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「プロジェクション」という考え方【読書のキロク・保存版】

こんばんは、"もっちゃん”です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

全ての謎は「プロジェクション」の働きで解ける!

という帯の見出しを見て、即買いした本のキロクです。
認知科学の分野において数々の功績を残す鈴木宏昭氏の遺志を受け継ぎつつ、川合伸幸氏が出版まで至った書籍です。

自分にとってはとても面白い本でしたので、紹介がてらキロクとして残したいと思います。

◯今回読んだ本:『心と現実 私と世界をつなぐプロジェクションの認知科学』 著者:鈴木宏昭・川合伸幸 幻冬舎新書

今年の3月に出た新書になります。
先日まで気づきませんでしたが、現在ではAudibleでも聞くことができるようになっているようです。

◯概要

なぜある人とっては何の変哲もないモノが、別のある人には感情を揺さぶる特別な存在になるのか。なぜパントマイムでは、壁や障害物が実際にあるかのように見えるのか。これらの問題に答えるのが「プロジェクション(投射)」の認知科学だ。世界を見る時、私たちは心で生成されるイメージを無意識のうちに現実の存在に投射し、重ね合わせて見ている。この心と現実の世界をつなげる「プロジェクション」の概念が、人間の心をめぐる数々の謎を解き明かしつつある。最新の研究成果から人間の本質に迫る知的興奮の一冊。

上記ホームページ作品紹介より引用

「プロジェクション」という言葉については、聞いたことはあったものの、詳しく知ることはなかなかありませんでした。

考え方のベースとなる「プロジェクション(投射)」の考え方について概観できる本でした。

◯本書の全体的な感想

本書は「プロジェクション」をテーマにしながらも、それを考えるにあたって、それまでの認知科学の流れを概観している部分もあります。

そしてその限界や不足部分を補うことも含めて、「プロジェクション」という考え方を提示しているものになります。

プロジェクションの考えを知る前に、これまでの認知科学の経緯や考え方の変遷を捉えるという上でも、とても有用な書籍だと思います。

認知科学の第一人者たちが著者ということもあって、満遍なく網羅的に、かつ簡単に認知科学のこれまでを概観できました。

それだけでも良かったのですが、またこの「プロジェクション」という考え方が個人的には素敵だと思います。

後述しますが、世の事象を網羅的に考えることができ、それこそ全ての事象をプロジェクションの視点から考えることができるのではないか、というほどです。

以下では、自分の記憶にも残すというアウトプットの意味も含めて、キロクしていきたいと思います。

◯認知科学の現在を概観

認知科学のはじめは「情報処理アプローチ」といったところだったかと思います。
行動主義によりがちだった心理学分野において、始まったものと思います。

その後、認知科学の第二世代として、「身体」というものが大きく取り上げられるようになってきました。
「環境」「脳」「身体」が大きく関わり合いながら存在し、「心」を形成していく。また、その「心」がその相互作用に大きく関わってくる、といった考え方でしょうか。

この考え方は私も同意するところです。
「身体」なくして、世の事象(少なくとも認知される事象)について語ることは難しいのではないか、と思います。

その後の認知科学のアプローチとしては“第三世代”とも呼ばれるようですが、「ポスト身体性」を銘打って、そこに挑もうとしている形になります。

本書における「プロジェクション」という考え方は、まさにそこに立ち向かう考え方のように思います。

◯プロジェクションとは

「プロジェクション」は日本語とすると、そのまま「投射」となるようです。

“プロジェクター”などもあって、身近なことばとなってきているようにも感じています。"プロジェクションマッピング”とかね。

プロジェクションの考え方については一言では言いにくいところもありますが、考えられそうな部分だけ、少し引用します。

しかし、リンゴを見て脳でリンゴの表象が形成されてもそれで終わりではない。その表象は、それまでの経験やそのときの身体の状態(たとえば空腹であるなど)、さまざまなものが重ね合わさって、それを見た人がその場面に応じて固有の表象を作り出すのだ。

本書p50より引用

さて、どうして頭の中にできた表象が、目の前の子どもに投射されるのだろうか。表象をそれぞれの対象に飛ばしたり、プロジェクションマッピングのように映像を投影して重ねたりしているわけではない。頭の中にできた対象に、さまざまな表象が重ね合わされて現実世界は知覚される。

本書p51より引用

ということです。

人間(動物も含むかも)にはそれまでの経験や知識により、対象に対する固有の表象が形成される。そしてそれを目の前の対象に投射することにより知覚する。

その固有の表象を対象に投射することを「プロジェクション」と呼んでいる、と解釈しています。

基本的にはこの考え方にはなると思いますが、その後3種類の投射を明記しています。

「投射」「異投射」「虚投射」

の3種類になります。
これら3パターンはあれ(詳しくは記しませんが)、これらを用いて人が世を認識する事象については、かなり多くの部分がカバーできるように思います。

うまく説明できないのがとても申し訳なく感じています。
興味のある方はぜひ本書をお読みいただき、ご自身で解釈していただければと思います。

◯一つの事象の捉え方

個人的には世の中の事象の見方として、とてもしっくりくる見方が「プロジェクション」だと思いました。

ただ、少し引いた目で見てみると、あくまで1つの捉え方にすぎない、とも思います。一つの事象についても、いろいろな見方をすることは可能だとも思います。

一つの見方に囚われすぎてもいけないとも思いつつも、なんとなく拠り所にしたい考え方とも思います。

今後教育について考えていくにあたって、どのように生かすことができるのかは改めて考えていきたいと思います。


ということを考えた1冊でした!

自分にとってはとても大きな存在となる考え方です。
みなさんにも読んでみてもらいたいとも思います。

Audibleでも聞けるようですが、図とかも多いので、認知科学に詳しくない方なんかは、書籍の方をお勧めします。

自己紹介はこちらから。






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