「頑張らない」が難しかった頃

「本当の頑張らない育児」(やまもとりえ)を読んだ。わたし自身はもう産後11年&8年で、「育児」というキーワードからも遠のいているんだけど、それでも一気に読んでしまった。

ちなみに子どもたちが赤ちゃんだった頃、自分が「頑張っていた」記憶は全然ない。でも、考えてみたら、おぎゃー、って言われたらどんな時でも起きて授乳したりおむつ替えたりしてたし、どこへ行くにも抱っこして(またはベビーカーで)連れていってた。レトルト食品も冷凍食品も買わなかったし毎日床や壁をアルコールで拭きあげてたりとかもしてた。・・・十分、頑張ってたし、その頃は他に選択肢がないような気持ちでいたんだと思う。「もっと楽にしたらいいよ」って、確かに誰かに言われたような気もするけど、その時は何のことだかわからなかった。

「本当の頑張らない育児」の登場人物は、柔らかく優しいタッチで描かれている。せりふもかわいらしい手書きの文字だ。でもその、柔らかくて優しい姿のまま、登場人物の「わたし」は「頑張る」の限界に達して時々キレる。「夫」も、とぼけたような表情のまま、びっくりするほど冷たいことを考えていたりする。そこにリアリティを感じた。赤ちゃんグッズのかわいい色合いやかたちのものが散らばった部屋の中で、わたしたちも、すれ違ったり絶望したり、ぶつかったりあたたかい気持ちになったりを繰り返しながら、過ごしていたことを思い出した。

本を読んで、なぐさめられた、でも、励まされた、でもなく、共感してもらった気がした。「こんなことあったよね」「こんなこと感じてたよね」とずっと言ってもらっているような本でした。


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