日記「コミティアとか売野機子とか清家雪子とかフランス映画とか」

こないだコミティアに行って大好きな漫画家ふたりに詩集と小説を渡せた。めちゃくちゃ緊張したけど、渡せてよかった。

同じ時代に生きていて本当によかったと思える人がいて、そのひとりが売野機子だ。
バイブルといっても差し支えないものにこれからなっていくだろうなという漫画があってそれが「月に吠えらんねえ」だ。それを描いている漫画家が清家雪子。その二人に本を渡せたのだ。

大好きな映画があって、それはアルノーデプレシャンの「そして僕は恋をする」という映画。その映画はソフトがあまり流通しておらず、上映機会も少ないから中々見ることができない。たまたま観たその映画が大好きで、記憶を辿ると、その感触に売野機子と似たものを感じていた。

昨日行った売野機子がフランス映画について喋るトークショーで、ぼそっと一番好きなフランス映画は「そして僕は恋をする」と言っていた。頭の中で並べていたふたつがつながったことに興奮したし、勝手なシンパシーが更に燃え上がった。

少女漫画の文法とフランス映画の文法に親和性があるという話は面白かった。ぼくが一番好きな漫画家である岡崎京子や、次に好きな山本直樹やらにも似たような文法を感じる。ぼくはあの文法にめっぽう弱いのかもしれない。

フランス映画で言えば、「ポンヌフの恋人」が狂おしいほど好きなのだが、あれはまた違う文法で動いている気がする。フランス、アメリカ、日本、と一概に語るのは難しい。でもマジョリティーというのはあって、マジョリティーが作り出す空気というのもある。それを国民性と呼ぶのだろうか。生きづらい時に逃げる場が多くある時代に生まれてよかったと思う。フランスの感じは肌に合うような気がしている。

フランスには一度行ったことがある。高校の修学旅行。ドイツとフランス。両親にはマジ感謝。でもやっぱり集団行動が苦手だから、ひとりで行ってみたいなあ。先生に連れられて見せられたパリの名所よりも、ドイツでのホームステイで連れられたショッピングや散歩の方が楽しかった。そんな中でもオルセー美術館で見たミレーの晩鐘には感動した。絵の向こうから鐘がしんと響いてきた。その時、集団から逃れてひとりになれたのかもしれない。

コミティアは恐ろしい場所だった。あんなにブースが並んでいて、無名の人がいっぱいいて、そのほとんどが面白いのだから。一つのエリアを回っただけで、7000円くらい使ってしまった僕はこわくなって全部回るのはやめた。パラパラと漫画を読めないから、立ち読みもじっくり読んでしまう。あんまりじっくり読むものだから、最後まで読んでこいつ買わねえだろうなと思われてたみたいで、買ったら笑われてしまった。

あそこにある漫画はみんな誠実に表現に向きあっている感じがして、そういうものが集まる場所の空気って中てられてしまうから苦手なのだけれど、コミティアはどこか抜けがよくて、いい場所だった。この作品は何かのきっかけに過ぎず、これを足がかりにどうにかしようとする空気が薄いからだろう。何かにつなげることは悪くない。ただその誠実に向き合って作り上げた作品を足げにしちゃあいけないと思うのだ。作品はそこに生まれた時点で、その人のものではないのだから。

無料で配っている人もいて、たまたま手に取った「この前 二十歳に なったのだ」という漫画がとても素晴らしかった。まえがきに「名義を残さずやってきました。」とあるように作者の名前は付されていない。だから誰かわからないけれど、その人の言葉はとても感度がよく、心を動かされた。

雑記でした。

宮崎「怪獣のバラード」もよかった。

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