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『悩みの種は美しく咲く』

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『悩みの種は美しく咲く』
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『悩みの種は美しく咲く』第二章:永遠ではないから④

『悩みの種は美しく咲く』第二章:永遠ではないから④

 私は日の光で目覚めた。
 窓から射すのは涼しげな青白い光であった。しかし部屋の中には酒と男のにおいがゆらゆらと漂っている。少し痛む頭を起こして壁にかかっている時計を見れば、まだ六時を少し過ぎた頃であった。 
 私は酒を飲むとなぜか早起きになる体質であった。どんなに酒を煽っても、どれだけ夜が更けるまで飲んでも私は早朝に目が覚めてしまうのだ。しかも、その後の眠気という魔物も全く襲ってこない。すこぶる

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『悩みの種は美しく咲く』第二章:永遠ではないから③

『悩みの種は美しく咲く』第二章:永遠ではないから③

 リビングに通された私は、まずその広さに三度驚かされた。おそらく『パルドブロム』の四部屋をつなぎ合わせても、対戦相手にもならない広さだった。そこまで広い場所にあるのはダイニングテーブルと八十インチほどの大画面テレビ、そしてエメラルドグリーンの皮張りのソファー三点というシンプルな間取りであった。
 この贅沢な使い方が貴族の余裕なのかもしれない。
「なんだ、お前か」
 そのソファーから渋く冷たい声が聞

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『悩みの種は美しく咲く』第二章: 永遠ではないから②

『悩みの種は美しく咲く』第二章: 永遠ではないから②

 我々は駅の西口を出て、県道二十六号線をまっすぐ歩く。私が思っていたよりも駅付近は都会で、テレビや雑誌で想像していた田園風景は見られなかった。
 百聞は一見にしかずとはこのとこだと胸の内で感心した。
 歩道には柳が植えられており、風の勢いを殺したごとく、ゆったりと左右に揺れていた。
「童、これはなんだ?」
 ベージュの帽子のつばを上げて金次郎がお堀の先を指さした。
「ここは久保田城跡です。と言って

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『悩みの種は美しく咲く』第二章:永遠ではないから①

『悩みの種は美しく咲く』第二章:永遠ではないから①

 GWの初日、秋田市はあいにくの曇天模様だった。
 私たち一行は新幹線こまちからホームへと降りた。
鋭い先端をもち、赤く光り輝いているこまちは普段見られないので新鮮だった。

 別に私は鉄道オタクというほどの知識はないが、男の性というものだろうか、目の前にすると無意識に心が躍ってしまう。
 マスターと金次郎も同じようだった。マスターはスマホで、そして金次郎は一眼レフを構えて何度もシャッターを切って

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《小説》悩みの種は美しく咲く 

《小説》悩みの種は美しく咲く 

一章:十連休

 四月一日、新しい元号「令和」が発表された。
 まだ平成も残り一カ月を走り切ろうと奮起しているだろうに、世の中は次なる新時代、令和で大盛り上がりだ。テレビをつければ新橋で人を押しのけて号外を手に入れようとするスーツ姿の国民たちの慙愧に堪えない映像が流れている。

 私くらいは平成に労いと励ましの言葉をかけておこう。
 しかし、私、國村歩は戦場の真っ只中にいて、平成の味方をしてい

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