コーヒーの夢を見ている。雨は夕暮れ、雲間から覗く細い月が干からびた左腕をそっと傷つける。暗いカーテン。街灯もなければ電線もない。溶けた地平線まで広がる漆黒の麦畑。麦の穂は空に昇る。一万キロ離れてたって見える星はいっしょだ。遅延する君の声に、電波のざらつきに、砂糖とミルクを混ぜる。