爪が伸びたらどんなふうになるのだろう。えくぼはどのくらい深いのだろう。首のしわは何本あるのだろう。まつ毛はどこを向いているのだろう。おへそはどんな形だろう。雨に濡れるとどんなにおいがするのだろう。そんなふうに考えながら眠り、きみの夢をみる朝。
毛布が恋人あなたは愛人 短いまつ毛が似合う横顔 最初はグウでおなか鳴る
あたしのからだは通気性がいいらしい。そよ風も嵐もあたたかい風もつめたい風もみんなじょうずに通り抜ける。あたしのからだからあなたが消えたから、手も腕も脚もくちびるも心臓もすかすかになってしまっている。このすき間をあなたなしで埋められるかしら。あなた以外で埋められるかしら、あたし。
俗に言うええ食パンが一本まるごとテーブルに置いてある。紙袋から取り出し、透明の袋をあけると全面が耳になっている食パンが現れた。食べものをくれよ、と寄ってきた飼い犬も全周パン耳みたいな色をしている。どちらを食べようか思案した結果、わたしはほんのりあたたかい犬の耳を口にふくんだ。
あの子の日記「インスタントカップル」をリメイクしました。さあ夏がちかいです。みなさん、夏バテしないようお水をしっかり飲みましょうね。 https://note.com/morimirimo/n/n2fa49d43b6bf