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新日本プロレス「メイ社長が語る日本企業のグローバル戦略の秘訣」Q&A


先日、2019年2月13日(水)に新日本プロレス&日経電子版 タッグセミナー「メイ社長が語る日本企業のグローバル戦略の秘訣」が日本経済新聞社本社2Fにて開催され、参加させて頂きました。

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© source by nikkei.



当日会場では、sli.do を経由してメイさんへ直接質問をすることが可能でした。

そこで私は、次のような質問をさせて頂いたところ会場の皆さんが私の質問に一番多い「いいね」をして下さり、光栄にもメイさんが真っ先に返答して下さいました。

〈私からメイさんへの質問〉
「コカ・コーラゼロの成功の際は、それまでのコカ・コーラにあった「日常、昼、子供、室外」という背景のコンテクストデザインを「非日常、夜、大人、室内」に大きく転換した秀逸さが際立っていましたが、現在の新日本プロレスのコンテキストデザインをどのように捉えていらっしゃいますか?また、それを今後はどのように転換させる予定ですか?」

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返答をざっくりと要約しますと、メイさんはコカ・コーラについてはカラーイメージについてのお話しかされませんでした。当時は、コカ・コーラとダイエット・コーラがあり、銀(ダイエット・コーラ)のカラーイメージから黒(コカ・コーラゼロ)へ変えたのが成功要因だったそうです。
ダイエット・コーラもコカ・コーラゼロも、カロリーを抑えているというIntrinsic Valueは大きく変わるものではありませんが、カラーイメージや商品機能の伝え方を転換させた事で、Extrinsic Valueが消費者ニーズにマッチした事が、成功要因だったとご自身は捉えていらっしゃるようでした。

次に、新日本プロレスのコンテキストデザインについては、残念ながら教えて下さいませんでしたが、ヒントは下さいました。野蛮なイメージが強いプロレスの「社会的偏見の解消」をされたいそうです。具体的には、「子供たちに安心して見てもらいたい」ということです。加えて、始めてプロレスを見た時の体験に忘れられないくらいのインパクトを与えたいそうです。その為には、プロレスにテクノロジーをプラスする。具体的には、現時点では音と光に投資をしているそうです。例えば、小島聡選手の逆水平チョップのリアルな音は、リングサイドでしか実際は聞こえないですが、テクノロジーをプラスする事で会場全体に爆音が伝わるようにしているそうです。

上記の返答を加味した上で、勝手ながら私が新日本プロレスをコンテキストに置き換えるならば、かつての新日は「男らしさ、熱狂、ツバ、格闘技、男男男」でした。しかし、今の新日は「爽やかさ、共感、汗、プロスポーツ、男女男」へとコンテキストの転換がなされています。最後の、「男女男」は女性ファンが増えてきている状態であり、今後は、「男女"子"」に変更したいのではないかと私は見ています。プロレス好きの女性(プ女子)が増加していけば、やがてはその子供たちもプロレス好きになっていきます。
実際に明確な公言はされていませんが、背景のコンテキストデザインから見ると、メイさんの長期的な戦略を私は感じました。


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©2019 nakayan.  「Goddamn!!」
(左:ハロルド・ジョージ・メイ新日本プロレス社長、右:MBAデザイナー nakayanさん)


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年2月18日付

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