◆取り巻く世界現実が人に迫り、人がこれを認識して意味を与え返す。客観事物と意味の混在という点ではこれを「複合現実」と呼び、現実認識の裁ち直し、意味の新編成を行う可能性という点ではこれを「仮現実」と呼ぶことができるだろう。
◆既知から未知をつかむには、近位項から遠位項を捉えて統合的理解に至る必要がある。近位項は実践に磨かれて心身になじんだものでなければならない。その人独自の語彙体系や事例群体系などの諸要素で構成された近位項体系であればこそ、遠位項を臨場感をもってその意味を全体との関係で統合できる。