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短編小説『ルチアーノ -白い尾のオナガ-』麗野鳩子

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尾羽が白いオナガのルチアーノ。 尾羽を青くする方法を探しに旅に出ますが・・・・・・。 レトロでイタリアンな作品になったと思います。 (全10回、約10,300字)
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1 Purge 追放 ルチアーノは取り囲まれていた。 いつものことだったが、少し違ってもいた。辺…

【短編小説 ルチアーノ -白い尾のオナガ- 2】Ocean 海

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【短編小説 ルチアーノ -白い尾のオナガ- 6】Human 人間

6 Human 人間 鳩の群れが去り、辺りは急に静かになった。 翼を伸ばすと背中が痛んだが、差し…

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7 Kingfishers カワセミ 耳元でちょろちょろと流れる水の音で目が覚めた。 小川の畔の柔らかい砂がルチアーノを守ってくれた。 「大丈夫?」 誰かに話しかけられ、霞む目を凝らすと、小さな青い鳥に覗き込まれていた。ルチアーノは軋む翼をたたみ、体を起こした。 「僕、そうか、くたびれて、空から落っこちたんだ。君は?」 「僕はカワセミのサンティノ。朝食の小魚を獲りにきたら、君が倒れていたんだ」 「僕はルチアーノ。僕なら大丈夫だよ。体は痛むけど、まだ飛べるよ」 「よかった。も

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8 Wimpy Monster 弱虫モンスター 仲間のいる森が見えてきた。 嗅ぎ慣れた空気を目一杯吸い込…

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9 Hollow 洞 梟《ふくろう》が巣立った後の木の洞を見つけ、ルチアーノは逃げ込むように中に…

【短編小説 ルチアーノ -白い尾のオナガ- 10】Reunion 再会(最終話)

10 Reunion 再会 東の空が明るみ始め、ルチアーノは目を覚ました。 体は軽く、まばらな尾羽…

【短編小説 ルチアーノ -白い尾のオナガ-】あとがきにかえて(短歌)

『オナガの仔』 開かぬ目で 腹が減ったと ぎゅいと鳴く 傾ぐ頭は おぼろ月かな 短編小説『ル…

おまけ① Treasure Hiding 宝かくし

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