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エッセイ

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2019年12月の記事一覧

すてきなホリデイ

こたつを出してからなんにもできない。部屋はどんどん散らかっていくし、台所には洗い物が溜まっている。

寒さが目立ってきてから、体調がすこぶるよくて、よく食べて、よく飲み、よく遊んで、よく寝た。その時もすでにこたつは出していたのだから、こたつの所為にしているだけで、単に体調が優れないのかもしれない。

ぼくはクリスマスが大好きで、クリスマスソングを働いているお店のプレイリストの中に混ぜこんだ。でもプ

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根本宗子「今、出来る、精一杯。」を観た。

漫画を読んでいると、絵と絵の間のモノローグをうらやましいなと思う。こういう言葉のあり方で書けたらいいなと思う。漫画だったら言える台詞とかもある。小説で書くと何だか恥ずかしい台詞。映画でもいいな。ゴダールみたいに言葉をバンと出して、意味なんて知らないよーと言えたら、最高だろう。もちろん、意味なんてないんだけどね。

何か、言葉の中だけにある言葉は寂しそうだなと思う。もっといろんな世界を見せてあげたい

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日記「カネコアヤノとか最近出会った音楽とかツヴァイのCMとか」

こないだカネコアヤノのライブに行った。カネコアヤノはなんだか光っていて、バンドメンバーに囲まれて歌う彼女が「バンドの正しさよ 恋に似た何かだな」と歌うことのかけがいのなさ。観客は音に合わせて頭を揺らしている。縦に振られた頭は、カネコアヤノのひとつひとつの言葉にうなずいているようにも見えて、光を見つめる目というのは輝くから、それも含めてなんて素敵な場所にいるのだろうと思った。同じ時代に生きていてよか

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便所考

トイレは魅力的だ。家の中でもそこだけが異空間であるかのように、その閉ざされた空間は孤独に寄り添ってくれるだろう。ズッコケ三人組でハカセが愛した空間も確かトイレだった。トイレにいるとき、ハカセは誰よりも集中するのである。

トイレに置かれた白い陶器は無機質な表情をしていて、そこが家でなく公共の場であったとしても器物の羅列は魅力的に映るだろう。場によってはその壁を巡らされた配管が露わにされ、近代的な空

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「退屈」

昨日と今日と明日は繋がっている。十二時に境目なんて無くて、ぼんやりと続いていく。朝は夜の続きでしかなく、夜もまた。同じ朝を同じ夜を繰り返しているだけで、何も変わらない。そこには違う人が立っていて、温度や湿度が違って、明るさが違う。でもいっしょだ。構成要素が違うだけで、印象は何も変わらない。それに場所の違いってのも無い。旅に出たことがある人ならわかるだろう。身近な場所にあの場所と重なる瞬間があること

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光の方へ

「わたしは光をにぎっている」という映画を観た。

映画を見終わってから喫煙所に向かった。新宿武蔵野館。ここの喫煙所はとてもきれいで、椅子まで用意されている。

ぼくが入った後からもう一人入ってきて、隣の椅子に座る。ぼくはポケットからライターを出そうとするが、手には何も触れない。ライターを忘れてしまったらしく、その人に火を借りてタバコを吸った。オイルライターのやわらかい火が心地いい。その人がぼくに話

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日記「コミティアとか売野機子とか清家雪子とかフランス映画とか」

こないだコミティアに行って大好きな漫画家ふたりに詩集と小説を渡せた。めちゃくちゃ緊張したけど、渡せてよかった。

同じ時代に生きていて本当によかったと思える人がいて、そのひとりが売野機子だ。
バイブルといっても差し支えないものにこれからなっていくだろうなという漫画があってそれが「月に吠えらんねえ」だ。それを描いている漫画家が清家雪子。その二人に本を渡せたのだ。

大好きな映画があって、それはアルノ

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日記「JOKERとゾンビランドとM-1準々決勝と」

JOKERを観に行ったとき、隣に高校生カップルが座っていた。ポップコーンをふたつキャラメル味と塩味を分け合いながら仲良く喋っている。

「俺、ネタバレ一切聞かんようにしてきたから。」

「そんな面白いのかな。」

「うわキャラメル味ヤバ。カロリーエグくない?」

「ポップコーンってカロリーあるのかな?だってとうもろこしでしょ。調べてみよ。」

「白いのはカロリーゼロだから。」

「何それ?」と返す

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