けている牛も、分娩が近くなると子牛へ栄養分を与えるようになり、乳もほとんどでなくなってきます。
乳量

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