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ありがとう、大嫌いなウィーン

日本に帰ってきて3ヶ月ちょっと。東京に住み始めて2ヶ月。

人にぶつかっても、もう咄嗟にSorryと出てこなくなるくらいには体は日本に馴染んできた。

日本にいるだけでウィーンで抱えた悩みの半分は消えた。友達にもいつでも会える、時差も考えずに連絡できる、すぐに病院に駆け込める、美味しい日本食がすぐいつでも食べられる。

だからといって、上記のことで困ったわけではない。きちんと文化は受け入れられた。

“じゃあずっと日本にいればよかったじゃない”と言われるかもしれない。でも私は海外に出ることを自分の義務だと思っていた。小さい頃の自分との約束を果たさなければと思っていた。

ただ私は、今まで積み上げてきたものの答え合わせがしたかった。答えが日本になかった。

ウィーンに住んで今までに感じたことがないほどのストレスで、白髪が生えたし、生まれて初めて鼻血が出た。

友達からは「ヨーロッパに行った人でこんなに痩せた人初めてみた」と言われたくらい頬がこけた。

語弊を生まないようにしたいのだが、ウィーンのことが好きな人、ウィーン留学中の人、これからウィーンに留学する人のことを否定しているわけではないことはここに記しておく。

ただ、私に合わなかった。全てが合わなかった。

でも本当にウィーンに行ってよかったと思うし、住んでよかったと感じている。

私の好きなものは?嫌いなものは?

ウィーンに行って自分の嫌いなものがハッキリとわかった。

されたら嫌なこと、無理してやってみたけどやっぱり嫌だったこと。

相互監視的な圧迫感、人種差別を含む皮肉、肩書きを気にするちっぽけさ、尾ひれはひれのついた一人歩きした噂。

誰しも一度は思春期に通ってきたあの、ジメジメとしたあの感触をもう一度味わうこともあった。

周りの平均年齢21歳だったから仕方がない。

でもそこで私は自分のことがわかった。

とにかく干渉されることが嫌い

ステージに上がる職業である以上、目立つことは諦めなければいけない。もちろん文章を書いて発信もするので尚更だ。

今年の夏にSNSを辞めた。
最初は仕事依頼が来たり、SNSを通して素晴らしい出会いもあったし、これからもそれを期待した。
それが、ふとした時に、不特定多数から見られる気持ち悪さに変わった。

誰かに見られる私を作り上げることに疲れた。誰かに私のことを干渉されることにも疲れた。

ウィーンで、自分は何者かにならなければいけない、これまでの自分を救いたい、と焦っていた。

でも、私が私をやめることではなくて、私が私を認めてあげることが、自分を救うことだと気づいた。

あの居心地の悪さが、自分の中の大切なものの存在をわからせてくれた。

日本に住み続けていたら、きっと気づけなかっただろう。

大嫌いだけど、感謝してる。
ありがとう、大嫌いなウィーン。

お読み頂きありがとうございます。この記事は無料でお読み頂けますが、上記の金額を投げ銭して頂ければ幸いです。今後の海外渡航費用の足しにします。


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