はるのーと

南林はるのといいます。お芝居が好きな23歳です。 ADHDでした。私が半径5メートル以…

はるのーと

南林はるのといいます。お芝居が好きな23歳です。 ADHDでした。私が半径5メートル以内で感じたことを書いています。たまに創作短編小説や詩も書きます。 感想などいただけるととても嬉しいです。 よろしくお願い致します。

最近の記事

許容量

私の母校の小学校は、少人数で生徒一人一人に先生方の目が行き渡り、大自然の中のびのびと勉強と運動ができるところだった。 大人になった今思えばとても恵まれた環境で育ったと思う。けれど同時に、とても窮屈で、この山の外へはどこへも行けないような気がしていた。 小学六年生の頃、一度家で爆発した。 確か酷く暑い夏の休日だった。その日は前日に母と揉め(おそらく私が譲れないこだわりを咎められ反抗したのだと思う)、翌日までぎくしゃくとした空気で昼ごはんをかっこんだのだ。あまり覚えていないが

    • 覆われた目

      「うーん、怖い話かぁ。あんまり得意じゃないからなぁ。じゃあ、ひとつだけ。自分で経験?というか父から教えてもらったことなんだけど。 わたし、小さい頃だいぶ危なっかしい子供だったんだよね。遊園地に行ったら大きな池に落ちたり柵に顔挟まっちゃったり、幼稚園の頃なんか和式のトイレに片足が嵌っちゃってレスキュー隊が来たりするような。まあ今では完全に笑い話だけど、親としてはだいぶ心配だったんじゃないかなぁ。怖がりで寂しがり屋で甘えん坊の典型的妹タイプ。 で、小学六年生の時に、学校の企画っ

      • ADHDだけど俳優として頑張るぞって言う決意表明。

        こんにちは、事務所に所属させて頂きペーペーながら俳優として活動させていただいている南林はるのと申します。 今年の初め、私は自分のことが知りたくて発達障害の検査を受けました。20年生きて、色々上手くいかなくて、ゆっくりと自分はもしかしたら普通の人とはちょっとズレているどころじゃないかもしれないと気がついたからです。 私の家族は、とても優しくぽ〜っとしているところがあって、私の上手くいかないことや苦手なことを「はるちゃんはそういう人だもんね〜」というスタンスでしたので、私も成

        • 四季折々とコロッケ

           昼寝から目を覚ますと、外はもう薄暗くなっていた。いくら日が長いとはいえ、日がな一日よくもまあ眠れるものだと自分に感心する。上に子供でも乗っているのかというように頭が痛むし、体の節々がきしむ。そろそろ起きないと、えみりの帰宅までに一日で散らかした部屋の掃除と洗濯が間に合わない。やらなくちゃがあたまをぐるぐると回る割には一向に起き上がる気になれず、手探りで枕元からスマホを見つけ出し、メールを打った。 「今日の晩メシ、総菜でいい?」 その一瞬の動作すら重怠く、そのまま放ってまたタ

          散るならば、

          桜が、雪みたいだ。見上げると目が回るほどだというのに、彼女は飽きもせず延々とその桜吹雪を仰いでいた。僕はといえば、卒業式後の校門の悲喜こもごもの輪の中から少し外れて、そんな彼女の後ろ姿をぼーっと見ていた。遠くで卒業証書の入った筒の蓋を開けたり閉めたりしている男子の、そのぽこぽこという音は水泡が弾けるみたいで、遠くのざわめきはさざなみにも聞こえる。 「打越さん」 彼女の名前を呼ぶと、やっと首をおろし背を向けたまま「なに」 とこたえた。何を、言いたかったのか、わからなくなって黙

          散るならば、

          よるとあさとかわいいひと

          私はいま夜明け前なのかもしれない。夢を見るのと同じくらいに、なんでも暗い方向に妄想を広げるのが得意で、一日のうちに何度も夜が来る。星だと思って一瞬心躍ったものが結局は貧血で目の前がチカチカしていただけだったりした。ここのところは妙に、元気はあるけれどしずかで、まだ夜の残りにさいなまれたり明日の光に希望を持ったりを繰り返したいる。堕落すらも尊い行為に思えて、あらゆる自分を「まあいいじゃん」と受け入れられ始めている。 むかし、とても素敵な女性がいた。チャーミングで笑うと目じりが

          よるとあさとかわいいひと

          ミッドナイトスワン(若干ネタバレありかも)

          彼女には翼が生えている。 「ずっと一人で生きていかんといけんのんじゃ、つよならんといかんで。」と抱きしめてくれた人が、はやしてくれた翼が。 孤独と孤独が重なって、ぶつかり合ったら抱きしめあっていた。ただ生きているだけなのに傷だらけで、涙には際限がなく枯れ果てることもない。生活は美しく丁寧に編集された物語じゃないから、理不尽で、誇り高くピンヒールを鳴らしても孤独はどこへもゆかず、日陰を歩かされる。苦痛は寄り添ってはくれないし、喪失に慣れることもない。 どうして、目の前の人

          ミッドナイトスワン(若干ネタバレありかも)

          ユニットバス

          ひとりで勝手に死んだふりをして、満足して明日も昼に起きる。 みんな嘘つきってことにしたほうが楽で、誰かに愛されたいとか言ってるくせに愛することの匂いも知らないまんま大人になったせいで、今日もみんなマスクをして、同じ月を見ていた。頼んでいないのに自動的に沈む月と昇る太陽に、いちいち絶望しきらない程度に大人になって、いつまでも眠っているほうが幸せで、明晰夢は天国。まだ十一月の空を見て、雪が降れば少しは幸せになれるとつぶやいた息は、まだ白く煙ることもなく消えた。体中がいつの間にか軋

          ユニットバス

          コミュ障と文章

          人と会話するのが苦手だ。自分の脳みその中は大きな図書館みたいで、自分が伝えたいことを伝える為に一つ一つ言葉を探して選んで口にするけれど、いつも「表現が独特」とか「テンポが独特」という印象に落ち着く。考えている途中で相手の様子をうかがってパニックになると信じられないくらいにどもってしまったり、目線がうろうろとさまよい続け、ゆびは生き作りのイカのようにせわしなくうごめいてしまう。落ち着いて、と言われても自分の体をうまくコントロールできないし、しゃべっているうちにゴールが見当たらな

          コミュ障と文章

          おいしいじかん

          このところアイスコーヒーばかり飲んでいるような気がしたので、久しぶりに暖かいブレンドを買い、駅のホームで一人飲んでみた。午前中とはいえ日差しは厳しく、汗がじっとりとわいてくるようでなんだか特別おいしいとは感じなかった。ただ、ここ半年ほどの殺伐とした社会の中で東京に一人ぽつんと暮らす女子大生には、おいしいよりも重要な安心があったような気がする。 一人でもたいていの場所へ行ける私は、元来の出不精や連絡をめんどくさがることもあって、友達と連れ立ってカフェやレストランに入ることは少

          おいしいじかん

          69年。

          自分のことでいっぱいいっぱいになると、微熱が出る。なにがしかのサインなのにだからといってどう休んだらいいかもわからずに心だけが急いて、気が付いたらひと月経っていた。久しぶりに中学からの親友と会って、映画を見てカラオケに行きサイゼでだべって彼女の家に泊まった。私に似たさみしがり屋でマイナス思考で、不器用なのに心根がまじめすぎて自己肯定感の低い女の子だ。世界の何一つとして思った通りにはいかないし、自分の身一つですらどうすることもできないことばかり。 彼女と一緒にいるとき、たぶん

          想像力と空気のはなし

          不登校だった頃のことと最近思うこと。 想像力が豊かな人が好きだ。面白い発想とかグレートな世界観とかの想像力もめちゃくちゃ尊敬するけど、そういうのではくて。 想像力って一対一の人間関係においてものすごく重要だと思うようになった。中学生の頃私は不登校になったわけだけれど、小学校の六年間はどちらかといえば優等生だったし皆勤賞も何度もとっていたので自分がまさか学校に行かなくなる日が来るとは思ってなかった。というか、そんな漫画の中みたいなこと本気で現実味を持って想像できる十代な

          想像力と空気のはなし

          湿り

          眠ろうとするといつも眠れなくなるのは、眠らなければ朝が来ないと感じるからなのかもしれない。 低気圧はいつも頭がズキズキと痛むけれど、雨は好きで本当は雨の中傘をさして気まぐれに散歩したいのだ私は。私の田舎は本当に小さな村で、人が歩こうものなら否が応でも目立ってしまうから外に出るのは好きじゃなかった。大学進学とともに出てきた東京。綺麗にメイクをして可愛らしいワンピースを着て歩くことがこの上なく楽しい。映画の美しいヒロインは「みんなが私に振り返る。」けれど、私は誰にも見られて

          ラブレターのはなし

          夏目漱石がI Love youを「月が綺麗ですね」と訳したという有名な逸話がある。なんて素敵でロマンチックなんだろう。ちなみにこの言葉への返答は、「私死んでもいいわ」だそうで、なんだかそちらも非常に素敵。 貴方の隣で見る月が美しいのか、貴方を思いながら見る月が美しいのか。それとも、月という当たり前の存在も、貴方と出会って美しいと感じるようになったのか、月が綺麗という当たり前の会話を貴方とするというのが史上の幸せであるという心持ちなのか。 色々考えちゃうよね。 私だったら何

          ラブレターのはなし

          すてきなはなし

          お疲れ様です。 猫が大好きで実家には3匹いますが、高校生のころ猫アレルギーが発覚しました。南林はるのです。 なんだか、このご時世でしんどいこと多すぎるので今日は淡々と素敵だなあと感じた日常を書いてみます。 実家のお隣のご夫婦にこの冬可愛いご長男が産まれたのですが(我が家ではお殿様と呼んでいる)、先日ちいちゃな鯉のぼりが庭に一匹はためいていました。我が家のお風呂はお隣さん側に近いところにあるので、シャンプーをしてるとたまに泣き声が聞こえてきます。その度に私たちは「おうお

          すてきなはなし

          はじめての日記

          はじめまして。南林はるのです。 お芝居をしています。 この度noteを始めてみました。 ゆったりと、よろしくお願い致します。 ** 自分のはなし**2000年生まれ長野県出身の女性です。 好きな食べ物はコロッケとびんとろ。性格は、結構真面目で大人しい方だと思います。お笑いと映画が好きです。 なんか、マッチングアプリのプロフィールみたいですね。見たことないけど。 なんでも好きに書いていいんだと思うと、何を書こうか迷ってしまいます。それでつらつらと書いてみて、自分語り

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