情報環世界

正しさはどこにあるか

選挙とは、意見や考えが異なる人たちがそれぞれ自分の「正しさ」を主張する場である。当然そこにはお互いに相容れない「正しさ」が並んで存在することになる。ある党はAが正しいといい、またある党はBが正しいと言い、お互いに決して譲らない。そんな状況で急に選挙が始まってそれぞれの公約や政策だけを聞いていても、どちらが正しいのか、どちらを信じればいいのかわからず、思考停止してしまう人も多いのではないだろうか。

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ワカンナイ(Can’t Grasp It)

『情報環世界』の執筆中、家に帰ってもわかるだのわからないだのと話をしていたら、妻が「そういえば陽水さんの歌にそんな歌あったよね」と呟いた。確かに「ワカンナイ」という曲がある。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」に対する井上陽水さんらしいアンサーソングである。調べてみるとこの曲にまつわるエピソードが沢木耕太郎さんのエッセイに綴られているというので気になって読んでみた。

「あの‥‥雨ニモマケズ、風ニモマケズ‥

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わからないものをつくる

What I Cannot Create, I Do Not Understand.
つくれないものは、わかったとはいえない。

『情報環世界』を通して「わかるとつくる」を巡る思索の旅を続けていく中で出会った、物理学者ファインマンの最期のメッセージ。果たしてファインマンはこのメッセージで何を言おうとしているのだろうか?いや、そもそもファインマンの言ったことは本当に正しいのだろうか?

What

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世界に変えられてしまわないために

「創造性を身につけるためにはどうしたらいいですか?」
トークイベントや学生向けの講義で、こんな質問をされることがある。その度にアイデア発想のヒントだったり、作品をつくる時に気をつけているポイントについて話すのだが、以前からこの質問自体にいつも何か違和感を感じていた。自分はたしかに「クリエイティブ」と言われる仕事をしているが、創造的であること自体を目標にしてきたわけではないし、昨今の「これからはAI

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予測する脳

ある日学校から帰ってくると、テーブルにリンゴが置いてあった。でも、これはほんとうにりんごだろうか。もしかしたら、これはリンゴじゃないのかもしれない。もしかしたら、見えてない反対側はミカンかもしれない。もしかしたら、なかはメカがぎっしりかもしれない。もしかしたら、実は何かの卵かもしれない。もしかしたら…。
「考える」とは、自分にとっての「当たり前」から飛び出して「可能性」の世界への旅をすること。ヨシ

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はじめて考えるときのように

もう20年近くも前のことになってしまうが、大学時代に受けた講義の中で、今でも記憶に残っている「科学哲学」という講義がある。哲学とは「そもそも」にとことん向き合う学問であり、「科学哲学」は「科学のそもそも」にとことん向き合う哲学ということになる。例えば、わたしたちはよく「科学的に正しい」という言い方をするが、そもそも「科学」は本当に「正しい」のだろうか?そもそも「正しい」とはどういうことだろうか?そ

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『情報環世界』発売記念連続トークイベント

このnoteでもご紹介してきた『情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック』の発売を記念して、連続トークイベントが開催されます。渡邊淳司さん、ドミニク・チェンさん、塚田有那さん、伊藤亜紗さんという共著者の方々をはじめ、細馬宏通さん、久保田晃弘さん、会田大也さん、ひらのりょうさんという素晴らしいゲストの方々も交えて、各回『情報環世界』をさらに拡張する議論が繰り広げられます。是非ご参加ください!

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こういうのを情報環世界と呼ぶらしい

自分とは異なるバックグラウンドを持った人たちと脳ミソをつなげ合ってアイデアを生み出していく経験に感銘を受けたタイミング(前回note参照)で、まさにそのようなことについて書かれた本に出会うことが出来たので、忘れない内に書いておこうと思います。

『情報環世界』―この本を知ったきっかけはTakram Cast。ちょうど一年くらい前に聴き始めて、それから毎回欠かさず聴いているポッドキャストですが、それ

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あ、ありがとうございます!
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読まない読書

本というのはとてもコストパフォーマンスの高いメディアである。哲学からエンターテインメントまで、アートからサイエンスまで、人類が紡いできた叡智や文化に、誰でも簡単にアクセスができるのだ。しかしながら、人生で本を読むことに費やせる時間は限られている。「いつ本を読んでいるのか?」と聞かれることもあるが、別に壁一面の本に囲まれた読書家というわけではないし、正直に告白すれば、ちゃんと最後まで読んでいる本は稀

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フィルターバブルと環世界、対話と共話

2017年にNTTインターコミュニケーションセンター(ICC)で開催されたシンポジウムに登壇した5人のボードメンバーを中心に、さらに議論を深める場としてはじまった「情報環世界研究会」だが、ボードメンバーの間で当初から共有していたテーマの一つに「フィルターバブル」があった。

フィルターバブルとは?

世界の人々を繋げ、オープンなものにするはずだった情報テクノロジー。それが今や、データとアルゴリズム

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