N|ライター

元書店員。

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最近の記事

仮置き

です

    • 『ジブリアニメで哲学する』

      ・なぜ千尋は神隠しにあったのか? ・キキはなぜ、宅配便を仕事にしたのか? ・なぜシータだけが滅びの呪文を知っているのか? こうやって問いが連発されたら、どうしたって考えてしまうね。 本屋のレジ前に平積みされていてさ、並んでいるときに目次を見てこれだもの。すぐに買ってしまった1冊。 この本は、ジブリ映画のいろんな要素を象徴的に読み解いていくもの。 たとえば、『風の谷のナウシカ』において「風」はどんな意味をもつのか、「虫」とは?「谷」とは? など。 映画なんかを見たあとに、批

      • 『急に具合が悪くなる』

        じぶんの命って、あと何十年か変わらずにあると思っているじゃない。でももし、「あなたは、急に具合が悪くなりますよ(≒急に体調を崩し、そのまま死にますよ)」と言われたらどうすればいいのか。 この本は、そういう状態を宣告された哲学者が、「具合が悪くなるまで」人類学者と交わした往復書簡をまとめた本。 この本が、それこそ急に身に迫ってきたのだ。身近にいるのだよ。自分の命が、あと3日なのか、あと30日なのか、あと1年なのか、3年なのか皆目見当がつかないという状態の人が。 そうすると

        • デイリーポータルZが棒タルZになった日を忘れない。 「棒」ってなんだ?これも棒か?と棒のゲシュタルト崩壊が起きるわけですが、そういう絵本あるんだなあ。 寄藤文平さんのイラストによる絵本。 なにかといえば、「1本」と呼ぶものを列挙し集めた本。 日本語を教えていた飯田先生は、ある日留学生に「どうして、にんじんも、電車も、柔道の勝負も「1本」と数えるの?」と質問され、返事に困ります。 たしかにそうだ。1本と言われて、なにが思い浮かびます? うめざわ

          はじめて禅に触れるなら 石井ゆかり『禅語』

          夢のようなコラボ発見。石井ゆかり×禅。どうしていままで知らなかったのか。 きのう、石井ゆかりさんと大愚和尚のかさなりを見つけたところに、今日はそのものズバリな本に出会うとは。 タイトルのとおり、禅語について、石井ゆかりさんがひとつずつ解説している本。こういう作品をみると、やっぱり石井ゆかりさんって占い師じゃなくて完全にライターさんだと感じる。このかたに書けないことはないんじゃなかろうか…… たとえばこの言葉。 喫茶去(きっさこ)  この言葉は、日本では「まあ、お茶で

          はじめて禅に触れるなら 石井ゆかり『禅語』

          名詞と動詞の覚書

          愛というのは名詞ではなくて、「愛する」という動詞なんです。信頼とは名詞ではなく、「信ずる」という動詞なんです。[…] 「思う」「言う」「行う」の三つに矛盾があってはいけません。この三つがピタッと一致して初めて、ちゃんと生きているといえるのです。(大愚元勝『大愚和尚の答え』、飛鳥新社、p.103) 「素早く愛するとか、迅速に誠実になるとかは、たぶん、難しいのです」という石井ゆかりさんの言葉。そうかこういうことだったのか、と別の本でヒントを知る。 そもそも「愛する」という動詞

          名詞と動詞の覚書

          読みたい:絵巻とマンダラで解く生命誌

          やややややこれはとんでもないぞ。何億年かの生命の歴史を、一枚の絵巻物にするならどうなるかという壮大なメディエーションの実験。 うめざわ ※あと、絵のテイストがいわさきちひろさんっぽい絵本タッチなのもいい。

          読みたい:絵巻とマンダラで解く生命誌

          読みたい:『時間は存在しない』

          石井ゆかりさんの週報が大好きなのは、運勢じゃなくて、人間の行動の雛形みたいなものを見せてくれるからだと思う。 だって、たとえばこれ。 愛情や誠実さ、真剣さを行使するには、どうしても時間が必要です。 素早く愛するとか、迅速に誠実になるとかは、たぶん、難しいのです。 https://note.com/weekly_kntr/n/nec35d61eb2a1?magazine_key=m1224bbc67395 「素早く愛する」「迅速に誠実になる」 この言葉をみたときに、なにか

          読みたい:『時間は存在しない』

          魚市場で働いたデザイナー 皆川明『生きる はたらく つくる』

          日経スタイルで書評書きました。 皆川さんの半生、意外に満ちています。 もともと日体大を目指すほどの長距離選手だったこと、 怪我をしてその夢が絶たれたからたまたまフランスに逃げて、バイト代がいいからとコシノジュンコのパリコレでお手伝いをしていたこと、 ブランドたちあげた直後は魚市場でマグロの解体をしていたこと。 アパレルって好きじゃない…って思うひとこそ、楽しめるはず。 皆川明さん、はなばなしいアパレルデザイナーというより、ものづくりの匠、です。 うめざわ ※関西のかたは

          魚市場で働いたデザイナー 皆川明『生きる はたらく つくる』

          今日もおやすみ

          格助詞の不思議。

          今日もおやすみ

          今日はおやすみ

          自分で書いてて気づいたわ、「今日はおやすみ」なんだよな。今日も、ではない。

          今日はおやすみ

          ヨシタケシンスケ『もしものせかい』

          この絵本は、2070年の日本でも読まれていると思う。 もしも、自分に孫ができたならば、私が若いときこの絵本が出たんだよって語ってきかせたいくらい。 野暮なことはいわないから、本屋で10分立ち読みしたらいい。たぶん涙ぐんで立ち尽くす。あたらしく、でもじつはとても肌なじみのいい死生観だと思うのよ。 うめざわ *この本を送りつけてまで読ませたい人がいたけれど、ちょっとなまなましすぎてやめた。よんでくれますように。

          ヨシタケシンスケ『もしものせかい』

          占いが欲しい、それは生きようとしていること 石井ゆかり『星栞』

          石井ゆかりさんの『星栞』が届いた。2021年の星占い蠍座。ずっと予約していたものだ。 「はじめに」だけで、この本買ってよかったと思う。 もう、日本語読める人全員、冒頭4ページだけでも読んだらいいよ。 全文書き写したいけどそうもいかないので、抜粋すると。 つまりはだ、「占いって何の役に立つの?」ってこと。 2020年、世界中がひっくりかえった。 これを予測した占いってあったの?っていう話。 星占い的には2020年は大きな時代の転換点と言われていたけれど、 それが世界的な感

          占いが欲しい、それは生きようとしていること 石井ゆかり『星栞』

          大きな物語に回収されないために

          ウェブ上で、ランダムなものに出会う仕組みはうれしくなる。これも、おみくじを引くように、いろんなことばに偶然出会える。 そう、きのう紹介した『33の悩みと答えの深い森。』のweb版。 本を読んでてそうだそうだと思った言葉が、是枝裕和監督のコレ。(上記ページだと54番) 自分たちの社会が「大きな物語」に回収されないために、 ぼくら庶民が「小さな物語」を、 「小さいけれど、それぞれに、ゆたかな物語」を 語りつづける必要があると思っています。  https://www.1101

          大きな物語に回収されないために

          物語は勝手に生成される

          物語のなんたるかを考えるのに、さいっこうの例をみつけた。 あー、これはすごい。やっぱりやっぱりたらればさん。 時間の流れのなかに、事実を置いているだけなのに。 この3つの出来事は、まったく関係のないことだってわかるのに。 なのになのに、明らかに石原さとみショックで日本経済もアメリカ大統領のダウンしたように見える。 目の錯覚っていうか、頭の錯覚を体験させられた気分だ。トリックはわかっているのに、どうしても矢印の長さが異なって見えるアレ。 はーー。千野帽子さんの『人はなぜ物

          物語は勝手に生成される

          苦手になるのは、力があるから 『33の悩み、33の答え』

          人前で話すのを”苦手になれる”のは才能です、ってすごくない? しかもそれ、南海キャンディーズの山里さんが言うんだから、もうすごすぎない? ほぼ日がやってたインタビュー企画、これ読んだときほんっとびっくりしたの。「人前で話すのが苦手なんです」というお悩みに対して、「それは才能です」って。そんな返しある? なんで苦手かっていえば、相手の立場に立って考えたり、その場を俯瞰できる力があるからでしょう? 話下手も人見知りも、才能なんだよって、なんと優しい。 とかとか、そういうお悩

          苦手になるのは、力があるから 『33の悩み、33の答え』