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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~217


「パンって、噛みしめると本当は味わい深いものだったんだね。過食の時は、ただただ詰め込んで、流し込んでいるだけだから、甘みとクリーム感くらいしか感じなかったけど、本当はおいしいものだったんだね……」

何故だかわからないけど、涙が溢れてきて、止まらなかった。

今までずっと、食べたい物はあるにはあるけど、味わって、おいしさを噛みしめて食べるなんてことをしていなかった。ただただ手あたり次第に詰め込んで、お酒で流し込んでという、とてもじゃないけれど、人間のすることとは思えないような食べ方を続けてきた。余り時間をかけて食べていると、吸収されてしまうのではないか、という恐怖との戦いでもあるから、過食は時間との勝負でもあった。

そんな私でも、こうしてパンの味を感じることが出来る。味わって食べることが出来る。そんな当たり前のことが出来た自分が、何だか奇跡のような感じがしたのかもしれない。自然と涙が溢れてきてしまった。

「私にも、味わって食べる、という感覚が残っている。そんなことが出来ることもある。地味かもしれない。なかなか前に進まないかもしれない。もどかしいかもしれない。それでも、今出来ることを一つ一つ積み重ねる。諦めないで続ける。そうすれば、いつかきっと摂食障害を克服することが出来る。そう信じてる」

ふと、そんな感覚が、私の中でより一層強くなったような気がした。

こんな私にも、出来ることもある

こんな私でも、味わって食べることが出来る

こんな私でも、食べることを楽しむことが出来るかもしれない

こんな私でも、いつかは『普通に』食べることが出来るかもしれない

こんな私でも、いつかはみんなと一緒に食べることが出来るかもしれない

パンだけじゃなくて、スイーツも、アイスも、味わって食べることが出来るかもしれない。おいしさを感じることが出来るかもしれない。食べることを楽しむことが出来るかもしれない。食べることで、幸せを感じることが出来るかもしれない。食べることで、笑顔になれるかもしれない。

私が、私自身を幸せに出来るかもしれない。笑顔にすることが出来るかもしれない。キラキラ輝かせることが出来るかもしれない。楽しくさせることが出来るかもしれない……希望の光が、こんな私にも差し込む日が来るのかもしれない。その日まで、私は諦めない。私は、諦めない……


今日もありがとうございます。



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