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何度でも読み返したいnoteの記録
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#コラム

かわいい人にかわいいと言うのは、僕としては結構ありえない

(このエッセイは微妙にではありますが前回のエッセイと繋がっています) ーーーーーー  移動教室の夜は、どうして好きな人の話になるんだろう。  中2のときもそうだった。僕は口を割らなかったが、2つ隣の布団で寝ていた同級生は僕と同じ人を好きだと言った。彼は騒がしくもなければ静かでもない、嫌われてはいないがモテてもいない、つまりは普通の中学生だった。  会話はヒソヒソと続き、就寝時間を軽くすぎた頃、突然彼が「あー!」と、必殺技を出すときのような声量で叫んだ。 「あー! 〇〇、お

ブスとメンヘラは金にならない文章を書け

ブスとメンヘラが高じて作家になった篠原かをりです。辛うじて文筆で生きていけるのではないだろうかと思い始めたくらいの泡沫作家ではありますが、心は一丁前に作家です。この夏に4冊目の本を出版しますが、自分で自信を持って作家と言えるようになったのは、noteで文章を書き始めたからだと思っています。ありがたいことにnoteのフォロワーが8000人を超えました。他のブログやSNSに比べてこじんまりとしたnoteでは、想像もつかなかった数字です。去年の暮れは2000人台だったと記憶していま

才能に悩んだら、ぜんぶ物語のせいにしてしまえばいい (#教養のエチュード賞)

「君って心が安定してるよね」 会社の考課面接にしては、ずいぶん曖昧でゆるい言葉だなと苦笑いしていると 「あ、一応、褒めてるんだよ?」 と申し訳程度のフォローをいただいた。 いろんな企業で、やっぱり社員のメンタルヘルスが課題となっているようです。仕事量はそのまま、責任もそのままに部下を働かせられる時間は激減・・・管理職は大変そうだなぁ。できることなら、なりたくない。 「心が安定」しているのが良いことなのかは分からないが「秘訣は?」と聞かれると、コツはやっぱりひとつしかない

もしも生まれ変わっても、また私に生まれたい。 #はじめて買ったCD

タイトルで曲名がわかった人はきっと同世代。 LGBTQ当事者の僕がはじめて自分で買ったCDの話をしたいと思います。   「はじめて買ったCD」というテーマを見て、僕は自分がはじめて買ったCDをすんなり思い出すことができた。 ポケットビスケッツの「YELLOW YELLOW HAPPY」だ。 ポケットビスケッツは、当時人気だったテレビ番組「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」の番組ユニットです。 ことあるごとに「●●出来なかったら即解散!」という企画という試練を与えら

she loves you

出会いはありふれたものだった。 友人になんとなく誘われた日帰りドライブ旅行のLINEグループの中に、彼女はいた。 誰に撮ってもらったか分からない、寂しげな表情の横顔アイコンに何故か惹かれた。 前日の夜、集合場所や時間のやり取りの時、彼女の選ぶ一つ一つの言葉遣いが好きだと感じた。 まだ会ってもいない、声も聞いていない相手に、僕の心は揺れていた。 旅行当日、友人が運転する車に同乗して、彼女はやって来た。 車のドアを開けた時に合った眼差し、肩より少し長い髪、細く白い指先に塗られ

悪意のかわし方

今まで占いでお客さんに会ってきて、すごく興味深かったことのひとつに、この世の中には「悪意をまったく受け取っていない人」というのがいらっしゃったのです。けっこう苛烈な性格な方もいたし、ハッキリと自分の意見を言うので「この人に泣かされた人も多いだろう」とこちらは思ってしまったりしたけど、本人はけっこうケロリとしている。「まぁ、私のこと嫌いな人も多いでしょうね」と笑いながら言ってたりもしました。 その一方で、すごく毎日一生懸命に生きている人でも、たとえば、自分の女友達に誤解とかさ

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「23歳で大学進学。遅すぎるのでしょうか?」の回答

「質問箱」にこんな質問が来ていました。 質問者さんは私のフォロワーの中におり、かつTwitterで返信が来るという想定でこの質問を寄せてくれたのだと思います。今回は、とても140字で考えが収まる内容ではなかったので、Twitterよりアーカイブ性が高く、見やすいnoteにて私なりの考えを書いていきます。 ■23歳で大学入学は遅いのか?遅いという定義から必要かもしれません。私の周りには25歳で私大文系の大学に入学した友人もいますし、社会人になってから再入学する人もいるので「

読みやすさとは何か、ということについて。

この文章を読んでいるあなたは、本を読むのが得意ですか? 私はというと、どちらとも言えません。昨年、本を一冊出版したくらいなので、今でこそ本は好きですし読むのも早くなりましたが、子どもの頃はむしろ苦手でした。 なぜ苦手だったのかと考えると、端的に言えば「めんどくさかったから」です。大量の文字情報を目の前にすると、それだけでウンザリして眠くなってしまい、面倒くさがり&せっかちだった私は、あらすじと結果だけ分かっていればいいじゃないか、と思っていました。 そもそも、本とは何な

もうナプキンは要らない? 「生理用ショーツ」ガチレビュー

めちゃくちゃステマみたいなタイトルをつけてしまった。 ・・・けど、全然ステマじゃないです。誰からも1円も貰っていません。商品も貰ってません。自分のお金で買って、自分で使いました。 以下のレビューは全てわたし個人の感想です。ご了承ください。 わたし、遂に「生理用ショーツ」デビューしました。 1年くらい前から、ずーーーーっと気になっていたんですが、遂に試すことができました。遂にです。 「生理用ショーツ」って、何それ? って方も多いと思います。ざっくり言うと「生理の時に、ナ

作品を殺すのは誰か

私には好きな小説がある。 番外編を合わせれば一〇冊を越えるシリーズ作品で、登場人物の一人一人に奥深い設定があり、魅力的で、主人公とともに謎を解き明かしながら進むストーリーも臨場感があって大好きだ。 しかしそのほとんどがすでに絶版となっており、新品を入手することは困難になっている。また、シリーズはまだ完結しておらず、続編は存在するとのことだが、その公開・発売には至っていない。 そのシリーズ作品と、それを執筆している作家と、ファンの話をしようと思う。 とても長くなってしまったので

女の子だらけのポスター問題から読み解く広告の難しさ

広告業界を目指す人に、宣伝会議を知らない人はいないと思う。 ウィキペディアによると「株式会社宣伝会議(せんでんかいぎ)は、宣伝・広告・環境に関する雑誌、新聞、書籍を出版する出版社である。日本で初めて広告専門誌を創刊した」らしい。 コピーライターになりたいとググれば宣伝会議賞やコピーライター養成講座が検索上位に出てくるし、amazonでビジネスライティング一位の「言葉ダイエット」や、クリエイターのバイブルである「ブレーン」等の雑誌も宣伝会議から出版されている。 そんな宣伝

「不良品」などいないが、孤独は人を喰う ある連続殺人犯の父の手記

2019年5月28日、川崎市で痛ましい無差別殺傷事件が起きました。 被害者とご家族など関係者にお悔やみとお見舞いを申し上げます。 以下の文章は敬称略とします。 広がる殺傷事件の波紋20人もの死傷者を出し、犯人が自ら命を絶った川崎市の事件は、様々な反応を引き起こした。 話題になったのはタレント松本人志のテレビ番組での発言だ。 「人間が生まれてくる中で、どうしても不良品っていうのが何万個に1個、これはしょうがないと思うんですね」 「何十万個、何百万個にひとつくらいに減らすこと

結局、"髭男"をフってるのはどんな女なんだ

2019年に大ヒットした「Pretender」という曲。 自分の失恋体験に歌詞を重ねあわせたりして、ホロリと涙を流した人も多いのではないでしょうか。 この名曲を生み出したアーティスト『Official髭男dism』、通称『髭男(ヒゲダン)』は、若者を中心に絶大な人気を誇るロックバンドです。 数多くのヒット曲でチャートを沸かせる彼らは順風満帆かのように見えますが、結成してすぐに売れたわけではありません。 ボーカル、作詞、作曲をつとめる藤原聡さんは、2年間ものあいだ銀行の営

絶望的で最高

「どうして星はきらきらしているの?」とバイト先に置いてある本に書いてあった。答えは「ゆらぎ」があるから。空気がゆらいでいるから星が瞬く。それは人間も同じだと思った。 写真家の弟子を辞めた。「なんでもっと早く辞めなかったの?見ていて本当に辛かったよ」と辞めた後に周りの人何人かに言われた。たまにしか会わない、仕事で関わっていた方たちからもそう言われるくらい、側から見ていて色々とヤバかったんだと思う。 100万円の犬を買い逃してしまって辛いという相談メールをラジオに送ったら