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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~131


「でもさ、頭の中ではそういうことがわかっていても、いざやってみて出来るかどうかとは、やっぱり違うよね・・・特に自分のこととなると、どうしても基準が厳しくなっちゃうし、完璧を求めてしまうし、甘えてるだけとか、怠けてるとか、そういうふうに思っちゃうんだよね・・・多分そこにも分厚い壁があるんだよね・・・」

「また来ちゃった・・・」

摂食障害になってからというもの、私はどうにもならなくて行き詰った時には、何かに導かれるように御宿に来るようになっていた。でも今日は、私の隣には由希はいなかった。その代わりじゃないけど、私の心の中には、おばあちゃんが寄り添ってくれている、そんな気がした。

「おばあちゃん、あのね、私、どうしたらいいのか、ちょっとわからないことがあってね。そんな時、おばあちゃんならどうするのかちょっと聞いてみたくてね、それでわざわざ海まで来てもらったの。聞いてもいいかなぁ・・・」

おばあちゃんは、目を細めて、ただニコニコして頷いてくれた。

「私ね、前もちょっと話したと思うけど、たくさん食べて吐くようになっちゃって、それがやめられない、過食嘔吐っていう病気なの。それでね、今専門の人・・・カウンセラーみたいな先生にいろいろ話したり、相談したりして、前より少しずつは良くなってきたと思うんだけどね。でもね、今ちょっと停滞気味じゃないけど、あともう一歩がなかなか進めなくて。何ていうかね、壁みたいなものにぶち当たっちゃったような状態なの。頭では、これからどうしたらいいのか、どうするべきか、ある程度は考えてわかってるつもりなんだけど、でもいざやってみようとすると、完璧じゃなきゃいけない、甘えちゃいけない、怠けちゃいけない、みたいな考えがどうしても抜けなくてね、なかなか自分を許したり、自分を認めたりすることが出来なくて。それでね、結局出来ない自分を責めたりして、そんなことの繰り返しだから、いつもいつも同じところをぐるぐる回ってるだけ、みたいな状態なの。私はね、その私の中にある壁みたいなものを超えられれば、もっともっといい方向に進んでいけるんじゃないか、壁を取り除くことが出来れば、きっと病気を克服出来るんじゃないか、って思ってるんだけどね。どうしたらいいのかなぁ・・・」

目の前には、心が洗われるような真っ白な砂浜と、真っ直ぐな水平線、そして突き抜けるような青い海と空が広がっていた。おばあちゃんの答えの代わりに、波の音が耳に響いていた。


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