はねるくじら

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  • 修学旅行文集『裏・青丹よし』

    修学旅行文集『青丹よし』では語られなかった、僕たちの修学旅行の真実。

最近の記事

気がつくと通りすぎているそんな日々に|バンド紹介(錯乱前戦編)

 いつも利用している駅なのに、今日は気づいたら通り過ぎてしまっていた。不思議に思いながら引き返す。多少入り口がわかりにくい地下鉄の駅ではあるが、まさにその駅を目指して歩いているのに気がつかないなんて。ぼーっとしすぎていたのだろうか。  駅のところまで戻ってきたが、やっぱり何かが変だ。  少し考えてその正体に気づいた。  「満」になってる!!  駅の入口の隣にある駐車場が珍しく満車になっており、普段は「空」と光っている電光掲示板が「満」表示になっていたのだ。初めてのことなの

    • 寮での生活|エッセイ

       僕は護国寺の学生寮に住んでいる。大学には自転車で15分くらいの距離で、有楽町線、丸ノ内線が使えるという好立地にもかかわらず、家賃は食事付きで6万7000円という激安物件である。この安さの秘密は寮の古さにある。寮は建造から60年の歳月が経過しており、住む人を選ぶ。  東京大学、早稲田大学、日本大学などが近いので、それらに通う学生が多い。なお一番近い大学は徒歩3分ほどのお茶の水女子大学だが、男子寮なのでそこに通っている寮生は一人もいない。  僕は大学1年生の秋、諸事情あって家

      • 「壁はそこにあった」東北三部作上映会運営記録|エッセイ

         何度か記事にも書いているが、僕は映画監督・濱口竜介氏の大ファンである。  先日行われた早稲田大学映画研究会主催「東北記録映画三部作」上映会というイベントも、僕が企画し運営を担当させてもらった。今回は上映会開催の経緯を書こうと思う。  昨年10月、新文芸坐で濱口監督の特集上映が行われた。上映作品は『親密さ』『ハッピーアワー』『ドライブ・マイ・カー』の3作。僕は高校生の時に地元の映画館で『ドライブ・マイ・カー』を見て衝撃を受けて以来濱口監督のことが気になっていたので、3作すべ

        • 早大生が2023年度に100本見た映画から激アツ作品を紹介します

          はじめに 2023年度は映画館と大学以外に行った場所が思い出せません。数えてみたら80本くらい映画館で映画を見ていました。80ではタイトルとして弱すぎるので、配信で見たものも含めて110本ほど。  僕は早稲田大学文化構想学部の1年生です。早稲田の文構をご存じない皆さん、僕のことは文学部の学生だと思っていてください。文学部だから映画の授業もあります。2年生からはメディア系の学科に行きます。サークルも映画系のところです。  そんな映画好きの学生が選ぶ激アツ映画をご紹介します。

        気がつくと通りすぎているそんな日々に|バンド紹介(錯乱前戦編)

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        • 修学旅行文集『裏・青丹よし』
          3本

        記事

          エロパソから始まった僕の青春|オードリーANN東京ドーム感想

           2024年2月18日、オードリーのオールナイトニッポンin東京ドームが行われた。僕は残念ながらチケットが手に入らず、ラインキューブ渋谷でのライブビューイングに参戦した。  中学生のころ、ラジオっ子だった僕はいつも東京FMの番組を24時まで聞いてから寝ていたのだが、その日はなんだか眠れなくて遅くまでラジオをつけていた。 ニチレイプレンゼンツ オードリーのオールナイトニッポン  25時を回り、タイトルコールに続いて有名なあの曲が流れてきて、僕は初めてオールナイトニッポンを

          エロパソから始まった僕の青春|オードリーANN東京ドーム感想

          深夜のラーメン屋おばあちゃん|エッセイ

           冬のある日、理工学部のキャンパスで22時すぎまで用事があり、僕はとてもお腹を空かせて夜の早稲田通りを自転車に乗っていた。  この時間になると早稲田のお店は意外にもほとんど閉まってしまう。(もっと遅くまで楽しみたい人は高田馬場に行こう)  そんな中、僕はまだ暖簾と看板の出ているラーメン屋さんを見つけた。夜ご飯を食べていなかったので、僕は自転車を停めてお店に入った。  食券を買って席の方へ行くと、座っていたご婦人に声をかけられた。 「お兄ちゃん早稲田大生?」  僕はそうで

          深夜のラーメン屋おばあちゃん|エッセイ

          カメラの前で|エッセイ

           ある日曜日の朝、僕は小田急線で西へと進んでいた。映画撮影に行くためである。  大学で「映像制作実習」という授業が行われている。1年かけて映画を作るという内容で、学生は有名映画監督の講師に毎週アドバイスをもらいながら制作を進めていく。  僕はそのお手伝いとして制作に参加させてもらっている。  初めての映画制作。初めての撮影現場。  期待と緊張を感じながら僕は電車に乗った。  撮影場所の高校は神奈川県藤沢市にあり、東京からは1時間くらいかかる。僕は席に座って本を読んだ。 

          カメラの前で|エッセイ

          「私は出没しますよ」地理の先生の正体を探る|エッセイ

          序  僕は高校時代、社会科の選択授業で地理をとっていた。  大学の文系学部で地理の2次試験があるところは少なく、たいていの文系生徒は歴史か公民を選択していた。そのため、文系地理のクラスは20人ほどの少数編成で、そこではかなり特殊な授業が行われていた。  この授業の注目ポイントはほぼ毎回の授業で残される先生の名言(迷言)である。今日はそれを振り返ってみよう。みんな、ついて来い!! 第1話「究極の選択」  僕の記録に残っている最初の名言はこれである。   みんなねぇ、お店

          「私は出没しますよ」地理の先生の正体を探る|エッセイ

          けいおうたおせ!早慶戦|エッセイ

           秋のある日曜日、僕は明治神宮球場に行った。  東京六大学野球の早慶戦を見に行くためである。  この年の秋期六大学野球早慶戦はアツい展開だった。  早慶戦は六大学野球の看板試合となっていて、リーグ戦の最終週に控えている。しかしリーグ戦なのだから、試合を重ねるに従い一部の大学の順位は決定する。そのため最終週を待たずに優勝校が決定してしまっていることが多い。  だがこの年は最後まで優勝校が決まらず最終週を迎え、優勝候補は早稲田か慶應に絞られていた。この週末を制し2勝を果たしたチ

          けいおうたおせ!早慶戦|エッセイ

          修学旅行文集『裏・青丹よし』(下巻)

          第7話「平熱の京都と袋とじ」  4日目、我々は西陣を訪れた。  これは4日目の朝、地理の先生の助言も踏まえて決まったことである。  西陣は古民家が多く立ち並ぶ地域で、西陣織の産地として知られている。ここでやることと言えば織物を買うか古民家を眺めるくらいしかないため、観光地としてはかなりマニアックである。  ここで紹介しておきたいのが『京都の平熱』である。  これは旅行の1か月ほど前、地理の先生が僕に貸してくれた本のタイトルである。著者は京都出身の哲学者、鷲田清和先生である

          修学旅行文集『裏・青丹よし』(下巻)

          修学旅行文集『裏・青丹よし』(中巻)

          第4話「今井町散策と危険なラーメン屋」  研修2日目、我々は奈良県橿原市今井町を訪れた。今井町は江戸期の町並みを残した地域であるが、特にこれといって見物するものはなく、修学旅行の目的地としては少々マニアックな場所である。  ここに行くことになった経緯を説明するために、前日に話を戻そう。  研修初日、我々が最初に降り立った駅で我々は焦っていた。奈良で見物するものが一つも決まっていないのである。というか、京都の研修計画もまともに立っていない。班の研修計画は班長M村が適当に書い

          修学旅行文集『裏・青丹よし』(中巻)

          修学旅行文集『裏・青丹よし』(上巻)

          第1話「京都&レスポンスin京都駅」  京都で『京都』を歌う。そんなことを思い付いたのは、最初の目的地である奈良へと向かう電車の中だった。「俺たちも京都駅のピアノで何かやろう。」と、同じ班のM村が言った。僕はすぐにそれに賛同した。  「俺たちも」と言ったのは、同じクラスの女子Cさんが同じく京都駅のストリートピアノで演奏をすることになっていたからである。Cさんはクラスメートや友人たちを呼んでいたので、我々はそこに便乗するかたちで計画を立てた。  曲目はすぐに決まった。僕が在

          修学旅行文集『裏・青丹よし』(上巻)

          地理の達人と行く!横浜の旅|エッセイ

           僕の出身高校では、毎年春に遠足がある。進級直後のクラスの親睦が主な目的の行事である。1、2年生は県内、3年生は県外に行くのが恒例となっている。僕が3年生のときは、僕のクラスは横浜に行くことになっていた。  遠足の数日前から、僕は他クラスの友人たちと、遠足に行くかどうかついて話し合いをしていた。  我々にとって遠足は楽しくないものだった。特に1組のU島とS木はかなり嫌がっていた。いつの間にか目的地になった横浜を、仲良くもないクラスメートと散策する……これはとてもつらいことで

          地理の達人と行く!横浜の旅|エッセイ

          これがラー汁!東大五月祭にて|エッセイ

           東京大学では5月に学祭が行われる。5月は早いなと思われる方もいるだろうが、秋には駒場祭というもう一つの学祭が控えている。  2日間にわたる五月祭に、僕は両日参戦した。  1日目の朝、僕は雨の本郷に着いた。広大な敷地にゆったりと構えるレンガ造りの建物たちは、祭りの空気の中にもおごそかな雰囲気を失っていない。  本郷キャンパスに来ると自分の大学の建物たちが窮屈な思いをさせられているのではないかと思ってしまう(僕は東大の学生ではない)。  初日同行のS尾さんは東大の大学院で天

          これがラー汁!東大五月祭にて|エッセイ

          左翼との対話|エッセイ

           初夏のある昼下がり、僕は大学で言語学の講義を聞くために商学部7号館に向かっていた。  商学部があるメインキャンパスは、僕が普段通っている文学系学部のキャンパスとは道を挟んで少し離れたところにあり、僕は週に1コマだけ道の反対がわに渡って講義を受けていた。  メインキャンパスの広場(とてもせまい)では、その日もメガホン越しに軍拡反対の叫びが聞こえていた。声の主は反戦活動を行っている学生団体の代表者で、その時期は主にウクライナ戦争に関連して何かの主張を行っていた。僕はそれを横目

          左翼との対話|エッセイ