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今週の読書録

最近、アウトプットが滞りがちでしたが、小説、エッセイ、実用書など、幅広いジャンルの10冊を読了。
新作から積読の消化まで、悪天候で外出がはばかられる日を中心に読み進めました。

「十二国記」30周年記念ガイドブック

小野不由美さんの『十二国記』シリーズ、ファンタ待望のガイドブックと評判の今作。
『十二国記』シリーズといえば、今やシリーズ15冊の累計は、1280万部を超える大作!
意外にもシリーズ30年の歴史の中で、初の「ガイドブック」だそうです。
作品紹介、主たる登場人物、用語解説、年表、世界地図など、シリーズの世界観をおさらいしたい方にも分かりやすい一冊。

作中に登場する「漂舶」は、幻の短編という紹介がありました。
既刊小説内には未収録とのことでしたが、どこかで見覚えが…と既視感を覚えた内容。
アニメ版では、似たようなエピソードを目にした記憶があります。

発売が待ち遠しい次なる短編集も、ますます楽しみになる内容でした。

52ヘルツのクジラたち

本屋大賞も受賞した町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』。
以前、冒頭の章を読み面白いと思いつつも、先の展開が怖くて寝かせていた小説です。

難しい親子関係やLGBTなど、近い間柄だからこそ複雑さが増す繊細な内容が複数織り込まれた本作。
人を落とすのも、救うのも結局は人。
家族関係で思うところのある方には、響く内容かもしれません。

ひとり旅日和シリーズ

『居酒屋ぼったくり』、『幸腹な百貨店』など食に関連するテーマで人気の秋川滝美さんの作品。
『ひとり旅日和』シリーズ3冊、まとめて読了しました。

旅と食、これは大好物の予感!
あらすじに魅かれて手にした本作。
一気に既刊3冊を読み進めたほど好きなテイストでした。

趣味を通じて、仕事までうまくいくなんて…できすぎでは?と懐疑的な見方もあるかもしれませんが、そこはフィクションゆえのご愛嬌。
訪問する先々でのセレクトが秀逸で、思わず後追いしたくなるほど。
早速、函館行きのチケットと経路を調べました。

3冊目の展開では、近々続編も期待できそうな印象。
今後も楽しみなシリーズに出会うことができました。

ひとり旅、勇気を出していってみたら、そこは知らない世界が広がっていた!
人見知りで要領の悪い日和は、仕事場でも怒られてばかり。社長から気晴らしに旅へ出ることを勧められる。最初はひとり旅など無理だと尻込みしていたが、旅好きの同僚に後押しされ、日帰りができる熱海へ。神社を訪れ、出来立ての茹で卵の味に舌鼓を打ち、干物の味に感動!さらにそこには、思わぬ出会いが待っていた。ひとり旅の楽しさに気付いた日和は、佐原、仙台、金沢、福岡と遠くへ足を延ばしていくようになる。少しずつ成長していく日和の姿は、仕事にも影響し始めて、周りの目も少しずつ変わっていく―。

Amazon紹介より

北欧こじらせ日記 移住決定編

先日目にした1冊目に続き、続編が発売になっていました。
折しも最近メディア化されたようで、原作未読でもご存じの方がいらっしゃるかも。

フィンランドが大好き!→移住しよう!からの、主人公の行動には、その手があったか☆と脱帽。
ウクライナでは、よほどの専門店ではない限り、イタリア料理店でもトルコ料理店でもお寿司がメニューにあるという話は聞いたことがあります。
そうか、フィンランドでも寿司職人の需要があるのですね。

ほんわりしているようでいて、意外と行動力のある主人公の移住準備は、北欧好きのみならず、最近旅行に行けていない方にも面白いかも。
ゆるそうに見えて、着実に努力を重ねる主人公が、フィンランドで働くうちに予想外のピンチからのいわゆるMVP獲得するまで評価されるに至った過程は、読み物としても〇

おいしい味の表現術

久しぶりに手にした新書。
味覚の秋到来ですが、単調な「美味しい!」連発以外のバリエーションを豊かにして、話が弾むようになりたい…という願望を刺激された一冊。

「うまい」と「おいしい」の使い分け、五感を食の感想に繋げる表現など、著名作品を例に語られる内容に興味津々。
興味のない人から見ればくだらないと言われそうですが、食が最大の娯楽である身としては、出会いに感謝!
美味しい語彙が増えること間違いなしの実用書です。

SNS、食レポ、お店の宣伝で、味の表現に困らなくなる1冊!
食をうまく伝えたいすべての人に。
コク・キレ・のどごしの意味は? 生チョコの「生」って何? など味にまつわることばを言語のプロが徹底分析。またカレーやラーメン、お菓子の味のおいしさを、比喩やオノマトペを利用して効果的に伝える方法をわかりやすく解説。
解き明かされるレトリックの数々に驚かされ、日本語の奥深さを堪能できます。引用した東海林さだおさん、阿川佐和子さんなどの名文や、『美味しんぼ』『神の雫』『孤独のグルメ』などグルメ漫画のセリフも味わい深く、図や表も多用しています。

Amazon紹介より

1793、1794

1793年といえば、フランス革命あたりの時代。
こちらは、スウェーデンを舞台にした作品です。
2018年スウェーデンベストセラー第2位(PB部門)、「このミステリーがすごい!」2020年海外編第8位と、なかなか評価が高いわりには、周囲で手にしている人が少なかったミステリー。

2022年7月の1793文庫版を皮切りに、10月には続編1794が、11月には1795が発売予定のシリーズです。

このシリーズ、とにかく不気味な殺し方と人死に多数、汚職が公然とまかり通る環境。
そして、病んでいるおかしな人物ももれなく登場する。
一冊目の1793での主人公の一人は1794では既に故人。
1794では故人の縁者が主人公の一人として活躍するものの、登場人物の妄想と現実の見極めが難しい構成。

当時のヨーロッパの衛生管理としては特異ではないもの、食事前後には読み進めたくないような環境下で繰り広げられるストーリー。
探偵バディものは数多くあれど、不衛生部門ではトップクラス…
汚い、スッキリしない、だけど続編が気になる不気味なミステリーです。

弊社は買収されました!

直前の小説とは真逆の清潔感を大事にする企業が舞台。
洗濯用洗剤などを扱うそこそこ歴史のある国内メーカーが、ある日外資系企業に買収された?!
主人公は、営業やマーケティングなどの外から見て目立つ部署ではなく、総務の人。

企業内でも部署間の方向性が異なり難しいことがある新商品開発。
ましてや、文化の異なる企業の人間が連携して、社運を賭けた開発に挑むとなれば問題が起きないことはない。
当事者はもちろん、経営統合の旗振り役にあたる主人公の部署も多忙を極める。

人との繋がりで逆境を乗り越える。
ハッピーエンドがお好きな方におすすめのお仕事小説です。

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