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修学旅行文集『裏・青丹よし』

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修学旅行文集『青丹よし』では語られなかった、僕たちの修学旅行の真実。
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記事一覧

修学旅行文集『裏・青丹よし』(上巻)

修学旅行文集『裏・青丹よし』(上巻)

第1話「京都&レスポンスin京都駅」

 京都で『京都』を歌う。そんなことを思い付いたのは、最初の目的地である奈良へと向かう電車の中だった。「俺たちも京都駅のピアノで何かやろう。」と、同じ班のM村が言った。僕はすぐにそれに賛同した。
 「俺たちも」と言ったのは、同じクラスの女子Cさんが同じく京都駅のストリートピアノで演奏をすることになっていたからである。Cさんはクラスメートや友人たちを呼んでいたの

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修学旅行文集『裏・青丹よし』(中巻)

修学旅行文集『裏・青丹よし』(中巻)

第4話「今井町散策と危険なラーメン屋」

 研修2日目、我々は奈良県橿原市今井町を訪れた。今井町は江戸期の町並みを残した地域であるが、特にこれといって見物するものはなく、修学旅行の目的地としては少々マニアックな場所である。
 ここに行くことになった経緯を説明するために、前日に話を戻そう。

 研修初日、我々が最初に降り立った駅で我々は焦っていた。奈良で見物するものが一つも決まっていないのである。と

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修学旅行文集『裏・青丹よし』(下巻)

修学旅行文集『裏・青丹よし』(下巻)

第7話「平熱の京都と袋とじ」

 4日目、我々は西陣を訪れた。
 これは4日目の朝、地理の先生の助言も踏まえて決まったことである。
 西陣は古民家が多く立ち並ぶ地域で、西陣織の産地として知られている。ここでやることと言えば織物を買うか古民家を眺めるくらいしかないため、観光地としてはかなりマニアックである。

 ここで紹介しておきたいのが『京都の平熱』である。
 これは旅行の1か月ほど前、地理の先生

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