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牛乳か相談だ

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牛乳ができるまでの十勝の牧場のとある日常をご紹介。牧場で働く前に読むと、どんな仕事なのか、牛乳の選び方等もわかります。
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寝たら牛になる。では、寝ない牛はなに?

なんか、禅問答みたいですが・・・・(笑)。

あ、寝てる!

仕事を終えてちょっと牛舎を覗いてみると

死んでるかのように首を出した牛がいる。
お? 寝てるか? とそ~っと近づいてみました。

もう少し近づいてみました。

ここで起きてしまい、いつもどおりの姿に。

寝ている姿を見ることはほとんどない

牛は小さな仮眠を取ることがほとんどらしく、警戒心が強くて、周囲の雰囲気が変わっただけですぐに気

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牛の定期検診は乳検で。

牛の定期検診は乳検で。

週末は、酪農・牛絡みの話にしますね。
一応、ITも酪農もどちらも本業です。

定期検診を受けましょうと言われ続け・・

先日あったのは年に1回受けなきゃいけない定期検診。

あ、牛じゃなくて自分です(笑)。
毎年0.5cmずつ身長が低くなっているのは気のせいなのだろうか・・・。
人間の場合は、健康状態を定期的にチェックすることで病気を未然に防いだ知りますが、牛の場合には月に1回の検査があります。

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分娩が日常です。

分娩が日常です。

予定日過ぎたが。。。

1月11日が分娩予定の牛。

もうすぐ産まれそうなのになかなか出てこない。

予定日を過ぎると母体の中で大きくなり過ぎて分娩が大変になるので早く産んで欲しいけど、できるだけ自然分娩させたいので待ち続けて10日近く。

さすがにマズいので獣医さん呼んで処置してもらったら

「分娩始まってますよ。午後には産まれるかな」

、と結果的に処置せずに産まれてくれた。

仔牛と親牛の共

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あんなに小さい牛だったのに・・(笑)

あんなに小さい牛だったのに・・(笑)

今日、たまたま見つけた写真。

2021年3月に撮影したのがこの写真。
耳標を見た時に、「いま、この番号の牛、牛舎にいるんじゃないか?」
と思って牛舎を見てみると、

いたいた(笑)。

誕生から実際に仕事(=搾乳)できるようになるまで、短くても2年位かかるということが、実際に目で見て分かりました。

健康でいい仕事してくれよー。

その傷、熊に襲われたの?? 

その傷、熊に襲われたの?? 

昨日の夕方、草荷(=牧草を入れておく場所)が倒れていたらしく、スタッフは元の位置に戻すのに苦労したらしい。

そして、今朝、1頭の牛の背中にひどい引っかき傷が。。。

「熊に襲われたんじゃないのか?」
という縁起でもない冗談を言った人もいたけど、いろいろ考えてみるとどうも、昨日、横で寝ていた時にうっかりこの草荷の下に体を入れてしまい、立ち上がる時に無理して自分の背中を傷つけてしまったんじゃないか?

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タネの種類によって分娩が大変になる?

タネの種類によって分娩が大変になる?

予定日から8日遅れの出産

なかなか予定日を過ぎても分娩の兆候がなくてヤキモキしていた親牛が今朝、無事ホル♀を出産。

無事出産してくれたので、この親牛は今日から搾乳開始。実際の出荷は4日後に検査して問題がなければ晴れてお仕事ができる状態になります。

昔に比べると種も進化している

最近は、”X精液”と言われる、♀だけが生まれる可能性が非常に高い精液が販売されています。先日はホル♂が生まれてきた

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ベテラン牛は知っている。

ベテラン牛は知っている。

年末に廃用(=牧場から離れて肉として・・)が確定した3頭の比較的ベテランの牛達。その旅立ちの日がやってきました。

牛は全部知っている

トラックが来た時点で、牛舎内の牛達は急に立ち上がったり鳴いたりして騒がしくなります。
そして、件の牛を外に出そうと金具を外してみても、一向に出ようとしない。何人がかりでやってみてもダメ。
もう10歳近いベテラン牛になるとすべてお見通しなんですよね。

引いてもダ

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搾乳は全てを癒やす 

搾乳は全てを癒やす 

不思議なんですが、腰が痛いと思う時やくしゃみが止まらないような時でも
搾乳の準備をして、開始のボタンを押して牛の間に入って搾り始めると、気づいた時にはこうした痛みやくしゃみはどこかに行ってしまいます。

緊張感のある仕事搾乳は毎日搾っていても牛の様子や、乳房炎を見つける為に1つ1つチェックするなどと共に、牛のしっぽや糞の攻撃をかわすために周囲に気を配るなど、とにかく何度やっても緊張感を持ってやる仕

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時間は牛に聞け

時間は牛に聞け

今日はちょっとした小ネタ。

牧場での作業時間は大体決まってる朝の搾乳 5:00    夕方の搾乳 17:00
といった感じで、ここの牧場では12時間の間隔を空けて搾乳するのだけど、それに前後して餌の時間もだいたい決まってる。

で、搾乳が終わったら牛達もすっかりくつろぎモードに入る。

みんな、横になってまったりしています。

そして、お昼の餌の時間になると、、、

牛舎のほとんどの牛がいつのま

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”はんぺん”と”よんぺん”は一字違い

”はんぺん”と”よんぺん”は一字違い

一昨日分娩した牛がなんだか餌を食べつけない。
うーん、怪しいなぁということで、昼仕事のタイミングで獣医さんに見てもらったら

「よんぺん」。

正式名称 : 第四胃変位

リンク先にある通り、4つあるうちの第4胃が本来の位置からずれてしまって、食がなくなるというやつ。 時々起こるので獣医さんも酪農家も慣れていて、
「じゃあ、○○時で手術しますね」
と言われて、件の牛は手術設備の整った獣医さんの診療

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朝から脱走牛。 戻し方にもコツがあります。

朝から脱走牛。 戻し方にもコツがあります。

つなぎ牛舎という飼い方古くからの牛舎で横に長い場合は、こんな感じでつなぎ牛舎で乳牛を飼っている場合が多い。

 不思議なもので、牛は”習慣性”が強いのでこの金具(スタンチョン)が外れてもそのままどこにも行かずにボーッとしている牛も少なくありません。
反対に、外れると ”お、美味しいもん食べに行こ!”って飼料を入れてあるところを上手に探して好きなだけ食べちゃって、その後、お腹を壊して大変なことになる

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まっくろくろすけ出ておいで〜。

まっくろくろすけ出ておいで〜。

真っ黒な子牛、ようやく産まれる。経産牛で分娩予定日から10日ぐらい過ぎていた牛が、ようやく仔牛を産んだ。
予定日を10日も過ぎると胎内で大きくなりすぎてしまうので、分娩も一苦労。引っ張ってようやく出た感じ。

ホルスタインのオスはほとんど生まれない酪農は、ほぼ人工授精なのでホルスタインか和牛の種をつけるんだけど、
いまは、ほとんどがメスしか生まれない精液を使うようになりました。

また、初産の牛な

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常に天気と向き合う日々。。。

常に天気と向き合う日々。。。

"note読んでますよ”と言われた^^;前回の投稿が1月。 あっという間に夏が通り過ぎ牛達が過ごしやすい季節がやってきました。
ずいぶんとご無沙汰している友人から
「ハヤカツさん、酪農のnote読んでみましたよ。1月から止まってますけど・・・・」
、と本人がすっかり忘れていたことを思い出させてもらいました(汗)。

こういう時は、

晴れが3日続けばいいのだけど・・・いま、僕が働いている牧場の牧草

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酪農の”いま”を全肯定してみよう

酪農の”いま”を全肯定してみよう

おかげさまで年末の【牛乳余るかもー!】という一大消費キャンペーンは皆様のおかげで搾った牛乳の廃棄という事態には陥ること無く年末年始を乗り越えることができましたm(__)m。

牛の気持ち、酪農家の気持ち”放牧が絶対にいい” という考えの牛はどれぐらいいるのだろう?

こうした昔ながらのつなぎ牛舎に入っている牛は、慣れていることもあって留め具を開けてもジッとしていることが少なくありません。
もちろん

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