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#大学生
住み慣れた部屋はもう誰かのものになっていた
とりあえず大学を車で一周した。
見た目も雰囲気も何も変わっていなかった。
でももうこの”中”に入ることはないだろうし、ここの住人ではないことの現実を突きつけられた気がした。
たった4年間。だけど4年間。
時間の隙間を埋めてくれる場所だったと改めて知る。
正門を通ったけど、そこは何も感じなかった。
向暑はるの家は正反対にあったから、正門を潜って大学に行くことは一度もなかった。
今考える
親友は死んで、そして生き返った
ふと大学生活を思い出すとき、必ず”あの人”が向暑はるの隣にいつもいた。
それは元恋人でもない。
先輩でもない。
もちろん教授でもない。
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向暑はるの大学生活は、周りに何も頼ることのできない”0”の環境から始まった。
メールの設定も講義の選択もパソコンの設定も全部一人でやった。
だから講義も一人で受けていた。
想像していた華のキャンパスライフとはかけ離れた位置にいて、この先の4