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米朝首脳会談にみるG20日露首脳会談

先月の27日(水)夜、2018年6月にシンガポールで開いて以来、約8カ月ぶりで2回目の米朝首脳会談が開催されました。

「米朝首脳、今夜会談へ 8カ月ぶり 夕食会も」:日本経済新聞(2018年2月27日付)

( https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41800640X20C19A2MM0000/ )

27日、米朝首脳会談開催直前の私個人の感想としては、次のようなものでした。

私は判官贔屓なので米朝首脳会談については金正恩委員長の立場で考える事が多いですが、一国のトップとして強者トランプおじさんを相手に臆する事なくどう立ち向かうかが重要と言えます。トランプおじさんに臆する態度を見せてしまうと、いくら統制が効いているとはいえ軍事国家である北朝鮮国内ではトップとしての資質を疑われる懸念も生じます。北朝鮮人民全ての生活を担うトップの立場としては、交渉を円滑に運び、これまで費やしてきた核への設備投資費を米国、中国、韓国、日本などを取引先とした産業発展に繋がる投資に向けたいところでもあります。

翌28日(木)米朝首脳会談は合意に至らずという結果に至りました。

2019年3月1日付日本経済新聞では
「米朝、非核化合意できず」

( https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41874560Y9A220C1MM8000/ )

以下一部転載。
「トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は28日、ベトナムの首都ハノイで2日間の会談を終えた。トランプ氏は北朝鮮による非核化の取り組みが不十分と判断し、北朝鮮が求めた制裁の完全な解除を拒否した。両首脳による合意文書の発表は見送りとなったが、協議はこれからも続ける。…」


3月1日(金)早朝。私は次のような感想を持ちました。

米朝首脳会談非核化合意せず。一部のメディアでは「決裂」という過度な表現が流れましたが、「決裂」というと失敗のイメージが強くなってしまいます。今回は合意には至りませんでしたが、失敗という結論ではなく、合意への環境作りとしては、前進していると判断するのが妥当ではないかと私は判断します。米朝がお互いに動きながら最善策を考えているという感じがします。前回の2018年6月シンガポールでの米朝首脳会談の時点で感じていましたが、両者が歩み寄り合意に至るまでには少なくとも、5、6回の会談は必要です。

未だに日本に多く存在する極めて保守的な組織の構成員的な立場で考えますと、トランプさんのような先ず行動してみて相手の反応を見たり、途中の様子を見たりした上でその先を判断をするというアジャイル型の行動がなく、事前に全ての想定や筋書きを描いた上で途中の経緯に僅かな失敗すら許さないウォーターフォール型で合意まで持っていこうとします。換言するならば、意図的戦略とも言えます。ウォーターフォール型の人たちは、想定や筋書きを出し切るまでに時間を要することに加え、途中で想定外の事が起きると、思考も行動も停止してしまいその後の対応が出来なくなってしまうのがネックであると言えます。

日本政府にとっては、日朝の間に拉致問題がありますので、今回の米朝首脳会談は重要な会談でありますが、合意するかしないかという結果云々より、今回の首脳会談によって日露関係にどれくらいの影響があるのかの方が重要であると言えます。日露関係にとって、今回の会談結果が好影響となるのか?悪影響となるのか?ということです。日露関係の視点から考えますと、そもそも今回の米朝首脳会談で合意に至ることは大方無理であろうと想定はしているでしょうから、決裂によって日露関係への大きな影響は無さそうでもあります。寧ろ、ロシア疑惑に端を発し米国議会が行ったマイケル・コーエン元顧問弁護士の証人喚問による影響の方が強そうな感じがします。

翻って、日韓関係の悪化も懸念されていますが、こちらはさほど大きな影響はなさそうに見えます。韓国は国内の不満の矛先がなくなると日本に向けてきますので、ある意味いつも通りです。加えて、韓国は日本による植民地から独立100周年の年ですので、独立した国家を維持し、国民には二度と植民地などにされないための強い独立心を意識させる必要があります。韓国人としては、韓国を支配する気などない今の日本人たちに対してではなく、かつての韓国を植民地化していた日本人たちに対して、反感の意識を高めようとするのは間違った行動ではありません。日本人も韓国人も夫々の国で、ナショナリズムが強くなり過ぎショービニズム化した一部の人たちが過度に騒いでいる姿が目に付くだけなのは、お互いに分かり始めています。

現状においては、6月に大阪G20サミットに併せて行われる予定の日露首脳会談で、確実な結果まで持っていきたいところです。この日露首脳会談においてもウォーターフォール型ではなく、トランプさん流のアジャイル型交渉で、少しずつ刻んで進んで行った方が良さそうな感じもします。


※こちらは2019年3月1日(金)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー 
1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年3月5日付


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