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日に何度も呼ばれていた
少しだけ体調を崩し、病院に行った。
行きつけの病院には診察室が3つある。受付番号を呼ばれてそのうちのひとつに入り、先生を待っていると、診察中らしい声が隣から聞こえてきた。
先生とお母さんらしき人の話し声にかぶさるように、
「まま、まま〜」と呼びながら泣く、幼い女の子の声が聞こえる。
「まま、こわい、こわいの、まま〜」。すがるような声。予防接種か何かだろうか。
聞くともなしに聞いているうちに、
家でできる国語の勉強その4
今日は漢字の話。
1:たくさん書くのはナンセンスわたしがはじめて赴任した学校の校長先生が、その地域で一番えらい国語の先生だった。その校長先生から、漢字の学習について聞いたこと。
・まず読みだけ1年分やるといい
・たくさん書かせるのはナンセンス
・指書きはいいぞ
これで指導してたら、たしかにみんな書けるようになった。
2:漢字の間違いにはタイプがある漢字テストを30何人分見続けていると、誤答には
家でできる国語の勉強その3
「音読」→「要約」と来て、今日は「読んだあとに何をするか」の話。
1:子どもはなぜ「感想」を聞かれるのが苦手なのか学校の授業では、教科書を読んでからまず「感想」を話したり書いたりすることが多い。「見聞きしたことから自分の考えをもち、表現する」という、社会生活を営む上での基本的な言葉遣いを学ぶ目的がある(とわたしは捉えている。)
ところが、やってみるとこれがまあ難しい。「じゃあお隣同士でペアにな
家でできる国語の勉強その2
家でひとつだけ国語の勉強をするならば「音読」を、というのが前回のお話。そこからもうひとつ増やすとしたらなんだろう、と考えてみた。(今回は主に小学校高学年向け〜中学生向けのお話です。)
1:「要約」で文章読解の力をつける文章を読み取る力をざっくり分けると、「文のつながりや構造をつかむ力」と「語彙」に尽きるのではないかと思う。文章を要約する時にはこの2つの力を使う。文のつながりや構造が理解できていれ
ひとりでいること、匿名的な仕事/ドリーミング村上春樹
「ドリーミング村上春樹」は、村上春樹の作品を20年以上、デンマーク語で翻訳しているメッテ・ホルムという翻訳家のドキュメンタリーだ。
映画は、「完璧な文章などというものは存在しない、完璧な絶望が存在しないようにね」という、『風の歌を聴け』の一文の、「文章」という言葉の翻訳をめぐるシーンから始まる。「文章」は、「text」か「sentence」か、または「literature」か。友人や翻訳仲間に相
ムンク展「臨終の床」のこと
ムンクの「叫び」の図版を初めてみたのは小学校5年生の頃だったと思う。「えっ、これ『絵画』でいいの?」と戸惑ったのを覚えている。
図工の教科書に載っていたり、休日親に連れてかれる美術館で見たりする『絵画』とは全然違うように見えた。印象派の作品がアバンギャルド過ぎて発表当時は受け入れられなかった、と教わっていたので、(印象派がダメでこれはいいなんてなぜ…)と疑問に思った。美術品だというには背景の渦は
「相談」に応えるということ
同調圧力と自己肯定感について書かれた、鴻上尚史さんの文章を読んだ。その文章は、「帰国子女で華やかな服装が好きな娘が、クラスで浮いてしまっている」という相談に対する「回答」として綴られていた。とても面白かった。
同調圧力の強さと自己肯定感の低さを「日本の宿痾」だとし、「娘さんが戦っているのは日本そのものだ」というその文章を読んで、自分の中の「同調圧力」と戦った記憶が、少し成仏したような気がした。
「頑張らない」が難しかった頃
「本当の頑張らない育児」(やまもとりえ)を読んだ。わたし自身はもう産後11年&8年で、「育児」というキーワードからも遠のいているんだけど、それでも一気に読んでしまった。
ちなみに子どもたちが赤ちゃんだった頃、自分が「頑張っていた」記憶は全然ない。でも、考えてみたら、おぎゃー、って言われたらどんな時でも起きて授乳したりおむつ替えたりしてたし、どこへ行くにも抱っこして(またはベビーカーで)連れていっ