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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~423


家に着いた頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。

「ただいま」

誰もいない部屋に向かって挨拶をしてみる。明かりも灯さずに進むと、窓から月の光が差し込んでいた。

陽子と『幸せ』について話が出来たからか、何となく心が落ち着いているような、それこそ『心穏やかにいられる』日が続いていた。過食嘔吐をしなくなったとか『痩せること』や『食べること』が気にならなくなった訳ではなかったけれど、それでも『今の私には仕方がないこと』と考えることが出来る瞬間もあったりして、以前のように激しく自分を責めたり、イライラしたりすることが少なくなった感覚があった。

「私は私。他の誰でもないし、他の誰かになれる訳でもないのだから、私にとっての幸せのかたちを探せばそれでいい。私は、私のために生きているのだから、私が心地よく感じること、私の心が穏やかでいられることを選んでいけばそれでいい」

きっと私は、いろいろなことを突き詰めて考えることや、いろいろなことに拘ること、何かに囚われて身動きが取れなくなることに疲れてしまったのだろう。もちろん『痩せること』と『食べること』に拘って、追いかけて、いつの間にか追いつかれて、追いかけられて、囚われて、考えたくもないのに考えることがやめられないことにも。

私自身が、私を労って、休ませてあげなければ誰も私の疲れを取ることは出来ないのだから。

それでも、陽子と会ったこと、言葉を交わしたこと、人と繋がることが私の疲れ切った心を癒してくれていることも事実だった。

「私は、私のために生きている。私のために生きているけれど、人との関わりの中でも生きている。人と繋がることで癒されている。そのバランスが大切なのかもしれない……」


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