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今週の読書録

今週の2冊はフィクションとは思えない内容でした。
気分転換目的よりは何かに向き合うエネルギーがあるときにおすすめの本です。

ファミリーランド

近未来、今よりもう少しIT技術が発達すれば実際に起こりそうなストーリー。

高齢化がさらに進み、医療分野のIT化が促進された場合にこのようなことがありそうだと思わせるような短編集でした。
デザインベビー、亡くなってなお存在感を示し続けるAI姑、姥捨山のように宇宙に送り出される異星人。
本当にこれはフィクションなのか?とゾワゾワする内容が続きます。

未来の日本の姿かもしれないと感じるようなデストピア小説。

コークスが燃えている

あらすじの紹介を読んだ印象では高齢出産をしたシングルマザーの話かと想像していました。
しかし、実際にはシングルマザーは多数出てくるものの、主人公はまた異なる境遇。

既婚や別離した後のシングルマザーと未婚のシングルマザーの間には、最近まで社会保障制度の大きな壁があったことは読んで初めて知りました。
入籍前に相手が死亡した、妊娠が分かったときには別れた後でそのまま一人で産んだ。
このようなケースに適用されなかったサポート制度があることを。

海外やかつて存在した近隣同士で補助し合う育児体制がない今の日本で、ひとり親での子育ては困難の連続というのはよく聞く話です。
ましてや非正規であれば収入面でもますます不安定な環境となり、さらにハードルは上がる。

今週も出産一時金の少なさや、死ぬときは二割負担であるが産まれるときは全額自己負担という日本の社会保障についてのニュースがありました。
少子化が問題視されて久しく、多様化が叫ばれる中でもなかなか変わらぬ制度。
ある程度の年齢になり、子どもだけは 欲しいと思ったときに何よりも必要なのはお金。

乳幼児をたき火に、育てる女性を石炭を高温で熱したコークスに例えた描写はわかりやすいものの、個人的には話の流れに馴染んでいないように感じた以外は興味深く読み進めることができました。


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