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魂の在処

木を見ると、少しほっとする。

もちろん「森林」「街路樹」的な木もそうなんだけど、
木材も、ほっとする。
あと、建築現場とか
ついつい、見入ってしまう。

父親が大工だった。
祖父も。
家を建てていた。

祖父は、10年以上前に亡くなっている。
近所のお寺でお葬式をしたときに、「ここは、じいじが増築したんだよ」と聞いて
なんだか、感銘を受けたのを覚えている。

「感銘を受ける」という言葉が正しいかわからないけど、
なんだか衝撃だった。


ハタチのわたしも、いまのわたしも
「何かを作りたい」とか「何かを残したい」と思っている。

祖父の増築したお寺も、いずれまた、誰かの手が加わったり、なくなったりすることもあるかもしれない。

でも、自分が手を入れたお寺でお葬式をする、という祖父は
なんだか、格好良いように思えた。
大工というのは、地図に残る仕事だ、と。



父親とは、もう10年近く会っていないし、特に会いたいとも思っていない。
特に不仲ではないのだけれど、ほんとうに「特に会いたくない」という感情に尽きる。

でも、アヤコさんの写真を見て、父親のことを思い出した。

下からふたつめの写真の風景が、
家の近所に父が作った「作業場」に似ていると思った。
詳しくは知らないけれど、「現場に行かなくてもいい作業」をやるような、
ほんとうに、この写真みたいな、作業場だった。
いつも、木の匂いがした。

作業場で食べるつもりで買った冷やし中華に、お箸がついてないことがあった。
「ちょっと待ってろ」と言った父が、
余っている木材を切って、すぐに割り箸を作ってくれた。
あの日のことは、いまでもちょっと思い出深い。
これも、うまく感情の乗る言葉が見つからないんだけど。
わたしは人生で、「お箸がないから作ろう」と思ったことはない。


生まれ育った場所にも、10年近く近寄っていない。
もううまく、気持ちを処理できないし、
この面倒なひと手間を、かけようとも思わない。

でも、時折
「わたしは、大工とピアノの先生のこどもだった」と思い出す。


それはなんだか、悪くないなあ、と思う。



(関連記事)故郷への、宙ぶらりんな思い

(追伸)

記事紹介させてもらったアヤコさんの写真は、
めちゃくちゃ好き!!!
毎回好きって思う!!!
日常で、見落としたり、見えない景色、
写真と、世界は美しいと思える作品ばかりです。
ぜひ他の記事もチェックしてみてください!!!
ヘッダー画像は、みんなのフォトギャラリーから、もときさんにお借りしました。
もときさん、いつもすてきな写真をありがとうございます!!!
今日のは、「木の写真がいいな〜」と思い
もときさんの写真一覧から選ばせてもらいました!!!

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