摂食障害の長い長いトンネルを抜けて～元摂食障害当事者からのメッセージ～363

なるほど。確かに頭で考えるような『理想』がほぼほぼ実行出来るとするならば、おっしゃる通り『悩み』はほとんどないのかもしれませんね。もちろん、誰しも人との関わりの中で、社会の中で生きているので、自分が理想通りに実行出来たからといって、必ずしも『悩み』がなくなる訳ではないとは思いますが。

「そうですよね。頭で考えたことが出来ても出来なくても、悩みが尽きることはありませんよね。人は自分一人で生きている訳でもないし、人との関わり以外でも、例えば天気とか、災害とかの自分の周りの環境まで考えたら、うまくいかないことなんて、いくらでもあると思うんです。たとえ自分は自分の思い通りに出来たとしても、全ての結果をコントロールすることは出来ないのだろうし。だとしたら『まあ仕方がないか』とか『そういうこともあるよね』って思えるような、心の『ゆとり』があった方が生きづらさは少なくなるかもしれませんよね」

おっしゃる通りだと思いますよ。ただ、今の状態ではそのような心の『ゆとり』を常に持つことは難しいかもしれませんので、とりあえず意識するだけでもいいと思います。意識することが『考え方が変わり、行動が変わり、結果が変わる』ということに繋がっていきますので、諦めないで続けてみてください。

「はい、わかりました」

その他には、何かお話されましたか。

「話というか、誰かと話をしながら食べると、食べることだけに集中しないからなのか、そんなに気にせずに食べることが出来たなぁ、ということを感じました」

そうですか。食べることには、単に食欲を満たす、あるいはおいしいものを食べる楽しみ、ということもありますが、人と会話をしながら食べることも楽しみの一つだと思いますので、そういったことが影響したのかもしれませんね。

「そうですね。一人でパフェを食べたこともありましたけど、誰かと一緒に食べて『おいしさ』とか『時間』とか『空間』を分かち合うことで、より心が満たされた気がしましたし、『食べること』には、食べたいものを食べたいだけ食べるという楽しみもあるけれど、その楽しみを誰かと分かち合ったり、会話を楽しむということも大切なのだということを改めて思い出すことが出来たんじゃないかな、と思います」

今日もありがとうございます。